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WLBと事業生産性を同時に向上~日本マイクロソフトの取り組み事例に学ぶ~

外で働くことが前提の環境整備や自由度の高い制度でテレワークを強力に推進 2011年の本社移転をきっかけに本格始動した、日本マイクロソフトの働き方改革。2015年に行われた「ワークスタイル改革を支援する代表的なIT企業」に関する調査で第1位を獲得するなど、先進的な取り組みと実績が早くから評価されたこともあり、定期的に開催されている「オフィスツアー」の来訪者は、これまでにのべ112万人を超えているという。 日本マイクロソフトで実践されている改革の具体的な柱は大きくわけて「テレワーク推進」、「オフィス環境改善」、「働き方の“見える化”」、そして「脱メール文化」の4つといえる。 なかでも「テレワーク推進」は、日本マイクロソフトにおける働き方改革の大きな核となる取り組みだ。本社移転以前は他の企業と同様、社員に固定席を提供する、社内で働くことを前提としたスタイルだったが、トップダウンの呼びかけでこのスタイルを180度転換した。 オフィス内を基本フリーアドレスとしたほか、公衆網の利用を想定したセキュリティ対策に切り替えることで、支給されたノートPCはもちろん、ホテルや空港のロビーに設置された共用PCからでも安全に仕事ができるネットワーク環境を整備。テレワークの制度も、事前承認や利用頻度の制限といったハードルを極力排除したほか、コアタイムを設けず、家事の合間に小間切れで働くことも可能にするなど、かなり自由度が高いものにしているという。 “魅力的”なオフィスや機材が従業員エンゲージメント指数を高める そうしたテレワーク推進と対になるのが「オフィス環境改善」だ。セミナーが開催されたデバイスデモルームにはオフィス家具の世界的メーカーであるスチールケース社と提携し、快適で魅力的なインテリアを実現。会議スペースに置かれた椅子の座高を高くすることにより、立ってプレゼンやスピーチを行う相手との目線を近づけ、互いに対等な心象を得られるようにするといった、コミュニケーションを円滑にするための工夫も各所に取り入れている。 興味深いのは魅力的なオフィスにすることで、いわゆる“働きやすさ”だけではなく、社員の“質”も向上した点だろう。自分の仕事に関心とプライドを持ち、主体的に働く社員の割合を示す「従業員エンゲージメント指数」を高めるポイントとして、テレワークに象徴される働き方の“自由度”のほか、魅力的なオフィス環境や機材の提供も重要であることが、取り組みを通じわかったという。 具体例を挙げれば、会社から支給されたノートPCの性能やデザインに不満があれば、社外で使うことにためらいを覚えてしまう人も多いそう。これから本格的にテレワークを推進したい企業にとって、意外と見落としてはならない知見ではないだろうか。 「MyAnalytics」で働き方を“見える化”。脱メール文化も重要課題 「働き方の“見える化”」や「脱メール文化」に関しては、マイクロソフトが開発・提供する「Office365」が大きな役割を担っている。 特に注目したいのが「Office365」に含まれる、個人生産性分析ツール「MyAnalytics」だ。このツールを使うことで、単純な勤怠管理にとどまらず、メールの作成や返信に要した時間や、会議で消費された時間など、働き方の傾向を細かく分析。そのうえで、個々のユーザーが働き方に関する適切なアドバイスを受けられるようになるという。 たとえば、A氏から招聘された会議中に別件のメールを処理する“内職”が多いようなら、A氏の会議に参加すること自体が無駄ではないか? といった、かなり具体的なアドバイスまでしてくれるというから面白い。こうしたアドバイスや、働き方に関するレポートに目を通すことで、働き方を良くするための気づきが得られ、WLBや生産性の向上につながるわけだ。 また、標準的なビジネスパーソンの業務で4分の1近くを占めているというメールのやり取りも、働き方改革にとって検討すべき重要課題とも。こちらについては、ビジネスチャットツール「Teams」を利用することで、やり取りにかかる時間が大幅に短縮されただけでなく、より密接で円滑なコミュニケーションが可能になったという。 メールからチャットへの切り替えで得られた時間短縮によるコスト削減効果は、日本マイクロソフトの場合数億円近くになるというから驚かされる。この他、「Teams」にはビデオ会議機能や資料共有&共同編集機能も備わっているため、会議にかかるコストも大幅に削減されたそうだ。 トップダウン、ボトムアップ両面での取り組みが働き方改革成功の秘訣 このような取り組みにより、2011年から現在までに事業生産性が26%も向上したという日本マイクロソフト。業績アップと、WLBの向上を同時に実現させるコツは、全社一斉で改革に着手することと、継続的な取り組みの中で見えてくる課題の改善だという。そのために必要なのはトップダウン、ボトムアップ両面での改革推進とのこと。大きな改革はトップダウン型で、細かな改善はボトムアップ型で進めていくのが、推進を成功させる秘訣というわけだ。 ちなみに、働き方改革のステップとして、現在は根本的な改革から、全社員が「より活躍する働き方」の実践を目指す“第2章”に入っている。いち早く働き方改革に取り組んでいるだけに、業種や規模を問わず参考になるノウハウが数多く蓄積されているので、自社の働き方改革に役立てたいと思っている担当者は、ぜひセミナーに参加してみると良いだろう。