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Q&Aで学ぶ 民法改正で今後起こり得る相続トラブルとその対策❷居住用不動産の贈与の持戻し免除の推定規定編【1】

民法改正,相続対策,アドバイス
(画像=sommart sombutwanitkul/Shutterstock.com)

配偶者の老後の生活保障に配慮した、居住用不動産の贈与の持戻し免除の推定規定は、2019年7月1日より施行されている。ここでは新制度の狙いを解説したうえで、Q&A形式で利用時の注意点を見ていく。

居住用不動産の贈与の持戻し免除の推定規定は、どのような問題点を解消するために作られた制度なのか、具体例を挙げて見ていきましょう。

せっかく贈与した自宅も相続財産の一部になる

被相続人が生きている間に、被相続人から財産の贈与を受けた場合には、その財産は「特別受益」として、遺産分割の計算上、贈与財産を遺産に加えて、改めて遺産分割をしなければなりません。これを「相続財産の持戻し」ないし「持戻し計算」といいます。

例えば、被相続人(夫)の財産がもともとは預金4000万円と自宅(評価額1000万円)だったとします。その相続人は、妻と子ども2人(長男、次男)です(図表1)。

ファイナンシャル アドバイザー
(画像=ファイナンシャル アドバイザー)

被相続人(夫)が生前に、自分の死後も妻が自宅で生活できるようにと、自宅を妻名義に変えた(贈与した)とします。

実際、結婚してから20年を経過しているのであれば、夫婦間の自宅の贈与については2000万円まで贈与税がかからないため、自宅の夫婦間生前贈与はよく行われています。

その後、夫が亡くなりました。

仮に、特別受益を考慮しないとすると、自宅不動産以外の残りの預金4000万円について、

  • 妻……2000万円(それとは別に、すでに1000万円相当の自宅不動産は贈与されている)
  • 長男…1000万円
  • 次男…1000万円

と分けることになります。

ただし、法定相続分に照らして考えると不公平ともいえます。法定相続分どおりに遺産分割をするとすれば、妻は贈与を受けた自宅不動産相当額である1000万円を持ち戻して、もともとあった5000万円を相続財産とみなして、次のように計算して分割するのです。