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iDeCoとふるさと納税を併用するメリットとは 節税効果は本当に大きい?シミュレーションや注意点も解説

2017年に個人型確定拠出年金が「iDeCo(イデコ)」としてリニューアルし、適用範囲が拡大された。今まで利用できなかった公務員や主婦も利用できるようになり、ほとんどの国民が加入できるようになったことで、ますます注目されている。

そしてiDeCoと並んで人気がある「ふるさと納税」にも注目したい。寄付金控除を利用したこの制度は、寄付のお礼として自治体から地域の名産品がもらえ、節税対策にもなる制度だ。この制度は自治体サイドにも人気を呼んだ。寄付金を目的として返礼率を高く設定する自治体が問題視され、寄付金に対する返礼率を下げるように総務省から通達がなされたほどである。

拠出額に上限は設定されているものの、掛け金の全額を控除できる「iDeCo」と、支払った金額から2,000円(自己負担額)を引いた金額が、寄付金控除として所得税と住民税からそれぞれ控除される「ふるさと納税」、どちらを活用すれば節税効果が大きいのか。それともiDeCoとふるさと納税を併用するほうがいいのだろうか。具体例とあわせて検証したいと思う。

iDeCoで税金が控除される仕組み

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(画像=PIXTA)

iDeCoは私的年金として老後の資金を準備する目的で設立された確定拠出年金だが、拠出額の全額が確定申告の際に所得控除されるので、節税対策としても大きな魅力がある。

節税をするために注力すべきポイントは“所得控除”だ。配偶者の収入に応じて控除される「配偶者控除」や、扶養している人がいると適用される「扶養控除」などが所得控除にあたるが、iDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除が行えるので、所得税と住民税のどちらも節税ができる。

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(画像=著者作成)

例えば、年収400万円の会社員が月に23,000円拠出を行うと、iDeCoへ加入していない場合と比べて41,400円の金額を節税することができるのだ。非常に大きな節税効果がであるといえよう。

iDeCoの拠出額は加入者の職業によって上限額が異なるので、下記の図表より自身の拠出上限額を確認していただきたい。

iDeCoの職業別拠出上限額

なおiDeCoは、毎月の拠出額がすべて所得控除されるほか、金融商品の運用益も非課税になる。また、年金方式で受け取る際には「公的年金等控除」が、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が適用されることも大きなメリットである。

ただし、60歳にならないと老齢給付金を受け取ることができない点には注意が必要だ。

ふるさと納税で税金が控除される仕組み

ふるさと納税による控除金額は「ふるさと納税額-2,000円」を原則として、所得税と住民税より一定の割合で控除される。

一定の割合とは、(1)所得税からの控除と(2)住民税からの控除をあわせた金額のことをいう。

所得税からの控除

(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」の算式により、所得税からの控除額が求められる

住民税からの控除

住民税については(1)基本部分の控除+(2)特例部分の控除の計算式を用いることになる

 (1)基本部分の控除(ふるさと納税額-2,000円)×10%
 (2)特例部分の控除(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
 (1)+(2)=控除額

仮に、年収300万円の会社員が3万円のふるさと納税を行うと、

所得税からの控除 (30,000円-2,000円×10%)=2,800円

住民税からの控除 

(30,000円-2,000円)×10%=(1)
(30,000円-2,000円)×(100%-10%-10%)=(2)
(1)+(2)=25,200円となる。

よって、合計28,000円の控除が適用される。

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(画像=総務省HP「ふるさと納税ポータルサイト」より作成)

計算すると上記のような式になるが、控除額は最終的に(ふるさと納税額-2,000円)と解釈してよい。

このように、ふるさと納税において理解しておきたいポイントは、必ず2,000円の自己負担が生じる点だ。節税をするために費用が必要な点が節税効果を低くしている。

そして控除の上限金額が設けられている点にも注意したい。総務省のHP「ふるさと納税のしくみ」によると、
・所得税:控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額の40%が上限
・住民税(基本部分):控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額の30%が上限
・住民税(特例部分):特例部分が2割以内であれば、実質負担金は2,000円でよい
となる。

上記の条件により、以下の計算式を用いるとふるさと納税で控除される限度額を求めることができる。

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(画像=総務省HP「ふるさと納税ポータルサイト」より作成)

ある一定の金額までは(ふるさと納税額-2,000円)が節税になるが、控除上限金額を超えてしまうと実質負担金が増加して損をしてしまうことになる。ふるさと納税をする前に節税できる金額を知っておくことで、効果的な節税が行えるであろう。

iDeCoとふるさと納税を併用することのメリット

iDeCoの節税効果が大きいといわれる理由は、「小規模企業等掛金控除」により、確定申告の際、拠出した金額が所得控除の適用を受けられ、所得税と住民税のどちらも税金が安くなる。ただ、先述した通りiDeCoには職業に応じて掛金の上限が決まっているため、ふるさと納税を併用してより大きな節税を狙うことが候補としてあげられる。

iDeCoを活用している場合のふるさと納税の還付・控除限度額シミュレーション

iDeCoには“掛金”の上限が決められているが、ふるさと納税(寄付金控除)には“控除額”の上限が決められており、家族構成や年収によって異なってくる。iDeCoの掛金を上限まで利用し、さらにふるさと納税で節税を狙う場合、自分の寄付がいくらまで控除対象となるかを知っておくことが必要だ。そこでふるさと納税が、寄付金控除の対象になる額の上限を、iDeCoの有無や家族構成、年収別に表にまとめてみた。

iDeCoについてはどちらも勤務している会社に企業型確定拠出年金(DC)がない会社員(23,000円)、事業により収入を得ている自営業者(68,000円)を想定している。自営業者の経費については、便宜上給与所得控除を用いて計算している。

まずは独身・夫婦共働きの場合で、ふるさと納税が寄付金控除になる上限金額を見てみよう。

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(画像=著者作成)

※納税額の目安であり、結果を保障するものではありません。
※税率は平成30年4月1日の税率にて計算しています。税率が変更となった場合は結果が異なりますので、ご了承ください。
※所得控除は、社会保険料控除(15%計算)、基礎控除・配偶者控除・扶養控除を用いて計算しています。生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などの所得控除、住宅ローン控除などの税額控除は含まれていません。
※年金収入のみの方や他の収入がある方の上限は表とは異なりますのでご注意ください。

独身または配偶者の収入が扶養の範囲外の場合は、配偶者控除(38万円)が適用できないので、iDeCoやふるさと納税を用いて節税を狙いたい場面である。

続いては、配偶者に収入がなく15歳未満の子どもがいる場合だ。

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(画像=著者作成)

※納税額の目安であり、結果を保障するものではありません。
※税率は平成30年4月1日の税率にて計算しています。税率が変更となった場合は結果が異なりますので、ご了承ください。
※所得控除は、社会保険料控除(15%計算)、基礎控除・配偶者控除・扶養控除を用いて計算しています。生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などの所得控除、住宅ローン控除などの税額控除は含まれていません。
※年金収入のみの方や他の収入がある方の上限は表とは異なりますのでご注意ください。

iDeCoとふるさと納税を併用するときの注意点

iDeCo分を引いた所得でふるさと納税できる額を算出しよう

2つの表を見ると、iDeCoの「小規模企業等掛金控除」を適用した場合、所得税・住民税を算出するための課税所得が下がり、ふるさと納税の控除上限額が下がっていることがわかる。

今回はiDeCoを控除した後の金額をベースに計算したが、受け取った給与をベースにふるさと納税を行ってしまうと節税部分を超過し、実質負担金が増加してしまう点に注意したい。

なので、
 ・年間いくらの掛金を支払っているか(iDeCoについて)
 ・所得控除の項目を知ること(後述)
 ・ふるさと納税の上限金額に注意する(住民税の2割部分)
この3つのポイントに注意することが必要である。

年収や医療費控除や生命保険料控除、住宅ローン控除も踏まえて判断を

iDeCoもふるさと納税も節税効果が期待できる制度であるが、ほかにも所得を控除する制度は用意されている。大学生の子どもがいるなら「特定扶養控除(63万円)」や「住宅ローン控除(年末のローン残高×1%)」などである。

税金を低く抑えるために節税をしているのだから、生活にかかる所得控除も知っておくとよりお得な節税ができるようになるはずだ。

iDeCoは節税が大きいが、ふるさと納税は大きな節税にはならない

ふるさと納税の最大のメリットは納めた金額に対して返礼品がもらえる点にあった。だがあまりに返礼率の高い“お礼”が多かったため本旨(ふるさと納税で日本を元気に!)から外れてしまったようだ。

iDeCoを用いて充分な節税を行っているのなら、“自己負担金2,000円”を支払ってまでふるさと納税を使用する魅力はないように感じる。もし本格的に節税をお考えなら、所得から拠出金を丸々控除できるiDeCoをメインにして、余力があればふるさと納税というふうに検討してみてはいかがだろうか。(ZUU online 編集部)