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EU離脱案議会採決延期は「合意なき離脱」を示唆した最悪の延期報道

前日に関しては、欧州時間終盤にてメイ英首相がGMT15時30分(日本時間24時30分)に議会で声明を出すとの報道により、一気に緊張感が高まる中、同首相からの声明は「EU離脱案議会採決(11日予定)の延期を確認」「バックストップ案なくしてブレグジットは不可能」「政府は合意なき離脱の準備を加速させる」という非常にハト派寄りの発言に終始しました。採決延期については、既に大敗が見えている状況であるため、市場コンセンサス通りではありましたが、「合意なき離脱」の可能性を示唆したことは、ネガティブサプライズと市場は捉え、ポンドドルでは1.2650ドル付近から1.2500ドル付近まで急落する動きとなりました。

EU離脱案議会採決延期については、大敗を喫することまでは想定の範囲内だったと考えられますが、採決後にはメイ英首相が退陣を迫られる可能性が高いと判断し、今回の決断に至ったのだと考えています。メイ英首相は、13-14日でのEU首脳会議にて、EU側とEU離脱案の再交渉を試みる報道されていますが、トゥスクEU大統領がEUサイドは合意の再交渉を行わない意向を示しているように、EUが現時点で大幅な修正に応じる可能性は極めて低いと考えられそうです。同首相が、今後の採決時期を明らかにしていないことも先行き不透明感を強めています。

軟調だったポンドを横目に、前日はドルの買い戻しが強まる動きとなりました。欧州時間序盤から、ポンド安が継続しており、ポンドが売られる一方、ドルが買われ、ユーロについても、フランス抗議デモの経済への悪影響が意識され、ドル買いユーロ売りの動きが強まり、ドル円は一時113.364円まで上値を拡大しました。海外時間序盤は株式市場も軟調に推移していたものの、NYダウ、およびNasdaqがプラス圏を回復するなど、ドル買いに加え、リスクオンの動きもドル円をサポートしたものと思われます。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

混迷の一途をたどるポンドですが、今後の焦点としては、アイルランド国境問題におけるバックストップ案の模索などがメインになりそうですが、リスボン条約第50条が重要なキーとなってくる可能性があります。欧州司法裁判所は離脱期限(2019年3/29日)の前であれば、英国はリスボン条約第50条の発動を一方的に取り消す事が出来ると判断しました。リスボン条約第50条については、発動方法は明記されているものの、撤回する方法は明らかにされておらず、仮に撤回するとしてもプロセスは不透明であり、メイ英首相とEUとの再交渉に向けての動向に加え、リスボン条約第50条撤回の可能性を巡る動きにも、今後は注意を払う必要がありそうです。

英国議会は12月20日から1月8日まで休会に入るため、メイ英首相はこの間にEUからの譲歩を引き出し、離脱案をより受け入れやすいものに修正する努力をすると見られますが、議会採決の実質的な期限と言えるのは1月21日となり、時間的には非常にタイトになっています。また、コービン・英労働党党首が「同じ案を持ち帰ってきても、この議会で承認されることは無い」と発言しているように、完全に政権が混乱しているように感じられるため、マイナスからのスタートをどう立て直すかにメイ政権の命運がかかっているものと思われます。

悪い順からいくと、現状はメイ英首相がEUと再交渉という状況にあり、次いで国民投票、政府の不信任案、そして「合意なき離脱」というシナリオになります。EUとの再交渉はほぼ無理な状況にあるため、着地点をどこにするのかで大きく状況が変わってきそうです。

112.80円ショートは失敗も、引き続き戻り売り姿勢は継続

112.80円ショート、113.20円損切りにて前回のトレードは失敗です。ただ、NYダウの持ち直しがドルをサポートした格好となりましたが、本日の日経平均株価、欧州株動向などを見ても、株式市場が本格的に持ち直してきている感じはありません。また、ポンドとユーロが対ドルで大きく売られた影響も、前日のスパイク要因だとみています。113.50円上抜けを撤退目途に、113.20円でのショート、利食いは112.30円を本日の戦略とします。

海外時間からの流れ

EU離脱案議会採決が最大のポイントでありましたが、延期の報道を受けて、一層混迷を深める結果になりました。各国首脳が「合意なき離脱」の回避要望を多数出しているにもかかわらず、メイ英首相から「合意なき離脱」の可能性を示唆したことは、ネガティブサプライズだったと考えられます。英国議会は12月20日から1月8日まで休会、ポンドは長期的に上値が重くなることが想定されます。

今日の予定

本日の経済指標としては、英・雇用統計、 独・12月ZEW景況感調査、米・11月生産者物価指数などが予定されています。要人発言としては、デギンドス・ECB副総裁、オア・NZ準備銀行(RBNZ) 総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。