富裕層・投資家の「今と先」を伝えるキュレーションサイト

5年間で売上げが1.5倍に! 85周年を迎えた『ビスコ』がまだまだ伸びる理由

「子供向け」から「大人の女性」へのターゲット拡大が成功

ビスコ
(画像=THE21オンライン)

誰もが食べたことがあるであろう国民的お菓子『ビスコ』。1933年に発売され、今年で85周年を迎えたロングセラーだが、まだまだ人気は健在だ。それどころか、2013~17年の5年間で、売上げをなんと1.5倍に伸ばしている。いったい、なぜなのか?江崎グリコ〔株〕でビスコのマーケティングを担当している松井桜子氏に聞いた。

売上げを拡大している要因の一つは、バリエーションを増やしていることだ。2002年に『ビスコ〈小麦胚芽入り〉』、2015年に『ビスコ〈発酵バター仕立て〉』、2018年2月に『ビスコ〈焼きショコラ〉』、同3月に『ビスコ シンバイオティクス』と、次々と新商品が発売されている。

「ビスコは、栄養が少なかった時代に、子供の栄養補給を目的とした酵母入り菓子として誕生し、長い間、親しまれてきました。そのため子供向けのイメージが強く、残念ながら、『パサパサしていそう』『味が薄そう』といった、大人の嗜好を満たさないお菓子というイメージを持っていらっしゃるお客様が多くいらっしゃいました。そのイメージを払拭するために、新商品の開発が検討されたのです」(松井氏)

新たにターゲットとしたのは、20~40代の女性だ。『ビスコ〈小麦胚芽入り〉』は、社内で通称「おねえさんビスコ」として開発されたもので、ビスケット部分をクラッカーにし、クリームとの相性、塩味、軽い触感を重視して、あっさりとした美味しさを実現した。

さらに、『ビスコ〈発酵バター仕立て〉』を発売したタイミングで、ビスコブランド自体も大人の女性にターゲットを変更。大きなターゲット変更だったため、売場では混乱もあったそうだ。

「『ビスコ〈発酵バター仕立て〉』は、2013年2月に、ビスコ80周年を記念して限定発売されたことがあります。その際に人気だったため、2015年に改めて発売したのですが、当初は赤いパッケージの『ビスコ』の5分の1以下の売上げでした。13年ぶりとなるビスコの新商品でもありましたし、ビスコの売場を子供菓子売場から大人の菓子売場へと変更する過程だったため、売場への導入がうまくいかなかったのだと思います。

ただ、スーパーマーケットでは、発売時から赤いパッケージの『ビスコ』の3倍の売上げを記録していました。徐々に配荷を広げて、同年7月には欠品を出す事態に陥るほどの人気になりました」(松井氏)

その後に発売された『ビスコ〈焼きショコラ〉』も大人の女性向け。

乳酸菌とその餌になる食物繊維を含んだ『ビスコ シンバイオティクス』も、女性を中心に買われている。

「朝食を抜いてしまいがちな忙しい毎日でも、スプーンやお箸を使わずに、サクッと食べられることから、持ち歩きにも便利だと好評をいただいています。特に、健康志向の高い女性に、食べても罪悪感のないお菓子として人気です」(松井氏)

「おいしさと健康」を企業理念に掲げる江崎グリコにとって、『ビスコ』はそれを体現する代表ブランド。近年の健康志向ブームは、追い風になっているという。

以上のような新商品だけでなく、従来からの赤いパッケージの『ビスコ』も、大人の女性にターゲットを拡大したことで売上げを増やしている。

「5年前と比べた伸び率で言えば、ビスコ全体を上回る、91%増になっています。子供菓子売場からビスケット売場や小箱売場へと売場を変更したことで、お客様の視認性が大きく高まった影響だと思います。

また、お客様とのコミュニケーションも変えました。2017年から新たに深田恭子さんをブランドキャラクターにしたテレビCMを制作したり、プレゼントキャンペーンやビスコファンクラブ会員向けのイベントを実施したりと、総合的なプロモーション展開を行なっており、それも売上げ伸長の要因になっていると考えています」(松井氏)

ビスコのラインナップには、5年間保存することができる備蓄用の『保存缶』もある。防災意識が高まる中で、人気を集めている商品だ。

ビスコ
(画像=THE21オンライン)

「1995年の阪神大震災に遭った開発メンバーを中心に企画された商品で、2007年に発売されました。2010年に国際宇宙ステーションで撮影された写真に写っていることで話題となり、認知が広がりました。野口聡一飛行士が、好きな食料として個人的に持ち込まれたそうです。

2011年には、東日本大震災が起きたことで防災意識が高まり、前年の約9.5倍の売上げとなりました。

ビスコが持っている健康イメージに加えて、ホッとする馴染みの味であること、水がなくても食べられるクリームサンドビスケットであること、そして、手軽にエネルギーが摂取できることから、『美味しい非常食』として人気が高まっていると考えています」(松井氏)

ビスコは、「家族や隣人の愛を確かめ合うクリスマスに相応しいお菓子」として、5年連続で、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロース日本代表の公認菓子にも認定されている。

「赤いパッケージの『ビスコ』、『ビスコ〈小麦胚芽入り〉』、『ビスコ〈発酵バター仕立て〉』、『ビスコ〈焼きショコラ〉』の小箱4品では、『小さな元気をプレゼントキャンペーン』と題したキャンペーンを実施しています(2019年2月28日まで)。今は、その第1弾として、クリスマスまで毎日プレゼントが変わるキャンペーンを実施中です。年末の忙しい時期にも『もうひと頑張り』の後押しになるような、スペシャルなデザインのパッケージを採用しています。

今後も、ビスコは、時代のニーズや季節に合わせた形で進化を続けます。子供のときから、また、大人になっても、ずっと小さな元気をくれるお菓子として、『さぁ、ビスコでもうひと頑張り』というメッセージを軸に、ブランドを作り上げていきたいと考えています」(松井氏)

ビスコ
(画像=THE21オンライン)

THE21編集部(『THE21オンライン』2018年12月15日 公開)

【関連記事THE21オンラインより】
お菓子のスタートアップとして、業界に新風を吹かせる
京都・聖護院八ッ橋総本店の「おもてなし」~新ブランド「nikiniki」の挑戦
ニトリが「お、ねだん以上」を実現できた、知られざる裏側
編集部セレクト・癒しの「猫本」ガイド
企業サイトに「役員の写真」を載せるべき理由とは?