富裕層・投資家の「今と先」を伝えるキュレーションサイト

訪日外国人の消費は「モノからコト」へ|観光立国への道のりは

年々増え続ける外国人旅行者、5、6年前までは「爆買い」を楽しむ中国人観光客がメインでしたが最近は様々な国の方々が色々な方法で日本での「経験旅行」を楽しんでいます。観光立国を目指す日本は外国人旅行者の「コト消費」に期待はするものの、目標達成できるのでしょうか。

gettyimages (38212)

2019.5.27

新幹線「ひかり」は外国人旅行者でごった返し

中国人旅行客が人気ショップの近くに止められた観光バスに大きな袋をいくつも下げ次々と乗って行く光景が最近は減ってきました。
gettyimages (38230)

その一方で、ゴールデンウィーク前のある平日のこと、東京駅新幹線のりばにはどの方面の乗り場にも外国人旅行者でいっぱいでした。
新幹線を待つ老若男女の外国人旅行者からは、英語や中国語だけではない様々な言語が聞こえてきます。
彼らはJRが発行する「ジャパン・レイル・パス」という外国人旅行者専用のパスを使って、Bullet Train (ブレット トレイン)=新幹線で各々の「経験」を楽しみに出かけるのです。

この「ジャパン・レイル・パス」というのは7日間、14日間、21日間の3種類から選んだ期間、日本全国JRが乗り放題というパスです。
しかし、新幹線「のぞみ」は除外されているため、関西、山陽、九州方面へは新幹線「ひかり」に外国人旅行者が集中してしまい、車両によっては大半が大きなスーツケースやバックパックをもった外国人旅行者という状況に出くわすことも珍しくないようです。
楽なバスでの買い物旅行よりも、新幹線で荷物の置き場に困りながらも、その重い荷物を持ち上げ、頭上の荷物棚に乗せることさえ日本の新幹線での「経験」の一つとして楽しんでいる様子が伺えます。

日本ならではの「経験」を求める外国人旅行者

gettyimages (38226)

「モノ」から「コト」への消費傾向の変化は旅の形にも大きく影響を与えました。京都、東京に比較的集中していた外国人旅行者が様々な「経験」を求めて日本各地に散らばるようになりました。
観光は地方経済を活性化させ、地方創生への要因となるため、お国自慢の「経験」をアピールしては外国人旅行者を引き付ける施策が地方自治体や企業で積極的に取り組まれています。
例えば、SNSをとおして世界中に広がっている日本の桜は美しさだけではなく、「花見パーティー」という面白い文化があることにも注目され、それを経験したいとやってくる旅行者も増え、桜の名所がある所では様々なイベントや企画が行われます。
また、港のある地域では桜や祭りなどの季節的なイベントや観光名所をアピールしては比較的予算の高い旅行客を乗せた豪華客船の誘致に乗り出す動きも目立ちます。
四国では、数年前から「四国遍路」を目的にやってくる外国人が増えていることもあり、四国4県の産学民官が協力し、「四国八十八箇所霊場と遍路道」世界遺産登録推進協議会を設け、シンポジウムなどを開催し、世界遺産登録を実現させようと取り組んでいます。

観光立国への道のりは険しい?

gettyimages (38232)

日本に興味を持つ外国人が増えているのは、当然、2020年のオリンピック開催地ということもありますが、政府が「観光立国」の実現に向けて施策を講じ、世界中で大々的なアピールを繰り広げているからです。
2017年には「観光立国推進基本計画」を閣議決定し、目標として2020年には 訪日外国人旅行者数 4,000万人、 訪日外国人旅行消費額 8兆円と掲げました。
観光庁は、宿泊施設のWi-Fi整備、トイレの洋式化、案内表示の多言語化等の基本的な外国人旅行者受入環境整備のため補助金を交付する「宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業」の公募を定期的に行うなど、受け入れ体制にも力をいれております。
しかし、2018年の外国人旅行消費額は4兆5,189億円で、過去最高の記録となったものの、2020年に8兆円という政府目標達成は難しそうだという見方もあるようです。
また、外国人旅行者が最も不便を感じていたと言われる日本のWi-Fi環境やクレジットカード支払い受付等はだいぶ改善されたものの、旅の形が変わり、旅行者の移動が多くなり、期間も長くなり、大きな荷物の預け場所という新たな問題も浮上してきました。
2017年には街中に点在するカラオケ店、美容院、カフェ等の空きスペースを観光中の荷物一時預かり場所として利用するよう提携し、旅行者が荷物を預けたい場所と時間を予約できる「ecbo cloak」という便利なサービスも現れました。しかし列車内などでは荷物に困る旅行者もまだ多く、オリンピック開催に向けて早急に解決していかなくてはならない問題ではないでしょうか。
世界中で「モノ」から「コト」へと消費活動が変わり、旅行の楽しみ方も千差万別。観光立国を目指す日本では全国各地で地方創生を踏まえた外国人の興味を引き付ける「経験」のアイデアが益々期待されるでしょう。
参考記事:
K. ブリーン

K. ブリーン

アメリカの某大学経済学部卒業。主に社会経済や映画の事などを書いてます。ピラティスにはまり、指導員資格を取りました。

元のページを表示 ≫

関連する記事