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討議初日からメイ英首相は劣勢に、買い戻されたポンドを売ることが今は王道戦略である

前日は、11日の議会採決を控えているポンドがマーケットを牽引する動きになりました。欧州司法裁判所(ECJ)の法務官が「英国は欧州連合(EU)離脱の決定を一方的に撤回できる権利がある」との考えを示したと伝わり、欧州時間に一時ポンドドルは1.2840ドル付近まで上昇する場面がありました。リスボン条約50条の延長は、EU加盟国すべてと英国が合意した場合に可能との見方が一般的ではあるものの、仮にリスボン条約50条発動の撤回が可能であるとすれば、再度国民投票を行う時間的余裕が生まれ、「合意なき離脱」の回避が可能と考えられます。

ただ、英首相報道官が「英政府は離脱手続きを定めたEU基本条約50条の発動を撤回しない」との見解を示しており、想定外の展開に期待を寄せたポンドは一転急落し、一時1.26599ドルを示現するなど、昨年6月22日以来の安値を更新する動きとなりました。一喜一憂する動きは想定の範囲内ではあるものの、マーケットの懸念はポンドの急落、やはりポンド売りの動きの方がセンシティブに反応していると考えられます。

メイ英首相は、EU離脱に関する法的助言内容の公表を拒否していましたが、英議会はこれを議会に対する侮辱に当たるとする動議を賛成多数で可決しました。11日にはEU離脱案が議会に諮られますが、ブレグジットを巡る討議の中で、早くも劣勢になっている模様です。また、メイ英首相は「離脱を撤回する意向はない」と改めて明言したことも伝わっており、11日以降のポンドの動きについては、再度急落する展開も想定する必要があるかもしれません。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

トランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談では、追加関税の発動を90日間見送ることで合意しましたが、やはり、目先のリスク自体は回避したものの、長期的スパンで物事を見ていくと、不透明感だけが強まり、問題の棚上げが意識され、ドルの買い戻しの動きも一時的なものになりました。また、株式市場のリスク回避の動きが、市場の不安心理を綺麗に映し出していると考えられます。

英国同様に、市場の注目材料であるイタリアの予算案については、コンテ伊首相が「新たな予算案は数時間以内にも提示できそうだ」と発言したことにより、マーケットの期待感が強まっています。。2019年度予算案に関して、イタリア紙の報道によれば、イタリア政府は財政赤字をGDP比で2%まで縮小できるだろうが、それだけではEUを満足させるには不十分であると指摘しています。やはり、1.9%という数字が非常に重要な意味を持つと考えられそうです。この数字であれば、EUが拒否することはないと個人的には考えています。

11日に英国議会にて採決が行われますが、離脱協定案を巡る討議は5日間予定されているため、まだまだヘッドライン相場は継続するものと考えられます。メイ英首相の劣勢は、既に事前コンセンサス通りではあるものの、初日から議会侮辱というシナリオにないことからも劣勢になっており、ポンドについては基本下方向に目線を保っておく方がプラスになると思われます。ヘッドラインで急騰することが今後もありそうですが、その際は否決コメントが出てくると想定しながらの戻り売り、当面はこの戦略が功を奏しそうです。

米国、英国、欧州での先行き不透明感が強まれば、ドル円もう一段安は通過点に過ぎない

米中首脳会談後のドル円の動きを見ても、113.80円付近では上値が重くなっており、114円のラインがより明確なレジスタンスとして意識されそうです。英国、欧州の先行き不透明感に、株安が重なっており、リスクオフの動きが目立っています。引き続き、113.50円でのショート、損切りは114.10円上抜け、利食いは112.20円での戦略は変更なしです。

海外時間からの流れ

英国議会採決前の思惑により、ポンドに振り回される展開になっています。本日もポンド関連のヘッドラインがマーケットの主役になることが想定されるため、この点には注意が必要になりそうです。本日はジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領の追悼日のため米国は株式・債券市場などは休場になります。注目されていたパウエルFRB議長の議会証言も延期されているため、NY時間の流動性は低くなりそうです。米地区連銀経済報告(ベージュブック)の公表は予定通り行われることになっているものの、影響は限定的になるでしょう。

今日の予定

本日の経済指標としては、英・11月サービス業PMI、加中銀(BOC)政策金利発表、米・ベージュブック(地区連銀経済報告)などが予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。