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経済指標の種類とそれぞれの特徴を把握して投資に役立てよう

株価に影響を与える重要な要素の一つとして、経済指標があります。

種々の経済指標の中には、ある程度先を予測するような先行指標や、現在を示す指標、比較的後から出てくるような遅行指標などがあります。

それぞれに役割が違いますので、うまく利用しましょう。

また、全てのデータには、鮮度というものがあります。

これらのことを考えながら、経済指標について勉強して行きましょう。

役立つ
(画像=Getty Images)

大まかな分類

経済指標は、似たものも多く、まずは大きな分類をしておいた方がわかりやすいと思います。

  • 雇用
  • 生産
  • 物価
  • 景況感(センチメント)

についての指標があります。

ここで、景況感とは、景気が先行きどうなるかという多くの人からの予想になります。

株価には大きな影響を与えますが、実際には遅行指標ですので注意が必要です。

雇用に関する指標

失業率(日本)

日本ではこれが最も有名で、15歳以上で働く能力や意思がありながら、職に就いていない人の労働力人口に対する割合を示したものです。

景気が良くならないと企業は積極的に雇用を行わないので景気の遅行指標と言われています。総務省が毎月末に発表します。

米雇用統計

米国の労働省が毎月始めの金曜日に発表する米国の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が注目で、15万から20万人くらいの増加が好調の目安となります。

失業率(米国)

米国の労働省が毎月発表するもので、16歳以上の失業者の労働人口に対する比率です。

4〜5%程度であれば、完全雇用状態とされています。

失業保険申請件数(米国)

米国の労働省が毎週発表する、米国で新しく失業保険給付を申請した件数です。

失業率や米雇用統計の先行指数として注目されています。40万人を下回ると、雇用改善の目安とされています。

ただし、米国では失業保険に加入していない労働者もいますので、必ずしも雇用実態を示しているとはいえないことには注意が必要です。

毎週発表されるという速報性や米国の景気の動向に素早く反映する先行指標として捉えられており、景気に3ヶ月程度の先行性があると言われています。

生産に関する指標

GDP(日本)

「国内総生産」のことで日本国内で1年間に新しく作られた生産物やサービスの金額の合計のことです。

生産が増えているかどうかを示す指標で、これを上げるには、企業の生産や利益を上げるだけではダメで、個人消費や政府支出も増えなければ上がりません。

2期連続でGDPがマイナスになると景気の低迷が深刻だと判断されます。

内閣府が毎年の2月、5月、8月、11月中旬に一次速報を行います。

鉱工業生産指数

経済産業省が毎月公表していて、日本の鉱業と製造業が生産している量を考慮した指標です。

日本は、GDPの中で占める鉱工業の割合が大きいので、重要な経済指標の一つになっています。

この指標は数値だけでなく、その中身が重要です。

指標には、生産、出荷、在庫、在庫率が載っており、このうち在庫に関する項目が重要で、在庫が積み上がっているようなら、消費が落ちている状況を示しています。

この指標は、速報性があり、景況感を測る指標としても使われます。

機械受注統計

内閣府が毎月公表している、機械メーカーが受注した設備投資用の機械の受注額を集計した指標です。

この統計は、日本の企業が設備投資に前向きか否かがわかる、日本の代表的な景気の先行指標です。

一般的に、企業が増産を行うためには、機械を購入して準備するため、機械受注が好調ということは、企業業績がプラスに出やすいということになります。

したがって、機械受注統計は、好況か不況かを判断する重要な経済指標です

法人企業統計

財務省が公表している日本の営利法人等(金 融・保険業を除く)の決算をまとめたものです。

この統計には、3月、6月、9月、12月に公表される「四半期別調査」と、翌年度の9月に公表される「年次別調査」があります。

速報性のある「四半期別調査」に注目が集まりますが、「四半期別調査」は、仮決算に基づく数値ですので注意が必要です。

精度を要求する場合は、「年次別調査」を見るべきです。

日本企業の企業活動の実態を示す代表的な統計です。

法人企業統計は、GDPのベースとなる指標なので注目度は高く、特に速報性が重要視されますので、「四半期別調査」の注目度が高いです。

法人企業統計の中で、企業の売上高や 経常利益の推移から企業がどれだけ収益を上げているのかがわかり、 設備投資や在庫投資の推移から企業がどれだけ投資活動を行っているのかがわかります。

GDP(米国)

米国のGDPは、世界中の投資家 が注目していて、株式市場や為替市場は、米国のGDPの速報値に敏感に反映されます。

米国では、発表機関は商務省経済分析局で、発表時期は1月、4月、7月、10月下旬に速報値が発表されます。

耐久財受注

耐久財受注とは、米国の商務省経済分析局が毎月下旬に発表する、 製造業約4000社の耐久財(3年以上使われる消費材、車、航空機、家電、家具など)の受注状況を示す指標のことです。

米国企業の設備投資の増減を計る経済指標として注目が高いです。

耐久財受注は、翌月の下旬に速報値が発表されます。

このため、特に非国防資本財受注が設備投資の先行指標として重要視されます。

一般的に、耐久財というのは、生産をする前に受注されますの で、将来の生産や設備投資に先行性があるのです。

耐久財受注では、新規受注や出荷、在庫、受注残高などが発表されます。

「新規受注」の非国防資本財受注の動向は、よく重要視される項目で、GDP(国内総生 産)の設備投資(生産者耐久施設)の動向をはかる上で重要となります。

ただし、耐久財受注は、比較的変動幅の大きな指標のため、平均的な推移を見ながら捉えていくことが大切です。

物価に関する指標

消費者物価指数(CPI)

消費者が実際に購入する商品やサービスの小売価格の動向を示す指標で、総務省が毎月公表しています。

消費者物価指数は、国にとっても国民にとっても重要な指標となります。

特に、価格変動の大きい食料やエネルギーを除いたコアコアCPI が重要視されます。

消費者物価指数が上昇すれば、物価が上がっていることで、金利も上がり、売上も上がり、賃金も上がります。

つまり、消費者物価指数でインフレやデフレの度合いをはかることが出 来ます。

企業物価指数(CGPI)

日本銀行が毎月公表している、企業間で取引さ れている商品の物価指数のことです。

企業物価指数は、消費物価指数の先行指標として使われることが多い指標 です。

企業と企業の間で取引されている物価の変動を見る際に使われる指数で、景気動向を確認することができます。

企業間での商取引におけるインフレやデフレの 状態を把握することができます。

企業物価指数は、「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」の3つの基本分類指数があります。

米国消費者物価指数(CPI)

米国の労働省が毎月発表する、消費者 が実際に購入する商品やサービスの小売価格の動向のことです。

生産者物価指数(PPI)

米国の労働省が毎月発表する、米国内の生産者の卸売の物価指数のことです。

生産者が出荷した商品や原材料などの価格変動を示していて、 インフレの度合いをはかる経済指標です。

日本では卸売物価指数が米国の生産者物価指数に相当する指数です。

ただし、卸売物価指数は、中間マージンや輸送コストを含む指数です。

生産者物価指数は、品目別、業種別、製造段階別(最終財、中間財、原材料)に分類されています。

生産者物価指数が、上昇すればドル高要因、下落すればドル安要因となります。

景況感(センチメント)に関する指標

景況感の調査は、企業や消費者のアンケートという形で調査されるものです。

今 後の企業や消費者の景気動向を把握する際に重要視される調査となります。

株価が高値圏にある時は、景況感の数字も高く出 やすい傾向にあり、景気に対しては遅行しやすいという欠点があります。

日銀短観

日本銀行が大企業や中小企業への業況調査(アンケート)で、「企業短期経済観測調査」のことです。

日銀短観は、企業のDI(企業の好況感比率:好況を感じていない比率)を算出して、四半期ごとに公表されます。

企業のDIは、 景気判断の指標として注目度が高く、調査票の回収率が常に100%に近いので、企業経営者の最新の判断が反映されることから、株式市場への影響度も高く、注目度は非常に高いです。

特に「大企業製造業のDI」は、日本企業の景況感(センチメント)の現実的な数値で最も注目されます。

また、在庫や設備投資額の推移や「想定為替レート」も注目されます。

中小企業の業況が上昇していれば、日本経済が上昇しています。

また、中小企業の資金繰りは、通常マイナスで出ますが、大きく上昇していたり、大きなプラスで出ていれば、日本がバブルになっている可能性があります。

展望レポート

日本銀行は、通常1 月、4月、7月、10月の年4回、政策委員会・日銀金融政策決定会合で、先行きの経済、物価見通しや上振れや下振れ要因を詳しく点検します。

展望レポート(経済・物価情勢の展望)とは、この時の政策委員会の金融政策の運営の考え方を整理して、経済や物価情勢の展望を公表する経済見通しのことです。

景気ウォッチャー調査

景気ウォッチャー調査とは、内閣府が毎月公表します。景気に敏感な 小売店やタクシー運転手、レジャー業界の人々、自動車のディーラ ー、派遣従業員などにインタビューし、景況感を調査した街角景気 調査のことです。

2000年1月から実施さ れている調査で、現在の景気と比較して、3か月前と3か月後の景気はどうかを5段階評価で指数化したものです。日本の景気動向を計る指標として注目度が高いで す。

指数が50以上であれば景気が良い、50以下であれば景気が悪化していることを示します。

この指数は、現状と先行きの数値が公表されますが、注目度が高いのは「先行き」です。

街角調査なので、株価を見て景況感が変わるという見方もあって、景況感が株価を左右しているのか、株価が景況感を左右してるのか、判断できない部分があります。

そのため、景気ウ ォッチャー調査が株価に先行するかどうかということは疑問符がつきます。

景気を示す指標として「景気動向指数 」も代表的な指標ですが、景気動 向指数は、2次 あるいは3次統計です。

一方、景気ウォッチャー調査は、速報性に特徴があります。

景気動向指数

内閣府が毎月発表する、日本の景気の総合的な指標です。

求人倍率や住宅着工数など、景気に敏感な動きをする指標を総合化し、指数化しており、日本の景気の動向を把握する際に使われます。

日本の景気は、日本経済に直接影響しますので、景気動向指数の注目度はかなり高いです。

ISM製造業景況指数

米国の全米供給管理協会が、毎月第一営業日に発表する、米国企業の景況感を示す経済指標です。

ISM製造業景況指数は、米国の製造業(300社以上)を対象に、新規受注、生産、 入荷、雇用、在庫の状況をアンケート調査して指数化した指標で、信頼度の高い数値として注目度が高いです。

日銀短観と似た統計であることから、重要視されやすい経済指標です。

この指数は、大企業中心で輸出企業も多く含んで いるため、米国の国内だけというより、グローバルな景気を反映しやす い特徴があります。

米国10年国債の利回りとの連動性も強い傾向があり、米国10年国債利回 りに先行しやすい性質もあります。

ISM製造業景況指数、ISM非製造業景況指数と、米国株の相関関係は、相当高い相関性があり、公表され た結果に、米国株は敏感に反応する傾向があります。

ISM非製造業景況指数

全米供給管理協会が毎月第三営業日に発表する、米国企業の景況感を示す経済指標です(非製造業とは、主にサービス業)。

米国の非製造業(300社以上)を対象 に、新規受注、生産、入荷、雇用、在庫の状況をアンケート調査し て指数化した指標ですので、信頼度の高い数値として注目度が高い です。

日銀短観と似た統計であることから、 重要視されやすい経済指標です。

消費者信頼感指数

米国の民間経済研究所が毎月発表する、消費者の景気に対するセンチ メントを指数化した指標のことです。

平均的な消費者(約5000世帯)に対してアンケート調査を行い、消費者の景気に対するセンチメント を指数化したものです。

個人消費の動向を把握するために使わ れる指標です。

また、消費者信頼感指数は、米国GDPの関連 性が高く、米国株 や債券の先行指標として使われることが多い指標です。

米国の個人消費は、GDP(国内総生産)の2/3 を占めますので、消費者信頼感指数はGDPの先行指標となっています。

ただし、消費者信頼感指数は、わずか「5000世帯」 と、比較的小さい規模のアンケート調査の結果なので、米国のGDP と相関性が崩れることもあります。

アンケート調査には時間がか かりますので、先行指標より、遅行指標として見られることもあります。

最後に

その他に、日本では、

  • 貿易収支
  • 資金供給量(マネタリーベース)

が大切な指標になります。

資金供給量とは、世の中に出回っている現金と、金融機関が日本銀行に預けている当座預金の残高の合計です。

マネタリーベースとは、日本銀行が操作できるお金の総量のことを言います。

また、米国の経済指標ではさらに、

  • 貿易収支
  • 小売売上高
  • 住宅
  • FFレート
  • ベージュブック(地区連銀経済報告)

なども重要な指標になります。(提供:The Motley Fool Japan


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。