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経済の基本、景気循環の4つの波をおぼえよう

景気は循環すると言われますが、景気循環の波にも4つの種類があるのをご存知でしょうか。経済学の教科書でも習うのが景気循環の4つの波です。景気循環は好況、後退、不況、回復の4つの局面が順番に繰り返し現れるとされています。そして景気循環には期間に応じて4つの景気の波があると言われています。

この4つの景気循環の波は短い波から長い波まであり複雑に重なり合います。景気循環の波は必ずしも教科書通りに現れるとは限らず、あくまで目安です。

投資家の目線ですと、株価のトレンドに乗ることで結果的にサイクルに乗っていたというのが良い展開でしょう。相場や市場の大局観をみることも投資家に必要な視点です。

本記事では投資家も最低限、知っておきたい景気循環の4つの波についてご紹介します。

景気循環
(画像=Getty Images)

投資家も知っておきたい4つの景気循環とは

投資家も最低限は知っておきたい4つの景気循環は以下の4つです。

  • キチンの波
  • ジュグラーの波
  • コンドラチェフの波
  • クズネッツの波

この4つの波はそれぞれ短いサイクルもあれば長いサイクルもあります。これらの4つの景気循環の波が重なることで景気循環の波が形成されると言われています。例えばキチンの波では上昇局面でもクズネッツの波で見ると下落局面ということも起こりえるわけです。

現在はクズネッツの波が上昇局面だから買いにいくというアプローチはおすすめできません。景気の波はあくまでも目安にすぎません。むしろ現実に目の前で起きている市場全体の動きそのものに着目するべきです。

理想的なのはトレンドに乗って振り返ってみると景気循環の波にうまく乗れていたという形です。景気循環の波を根拠にトレードをすることは避けたほうが無難です。しかし大局観をもって投資するためには、4つの景気循環の概略だけでも知っておく方が投資家としての実力がつきます。

キチンの波

キチンの波とは英語ではKitchin Cyclesといいます。キチンの波では景気循環がおよそ40ヶ月で訪れるとします。比較的、短い周期の景気循環の波です。アメリカの経済学者のジョセフ・キチンが提唱した理論です。

キチンの波の根拠は企業の在庫変動です。在庫投資の活動周期が景気の循環に大きく影響しているという説です。

例えば、小売業界では好景気でものが売れる時は大量に仕入れをし在庫も十分に保管します。しかし景気後退の局面では仕入れを減らし在庫の量も減らします。小売業界の仕入れの動向で商品を卸すメーカーの売上も左右されます。そしてメーカーの売上次第で労働者の賃金にも影響があると連鎖的に影響していくと考えます。

しかし小売業界の在庫が景気に及ぼすインパクトは、21世紀のIT化とグローバル化で小さくなったとも言われています。在庫循環以外にも景気を左右するファクターが大きくなったのです。

キチンの波が考案されたのは20世紀初頭です。そのため現代の産業構造では、キチンの波が実際の景気の波と連動するとは限らなくなってきました。

ジュグラーの波

ジュグラーの波は英語でJuglar Cyclesです。ジュグラーの波では約10年ごとに景気循環が訪れるとします。フランスの経済学者ジュグラーが発見した理論です。この循環の根拠は設備投資の変動です。

企業の設備と耐久年数が約10年程度であることから、設備投資の時期によって景気のサイクルが大きな影響を受けると考えます。工場を新設したり、生産設備を購入したりする時期になると、設備を提供するメーカーの売上もあがり労働者の賃金にも連鎖的に影響が出てきます。

しかし設備投資がひと段落すると、売上が下がり労働者の賃金も下げてしまいます。その設備投資の需要が景気の波に大きく影響すると考えるのがジュグラーの波です。

クズネッツの波

クズネッツの波は英語でKuznets Cyclesです。クズネッツの波では約20年ごとに景気循環が訪れるとします。考案したのはアメリカの経済学者のサイモン=クズネッツです。

クズネッツの波の根拠となるのは建築物の需要です。建物や施設の建て替えや改修の周期が約20年程度であることから建築物の需要によって景気のサイクルが大きな影響を受けると考えます。建設投資は国の経済を支える規模の大きな事業のひとつです。ITよりも建設需要や投資の時期には一定の規則性があると考えられています。

例えば、建造物の耐久年数などは変化の速いITに比べあまり変わりません。約20年程度で建築需要によって、ゼネコンや不動産企業などの売上も建築需要に左右され景気に影響を与えるとします。

コンドラチェフの波

コンドラチェフの波は英語でKondratieff Cyclesです。コンドラチェフの波では約50年ごとに景気循環が訪れるとしています。考案したのは旧ソビエト連邦の経済学者コンドラチェフです。

コンドラチェフの波が着目するのは技術革新です。約50年周期で新しい画期的な技術が開発されて景気が盛り上がる反面、ある程度期間が過ぎれば飽和状態になり産業そのものが縮小する。そのサイクルがコンドラチェフの波です。

例えばコンドラチェフの波では蒸気機関・紡績の技術革新がひと山の景気をつくり、続いて鉄鋼や鉄道、電信などの発明が景気の山をつくりと考えます。この2つは第一次産業革命、第二次産業革命などとも呼ばれています。その後も電気・自動車・化学・石油の山。そしてエレクトロニクス、原子力、航空宇宙などの山が、コンドラチェフの山のサイクルと解釈されています。

4つのサイクルの中で最も長い期間で捉える景気循環です。現代のコンドラチェフの波はナノテクノロジーや人工知能などにあたるかもしれません。

アノマリーやサイクルで市場の風向きを捉える

キチン・ジュグラー・グズネッツ・コンドラチェフの4つの波はそれぞれ期間も異なれば着目する根拠も異なります。そのため4つの波は現実には複雑に重なり合って景気をつくります。実際はこの4つの波は投資家のツールとしては万能ではありません。キチンの波など小売業の在庫に着目するサイクルの捉え方は、現代では通用するのかと疑問を持たれています。4つの波は振り返ってみると、そうだったという後づけ程度の意味しかないかもしれません。

また、それぞれの4つの波が考案されてから歴史がそれほどあるわけでもありません。そのため4つの波をあまりに過信しすぎるのも投資家として良い判断とはいえないでしょう。振り返ってみたら景気循環の波に乗れていたなと確認する程度にしか実際には使えないかもしれません。

しかし小売業界の在庫や設備投資の需要、建設需要、技術革新などそれぞれのサイクルの根拠には大きく景気を左右するだけの力があります。先人の考えたサイクルを全く無視することもできないでしょう。景気循環のそれぞれの波が現在どのような状況、ステージにあるのかを投資家として大局観をもって考えるためにも、景気循環の波と相場のステージがどこにあるかには気を配るべきです。

まとめ

景気循環のサイクルには大きく分けて4つの種類があります。在庫に着目した約40カ月周期のチキンの波、約10年周期の設備投資に着目したジュグラーの波、約20年周期の建設投資に着目したクズネッツの波、約50年周期の技術革新に着目したコンドラチェフの波の4つです。それぞれの景気循環サイクルが複雑に重なりながら、景気をつくっていると言われています。

現代社会に必ずしも合うとはいえないサイクルもありますが投資家として、現在の景気のステージがどこにあるのかを考えるための指標のひとつとして知っておくと良いでしょう。(提供:The Motley Fool Japan


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