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経営者が従業員のために準備する退職金の種類

人手不足が叫ばれて久しい状態が、続いています。2008年のリーマンショックから10年が経過し、日本経済の問題は失業から人手不足へ完全にシフト。また、安倍政権が目玉政策として掲げている、働き方改革により、正規社員と非正規社員との間に横たわる格差をなくそうと、同一労働同一賃金制度の導入が進行中です。このような状況下で、各企業は従業員のモチベーションを上げ、退職を食い止めるリテンションプランを考える必要が出てきています。

少し古い資料ですが、独立行政法人勤労者退職金共済機構が2016年に発表した、中小企業における退職金の準備状況によると、企業の約8割が何らかの退職金制度を設けていると回答しています。退職金制度の有無が、働く側から魅力的な企業と見られる時代となっているのです。今回は、従業員の福利厚生の一環である退職金制度の特徴や、メリット・デメリットについて解説します。

1.社内に積み立てる制度

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(写真=Kinga/Shutterstock.com)

・中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度
前に述べた機構レポートによると退職金の支払い準備として利用している制度は、中退共(中小企業退職金共済)が61.3%、特退共(特別退職金共済制度)は12.4%です。これらを合わせると73.7%にもなります。中退共は国の退職金制度で、運用管理および支払いは共済機構が行います。メリットは、加入条件が中小企業向けとなっており、ほぼすべての中小企業が利用できる制度です。

また、毎月の掛け金が5,000円から1万円まで1,000円刻みで、1万円以上3万円までが2,000円刻みとかけやすい金額となっています。また、法人の場合、掛金全額が損金計上可、個人事業主の場合は、必要経費として計上可能です。一方、デメリットは掛け金を減額する場合、原則社員の同意が必要となり、さらに特定の個人だけ減額するなどはできません。さらに、加入後11ヵ月目までは退職金が支給されず、それ以降23ヵ月目までは、掛け金を下回る金額しか支給されません。

特退共は、各地の商工会議所が窓口となる制度で、「加入条件がない」「掛け金が1,000~3万円まで1,000円刻み」「退職金の不支給期間がない」などがメリットです。ただし、中退共より運用効率は低めといわれています。

・社内準備退職一時金制度
文字通り退職者が出た時点で、一時金を払う制度。通常は退職金として定期的に積み立てるのが普通ですが、退職時に一気に支払うことも可能です。これらの積立支払いなどは、すべて会社で行います。デメリットは法人の場合、損金算入できない点です。

2.社外に積み立てる制度

・確定給付企業年金(DB)
確定給付年金は、社内ではなく、生命保険会社や信託銀行等社外の財布に積み立てる仕組みです。メリットは、掛け金は全額損金算入され、原則退職金は年金として支払われますが、退職者が希望すれば、一時金で払うことも可能です。さらに、積み立てたお金の運用益は全額非課税となります。

一方、デメリットは定期的に積み立てたお金の運用が不調で終わることもあることです。退職金制度に基づいて支払う金額と比較して結果的にマイナスとなった場合、この不足分は会社側が負担する必要があります。この観点から、名称が「確定給付」となっています。昨今のマイナス金利の状況下では、このような状態に陥りやすく、企業側の負担が莫大な金額となり、確定給付年金から以下に説明する確定拠出年金に移行する企業も出ています。

・確定拠出年金(DC)
上記で述べた確定給付制度の使い勝手の悪さから、最近注目を浴びてきたのが確定拠出年金制度です。この制度は企業型と個人型があり、個人型はiDeCoの愛称で呼ばれています。企業型DCは、会社側が決まったルールに基づき拠出し、掛け金の負担は法人税法上損金として処理します。また、マッチング拠出といって、企業の掛け金に個人として上乗せすることができます。

一方、個人型(iDeCo)は、あくまで個人が拠出し、その金額は毎年小規模企業共済等掛金の欄に記載することで控除が受けられます。サラリーマンであれば、年末調整で所得控除が可能です。個人型は加入した個人について回りますので、仮に転職をした場合も転職先でポータブルできます。そして、企業型、個人型両方に共通点は、あくまで運用は個人が行うということです。

このように今まで会社任せにしてきた退職金の運用も、「個人がどの商品を選択するか」によって運用成績が大きく変わることとなります。注意すべき点は老後資金を準備することが目的となるので60歳までは基本引き落としができない点です。ここまでご紹介してきた以外にも生命保険の養老保険を使って退職金準備に充てるなどの方法もあります。いずれにしても、これからの老後資金は公的年金プラス個人での準備が大切になる時代になることは間違いありません。(提供:Wealth Window


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