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経営者が事業承継後に備えて考えておきたい「退職金」と「年金」

中小企業経営者は事業承継が無事に終われば一段落を迎えたと考えます。会社のことに意識が向きがちでも、現役時代から経営者「個人」と「法人」の両面から、「退職金」や勇退後の「年金」の対策をしましょう。

老後に向けて経営者個人が備える資金確保の方法

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(写真=PIXTA)

まず、経営者が個人で老後に向けて検討したいのは資産形成や個人年金保険などがあります。

●資産形成……預貯金と変動商品を組み合わせてポートフォリオを組む
まず、預貯金や株式、投資信託、外貨預金、債券、収益不動産投資などを活用し、勇退に備えて資産形成をすることが考えられます。預貯金や保険などの安定資産と変動商品を組み合わせ、勇退までいくら増やしたいのかを考えて、独自のポートフォリオを作りましょう。

●小規模企業共済……節税と万一に備える
小規模企業共済は小規模企業経営者、役員、個人事業主だけが積み立てられます。掛金は1,000円以上7万円まで500円単位で決められるので無理なく続けられ、掛金は全額所得控除の対象です。共済金の受け取り方法には一括、分割、一括・分割受け取りの3種類あり、一括受け取りは退職所得控除、分割受け取りは公的年金等控除の適用が受けられます。また、掛けた金額の範囲内であれば事業資金目的で低金利の借入が可能ですから、万一の備えにもなります。

●確定拠出年金……所得控除の対象になり節税も可能
企業年金等のない会社では個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」もよいでしょう。職業区分に応じて掛金の上限が異なりますが、小規模企業共済同様に掛金は全額所得控除できます。また、年金受取時には一括と分割、一括・分割の3種類の受け取り方が選べ、一括受け取りの場合は退職所得控除、分割の場合は公的年金等控除の対象です。また、運用益が非課税になるので、コツコツと積み立てたい人に向いています。

●個人年金保険と貯蓄性保険……保険で老後と万一に備える
個人年金保険や貯蓄性保険(終身保険や養老保険など)で老後と万一の備えを検討するのもよいでしょう。運用成果次第では元本欠損する「変額年金」もありますが、保障と積み立てを両方行える貯蓄型保険もあります。資産運用のひとつだと考えて、資産を組み合わせるのがよいでしょう。

経営者の退職に備えて法人が検討すべきこと

次に会社として経営者の退職金や年金をどう検討すればよいかを考えます。

●役員報酬を下げる……下げた分で退職金の積み立て
会社の役員報酬を下げて、差額分を経営者の退職金積み立てに回すことです。役員報酬を毎月62万円以上貰っているなら62万円まで下げて、上回った分を法人保険等で積み立てるのです。経営者の厚生年金保険料の上限の62万円まで給与を下げることで、健康保険料や所得税、住民税の節税にも繋がります。また、損金算入限度額以内なら、退職金を損金計上できますから、法人税の節税にもなります。ただし、税理士や社会保険労務士に相談のうえ、対応が必要です。

●中小企業倒産防止共済……取引先の万一に備える
中小企業倒産防止共済は取引先が急に倒産するなど、債権回収不能のケースで最大8,000万円(払込済の掛金の10倍まで)貸付を受けられる制度です。急な資金入用では無担保・低利率で貸付してもらうこともできます。掛金は毎月5,000円から20万円の間で年間240万円、累計800万円までは全額損金計上可能ですし、40ヵ月以上加入していれば、全額「解約返戻金」として戻ってきます。

●法人保険……節税しながら退職金準備
法人保険も損金算入しながら役員退職金の準備が可能です。保険会社や保険商品によって解約返戻金のピークになる時期や損金割合が異なりますが、退職金の支給時期に解約返戻金のピークを合わせて手配しておけば経営者の退職金準備に繋げられます。法人保険で利益の繰り延べを行い、退職金の原資が作れれば法人税の軽減にも繋がります。

●オペレーティング・リース……節税効果が高く、退職金準備もしやすい
オペレーティング・リースも節税効果が高く、損金算入率が高い商品です。リース物件は飛行機や船舶などさまざまです。日本型オペレーティング・リースは投資家(匿名組合員)が匿名組合契約によって小口化された対象資産に対して投資をしますが、管理はSPCが行いますから、資産の権利の移転は行われません。

しかし、1度の支払いで完結するので利益が多く出た年だけ活用することもでき、経営者の退職金の支給時期とオペレーティング・リースの満期時を合わせれば利益の繰り延べも可能です。法人税の節税と経営者の退職金準備の両方が1度に行えるのがポイントです。

経営時から退職後を見据えて考えること

経営者は個人・法人の両面から退職に備えた準備を行い、それに合わせた対策を始めればその分節税効果が高くなったり、積立金額が増えたりとメリットも多く生まれます。いくつか組み合わせると効果的ですが、どう対策してよいか悩む場合は、銀行を始めとした金融機関に相談するのがよいでしょう。これまでの取引関係や蓄積してきたノウハウから最適な提案を受けられるので、安心してアドバイスを受けられるのではないでしょうか。(提供:企業オーナーonline

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