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生誕120年を迎えたエンツォ・フェラーリ

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エンツォ・フェラーリが
如何に特別な存在であるか

「エンツォ・フェラーリの誕生が19世紀であるということを考えると信じ難いものがあります」。そう話すのは、フェラーリの会長兼CEOを務めるセルジオ・マルキオンネです。彼はこれに加えて次のように述べています。

「エンツォの教訓はかつてないほど現実の問題に直結していて、彼が有していた現代的センスにも確かなものが感じられます。エンツォは非凡なるビジョンを抱いていた人物であって、企業家精神と類まれな勇気を持ち合わせていたうえに、人やリソースのマネージメントにも長けていました。

彼が現在の技術的リソースや知識に接することができていたら、どんな業績を残していただろうかと思うことがあります。彼がこの世に残した足跡は、フェラーリのスタッフ全員およびイタリア全体にとって、誇りの源であり続けています」。

このようなプレスリリースが全世界に発信されたのは今年の2月18日のことだった。イタリアの、そして北米の自動車産業を牛耳る巨人が、この120年前に生まれた男の存在をここまで称賛するというところにフェラーリというブランドの凄さがある。

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フェラーリのユニークさは何をおいてもエンツォ・フェラーリという創業者のパーソナリティの存在感だ。これが未だに世界中に共有されているということは、とんでもなく特別なことだ。そもそも、イタリアの片田舎に存在する総従業員数たかだか数千人の会社の存在を老若男女が知りうるということ自体、相当優れたブランド戦略を古くから持ち続けていたことを意味するのだが・・・。エンツォの生まれ年である1898年生まれといえば日本では宮沢賢治や井伏鱒二ら、である。その100年以上前の人間の生き様が現在でもリアルに生きているかのように語られているというのは考えられないことだ。

エンツォはアルファロメオのスポーツ・ディレクターを務めた後に、スクーデリア・フェラーリというアルファロメオのレーシング・チームを起こした。そして第二次大戦後はオリジナルのマシンであるフェラーリを製造するメーカーのオーナーとなった。当初より北米マーケットにてカーマニアやアマチュアレーサー達に利益率の高いモデルを販売し、その売上をベースとしてF1などのモータースポーツへ参戦するための資金を確保するという黄金の事業構造を確立する。

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レーシングドライバーとしてのスキルは平凡であったと言われているし、技術においても特筆して明るかった訳でもないエンツォがレース界の主役となれたのは、その類まれな人心収攬術と情報操作術にあったと言われる。彼は相当に個性的なキャラクターであったようだ。

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日本においては歴史上の人物を美化する傾向が強い。エンツォ・フェラーリにしても日本では同様に美談が選ばれて語られているようで、物理的距離もあり、なかなか本質的な人物像が伝わっていない。しかし、モデナに住む人々の昔話を聞くと、エンツォに関して生々しいハナシも、もちろん出てくる。さらに、彼の存在がまだ全く風化していないということを強く感じる。1988年8月14日に90歳にて亡くなったエンツォであるが、その数カ月前に行われた最後のエンツォ・フェラーリ大誕生会では千人を超える元従業員を含む関係者を招き、感動的なシーンが繰り広げられた。その今から、30年前の出来事がつい昨日と思わせるように、毎年毎年、これでもかというほどエンツォのリアルなイメージをフェラーリは発信し続けている。これも皆、エンツォ本人が社訓であるかのように、自ら経営陣に刷り込んでいた戦略そのものだ。

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