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物流の救世主となるか ドローン物流の現状に迫る

昨今、物流業界では人手不足が叫ばれている。そこで注目されているのがドローンによる配送である。現在、国内外問わず多くの企業がドローン配送ビジネスに参入しようとしている。今回は物流業界全体の課題と各社の動向、ドローン物流を展開するにあたり直面する今後の課題を説明する。

物流業界の膨れ上がる課題

ドローン物流,現状
(写真= MUFG Innovation Hub編集部)

インターネット通販の拡大により宅配件数は年々増加している。近年ではネットスーパーで食料品や日用品を購入することができ、日常的な買い物にもインターネット通販を利用する人が増えている。それに伴い、多くの人が再配達や即日配送などのより便利なサービスを望むようになってきているのではないだろうか。一方で、配達業者の人員不足や高齢化は進んでおり、この傾向は年々大きくなっている。また再配達の影響は深刻で、宅配の取扱個数全体のうち約2割が再配達になっている。この約2割の再配達をドライバーの労働力に換算すると年間約9万人分にもなる。

高齢化の進行や自動車を保有しない人の増加に伴い、大量の荷物を運ぶことが困難な人、手間に感じる人も同様に増加していくことが予想される。そのため、今後も宅配件数は増加していくと考えられる。今後も続く宅配件数の増加と人員不足に対応するためにも、荷物を早く確実に届ける新たな方法の構築は重要な課題である。

ドローン配送の実現を目指す各社動向

日本では、環境省・国土交通省連携事業として「過疎地域等における小型無人機を使用した配送実用化推進事業」を関係企業へ委託し、実証実験を行っている。ここではネット通販や物流に関わる企業が行っているドローンを活用した配送への取り組みを紹介していく。

楽天株式会社は、株式会社自律制御システム研究所と共同でオリジナルのドローン「天空」を開発し、ドローンを使用した配達サービス「そら楽」を地域や期間限定で提供している。利用者が専用アプリで商品を注文すると、ドローンが倉庫から指定された受取所まで商品を配達する仕組みだ。「天空」の最大の特徴は、完全自律飛行が可能で操作の必要がなく、離陸から帰還まで全自動であることである。加えて、一目で商品の重量が分かる「重量インジケーター」を搭載しており、安全に商品を配達することができる。

ブルーイノベーション株式会社は東京大学と共同で、安全な離着陸を実現する物流用ドローンポートシステムを研究開発した。通常のGPSでは、位置情報の誤差や電波が途切れる可能性がある等の課題があったが、このシステムではドローンポート上の画像認識により精度の高い着陸ができる。さらに、風速や人の立ち入りの状況に応じて離着陸を禁止することができる機能も備わっている。

海外では、既にドローンを利用した宅配サービスを実用化している企業がある。一例として、アイスランドのスタートアップ企業Ahaでは、ドローンを利用して料理や食料品、電化製品を配達するサービスを2018年から展開している。事故リスク低減のため、配達ルートは人が少ない区域や川・湖の上等に設定され、ルートは随時更新される。過去5ヵ月間の約500件の配送では事故は報告されていない。商品の注文はスマートフォンのアプリから行い、配達料金は約7ドル(約770円)である。

このように、様々な企業がドローンを活用したサービスを提供するため日々研究開発を行っている。

ドローン配送の実現に向けた課題

ドローン配送の本格的な実用化に向けて様々な研究開発が行われているが、現状では安全性やプライバシー、騒音など解決すべき課題が数多くある。

特に安全性はクリアすべき大きな課題の一つであると言えるだろう。前述の日本国内における実証実験でも、まずは山間部などのニーズが見込まれる地域で飛行検証を行う。そして、2020年代には都市部で安全なドローン配送を本格化させることを目標に、技術開発を進めている。

前述の物流用ドローンポートシステムでは、飛行時の安全性確保と緊急時の対策、多数のドローンによる同時飛行を実現させるための運航管理が重要となる。また、ドローンの犯罪利用を防止する方法も検討する必要があるだろう。

ここまで紹介したように、多くの国や企業がドローン配達に関心を持っている。多数のドローンが上空を飛行し荷物を配達する光景が見られるようになるのはまだ先になるだろうが、物流や小売などの関係業界や消費者全体に利益をもたらすことができる方法の検討と、課題の解決が望まれる。(提供:MUFG Innovation Hub

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