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本気で働き方改革を進めない、サラリーマン社長の罪

日本企業は「イノベーション力」を身につけよ

働き方改革,高岡浩三
(画像=THE21オンライン)

市場が変化しているにもかかわらず、時代に合わないビジネスモデルを前提とした経営計画に振り回され、現場に負担がかかっている日本企業は多い。多くのビジネスパーソンが、今の働き方に不安を感じている。ネスレ日本代表取締役社長の高岡浩三氏は、こうした現状に警鐘を鳴らす。なぜ、ネスレ日本は低い利益率が常態化した食品業界で、増収増益を更新し続けられるのか。その働き方から、生産性向上のヒントを探る。

日本が依存する新興国型ビジネスモデル

売上げや利益を伸ばすと同時に、残業削減も実現──。そんな働き方改革の理想を実現したのが、ネスレ日本の代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏だ。2010年の社長就任と同時に働き方改革に着手し、7年連続増収増益を達成。一方で、テレワークを推進して、社員の残業時間も激減させた。もちろん給与水準も上がっている。

ネスレ日本は何が違うのか。ポイントは、「新興国モデルから先進国モデルに脱皮できているかどうか」だと高岡氏は言う。

「新興国モデルとは、低賃金で優秀な労働者が長時間働く。そして、海外で生まれた新たな商品を改良し、それを大量に生産し、安く販売するビジネスモデルのことです。日本の高度経済成長は、まさにこの新興国モデルによって成し遂げられました。当時の日本の労働力は安くて質は世界一だったのです。

ところが、賃金が高くなり、人口減で若い働き手も減ったことで、このモデルのままでは、中国や東南アジアなどの新興国に勝てなくなりました。稼ぐためには新興国モデルから先進国モデルへと脱皮しなければならなくなったのです」

先進国モデルとは、イノベーションを起こして、世の中の問題を解決する高付加価値の商品・サービスを生み出し、少人数で少ない労働時間でも稼ぎ出すモデルだと高岡氏は言う。

「モデルの転換に成功した典型例はアメリカです。自動車などの産業からインターネットを使ったビジネスに国ぐるみで取り組むことで、『GAFA』のような企業が誕生しました。こうした企業が、イノベーティブな商品やサービスを作ることで、とんでもない利益を生み出しているのはご存知の通りです。日本企業が再び稼ぐ力をつけるためには、先進国モデルに転換するより他ありません。ところが、多くの日本企業はその変化に乗り遅れました。いまだに新興国モデルから脱皮できていない企業も少なくありません」

新興国モデルの問題点は、儲からないことだけではない。働き方改革も進められないことだ。

「新興国モデルで稼ぐには、長時間働くことが必要ですから、残業時間を減らせば、売上げや利益が下がるだけです。儲からなければ、給料も下げざるを得ず、従業員のモチベーションは下がる一方。こんな悪循環を招いてしまうのです。これでは、永遠に働き方改革はできません」