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日本人よ、吉本パワハラ騒動を忘れる前に「チャンスに変えて」。 イラン出身コンサルの石野シャハランさんが訴える。

吉本興業に所属する芸人の「闇営業」問題が思わぬ広がりを生んでいる。

そもそもの発端は、宮迫博之さんらが事務所を通さず反社会的勢力のパーティーに参加し、報酬を受け取っていたことだ。

しかし、宮迫さんらが記者会見を開いて事実を説明・謝罪したいと吉本側に相談したところ、同社が拒否していたことが発覚。その際に岡本昭彦社長が「連帯責任で全員クビにするから」などと発言したことが「パワハラではないか」と物議を醸している。

さらに、芸人との契約も、書面を通さず口約束で行われていることや、ギャラの配分が不透明だったことも芸人らが告発。芸人と反社会的勢力のつながりが問題の根幹だったはずだが、思わぬ形で吉本の企業体質に関心が集まっている。

日本の企業文化に詳しいコンサルタントの石野シャハランさん「ブラック企業文化を何とかしてほしいという声が高まっている」と分析。企業文化に「おかしい」と声を上げるまたとないチャンスだと考えている。

インタビューに応じる石野シャハランさん

■「ブラック」に関心が移る

シャハランさんはイラン出身。日本の大学を卒業後、国内の会社で10年以上営業マンとして働いてきた。その生活で感じた日本の企業文化への疑問をきっかけに「シャハランコンサルティング」を立ち上げ、外国人社員との共生を主なテーマにコンサルを行っている。

シャハランさんが注目したのは、吉本をめぐる一連のニュースで、人々の関心が「闇営業」から「吉本の企業体質」へすり替わっていることだ。

中でも、「テープを回してないだろうな」や「連帯責任でクビ」などの岡本社長の数々の発言が物議を醸している。

シャハランさんは、こうした発言があったことにも「驚きはなかった」という。

社長からの圧力は一番あってはいけないことだ思います。一言で言うと立派なパワハラです。ただ、正直に言うと、全く驚かなかったんです。

なぜなら、こうした事態は、今この時間にも日本中で起こっていることなんです。芸能界といえども構造は一緒なんです。お金をもらって芸を売る。私はお金をもらって会社の機械を売っていました。形がある・なしの違いだけです。

会見する吉本興業の岡本社長

 ■「メモリを増設したら?」

岡本社長は、「テープ回してないやろな?」などの発言は、場を和ませるための「冗談だった」と会見で釈明した。

同じ経験は私にもあります。営業成績が良かった時に、上司から「(頭の)メモリを増設したら?」と嫌味を言われたことがありました。

後日、「パワハラですよ」と問いただしたら「もっと出来ると思っていたから冗談で言ったんだ。謝罪する」と。

芸能界だけじゃない。社会の色々な企業で起きていることなんです。何とかしないと、これは本当にまずいと思います。

(今回の場合)社長がファミリーと言っていますよね。僕にはちっともファミリーに見えませんが。

このように、会社は社員を「身内」だと判断すると、だんだん「人」として見なくなることがあります。社長が1%でも冗談で言っていたならば、トップとして機能していないと言わざるを得ません。

シャハランさんは、日本の企業文化が肌に合わず、国外の企業へ転職する人材を多く知っている。それが、コンサル業を始めた理由でもある。

他の国でも上司や先輩のアタリがきつい事はあります。ただ、これほど、あるゆる業種や年代で日常的に(パワハラが)起こっている国が果たして日本以外にあるのか

他の先進国では万が一こういうことが起こっても、労働組合があったり、容易に転職ができたりと、何らかの受け皿があるんです。

日本はその逃げ道がなさすぎなんです。他の行き場所がないことは上も知っていますから、どんどん圧力が増す構造にあります。

芸能事務所の場合、やめた場合のリスクもあると推測しますが、一般の社会でも、30年(同じ会社で)働くという美徳がまだあります。

それに加え、一部では転職したら『根性がない』と言われることもあります。

私も転職した時に言われましたが、「何でそんな一言で私の全てを片付けてしまうの?」と思います。

その上で、吉本のような状態の企業が変わるには、膿を全て出し切る必要があると指摘する。

一番最初にやらないといけないのは、皆の不満を全部吐き出すことです。

芸人やタレントだけでなく、マネージャーやスタッフまで全員です。1から100まで全部吐き出す。そこから一個一個潰していかないと治らないでしょう。

何十年も続いている企業の場合、(不満が)積もっていますから。一瞬で治すのは無理ですよ。

■騒動は「声を上げるチャンス」

吉本の内幕が次々に芸人から告発されていく中、シャハランさんが願うのは、この騒動を一企業内のゴタゴタで終わらせて欲しくないということだ。

世間の目が、パワハラが公然と行われる企業体質へ批判的に向いている今こそが「チャンス」だと呼びかける。

吉本だけじゃない、他の社会ももっともっと声をあげるべきです。人事、総務、管理部などへ、上司が動いてくれないなら自分で動くべきです。

(声をあげても)会社はそれを理由にクビにはできません。

国民の目が向いている今をチャンスと思って声をあげてください。

半年もすれば、大半の日本人はこの騒動を忘れますよ。そしたら、これだけのチャンス、もうしばらく出てきません。

チャンスをぜひ活かして、勇気を持って声を出して、今の社会を変えて欲しいんです。