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投信のいろは 第8回「超高分配」のカラクリ第2弾∼なぜオプションを使うの?

毎月200円以上など、高水準の分配を行うファンドで最近よく用いられているのが「カバードコール」、または「オプション・プレミアム戦略」と呼ばれる運用手法です。今回は、多くの方が難しいと敬遠しがちなオプション戦略について、簡単な例を使ってご説明します。

あなたは時価10,000円のA社株式を保有しています。A社株式はこれから10,500円に上がるかもしれないし、9,500円に下がるかもしれません。1カ月後、順調に上昇して10,500円になった場合、500円の収益を手にすることができます。しかし、あなたは万が一9,500円に下落してしまった場合の損失を少しでも抑えたいとも考えています。

実は、こうした悩みを和らげるのが「カバードコール戦略」です

株価下落時の損失を抑えたいあなたは、向こう1カ月の間にA社株式が上昇した場合の収益を500円ではなく最高で300円に抑える一方、代償として今50円の「プレミアム」を受け取る契約を結びました。もし1カ月後にA社株式が10,300円を超えて上昇していたとしても、300円以上の儲けを手にすることはできません。ただし、契約を締結した今の時点で確実に50円の収益が確定します。

では、この契約を結んだ後、1カ月後にA社株価が上昇していた場合、変化しなかった場合、下落していた場合の結果を見てみましょう。

図1
(画像=トウシル)

上記の例の場合、あなたが期待できる今月の最大収益は350円です。したがって、A社株式が10,350円を超えて上昇してしまったらこの戦略は失敗ということになり、逆に10,350円未満にとどまったら、たとえA社株式が下落したとしても、戦略としては成功ということになります。

毎月分配型の投資信託の一部で採用されている「オプション・プレミアム戦略」あるいは「カバードコール戦略」と呼ばれる運用手法の概念は、上記のように将来のある水準以上の収益機会を手放す代わりに、現実の収益を受け取るということです。この戦略を毎月繰り返すことにより、上記の「50円」の「プレミアム」に当たる収益が、毎月安定的に分配金の元手の一部として獲得できる仕組みです。

ただし、株価がある一定水準以上に上昇した場合には、その水準以上の収益は受け取れない、というデメリットにも注意しましょう。上記の例では10,350円がその分岐点になります。

ここでは株式の例で説明しましたが、リートや通貨などでも同様の戦略をとることが可能です。株式と通貨の両方でこの戦略を採用しているファンドもあります。

篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
慶應義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行で資産運用関連業務に従事後、ロイター傘下の投信評価機関リッパーで市場分析担当、ファンドアナリストとして活躍。2013年より現職。

(提供=トウシル

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