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後継者不足に悩んでいる企業は何万社?スムーズな事業承継の方法

2018年11月3日付けの日経新聞に事業承継の状況の記事が掲載されました。東京商工会議所の「東京都事業引継ぎ支援センター※」で、2018年度上半期(4~9月)に中小企業から受けた事業承継・譲渡に関する新規相談は589社(対前年比34%増)。また、承継・譲受にいたった案件は20%増の36件でした。

※経産省がM&Aを通じて第三者への事業承継を支援するための機関

どちらも上半期としては過去最多の件数で、特徴としては、年間売上高が3億円以下で、譲渡を希望する小規模企業の比率は2015年度通期の66%から84%へと上昇し、担当者は「M&A(合併・買収)の活用が念頭になかった小規模企業の意識が変わってきた」とみているようです。中小企業庁の調査によると、今後10年で70歳を超える中小企業、小規模事業者の数は約245万人で、そのうちの約127万社が後継者未定と回答しています。

このような状況下で、スムーズな事業承継の仕組み作りは待ったなしの状態ですが、その方法にはどのような種類があるのでしょうか。以下にその内容とそれぞれのメリット・デメリットをあげてみましょう。

1.親族に承継

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(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

最もオーソドックスな方法で、子どもや近しい親族に事業を継がせる方法です。

【主なメリット】
・社内、社外の関係者の同意が心情的に受け入れやすい
・後継者を早く決めれば準備期間が長期間取れること
・自社株やバランスシートの承継も同時に行えば会社の所有と経営の一体化がスムーズにいくこと
・自分の子どもに継がせることで、今まで築いてきた事業を自分の代で終わらせたくないという気持ちに合致する

【主なデメリット】
・あまりに自分に身近な存在のため、後継者としての力量を客観的にみることが難しい

2.役員、従業員に承継

社長の番頭役であったり、取引先、金融機関の関係者であったり、会社のことをよく知る人が後継者となるケースがあります。メリットは、この人だったら、後継者として会社を上手く回していけるだろう、といった長く働いている人たちの納得感が得られる点でしょうか。一方、会社の株式を親族などに分けている場合、「親族株主の了承を得る」「買い取りにより株式を集中させないと株主と経営者の分断が起こる」などが考えられます。

3.M&Aによる他社への売却

近年脚光を浴びているのが、前述の通りM&Aによる事業承継です。

【主なメリット】
・会社に適任者がいない場合、広く外部に経営を任せる人材を募ることができる
・現経営者は会社の売却により利益を得ることが可能になる

【主なデメリット】
・創業者が会社経営から退くため、心情的なハードルが高い
・会社に愛着があるほど第三者に手離れする無念さが創業者に出てくる
・会社を売却するにあたり、デューデリジェンスの費用など弁護士などへの外部の専門家へ支払う費用が発生する

このように、いろいろな方法によって事業承継を行うことができますが、その準備には後継者の育成も含めれば5~10年という長い準備期間が必要です。会社として何から手を付けたらよいかわからず、着手を先延ばしにしたため、結果として廃業せざるを得なくなるケースも散見されます。後継者に託する3つの要素として、「人」「資産」「知的資産」があげられます。後継者選びや教育は「人」、株式や工場、事業用資産、土地などは「資産」、経営理念や経営者の人脈、金融機関からの信用などは「知的資産」に分類されます。

それぞれの要素をできるだけ欠けることなく次の世代に引き継ぐことが、事業承継の成功につながります。日本産業の活力の源は、中小企業の力強さです。国もこれから迎える大廃業時代に事業承継税制などを整備して、何とかスムーズに引き継げるようさまざまな背策を用意しています。「事業承継を考え始めよう」と思ったとき、まずは身近な商工会議所などにご相談してみてはいかがでしょうか。(提供:Wealth Window


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