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富裕層の趣味「乗馬」はどう始めればいい?ビジネススキル向上も期待

「馬術」はオリンピック競技ですが、貴族、上流階級のたしなみだった趣味の「乗馬」は、日本では各地にある乗馬クラブで入門できます。名門クラブもリーズナブルなクラブもありますが、乗馬それ自体、ビジネスリーダーに必要な素養を養える要素を持っています。

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2019.10.10

乗馬は貴族、上流階級、富裕層のたしなみ

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スポーツの秋たけなわ。来年2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。その近代オリンピックの第2回パリ大会(1900年)で初めて実施され、第5回ストックホルム大会(1912年)以降、正式種目として続く競技が「馬術」です。1932年のロサンゼルス大会では日本の西竹一選手が障害飛越個人で金メダルを獲得しました。
当時の参加資格は「男子の騎兵隊将校」に限られ、西選手も陸軍騎兵中尉でした。馬術が含まれる「近代五種」(フェンシング、馬術、水泳、クロスカントリー走、射撃※)も同様でした。※2012年ロンドン大会から射撃とクロスカントリーの両競技を統合してレーザーランに変更されました。
軍人でなくても、女性でも、馬術や近代五種競技に出場可能になったのは第二次世界大戦後、1952年のヘルシンキ大会からです。なぜそんな出場資格が長く残ったかというと、馬術は中世の騎士にルーツがあるヨーロッパ貴族のスポーツだったからです。第一次世界大戦(1914~1918年)以前、ヨーロッパの国々の軍の将校(少尉以上)のほとんどは貴族の子弟だったので、事実上、オリンピックの馬術競技、近代五種競技の選手は貴族階級の出身者で占められていました。
現在も競技の服装は燕尾服やネクタイ着用です。馬術はそんな貴族社会の「伝統と格式」を重んじるスポーツなので、産業革命後に登場し貴族のステータスに憧れた新興の資本家層(ブルジョワ)は、オリンピックには出られなくてもこぞって馬を飼って「乗馬」を楽しむようになり、乗馬は上流階級、今で言う富裕層のたしなみになっていきました。

乗馬を始めるには「乗馬クラブ」が良い理由

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さて、現代の日本で乗馬を始めるにはどうすればいいのでしょうか?
日本中央競馬会(JRA)が中央競馬の競馬場に設けている乗馬センターで運営する「乗馬少年団」や初心者乗馬教室、大学の馬術部で始めたという人もいますが、愛好者の多くは地域にある「乗馬クラブ」で入門しています。
クラブは会員から会費を集めてクラブ名義の馬を購入し、厩務員に飼育や調教を依頼し、会員は予約して馬に乗ります。馬場ではインストラクターから乗馬の指導を受けます。
馬は引退した地方競馬の競走馬や、馬主がつかず競走馬になれなかった馬、お祭りなどイベントに出た馬、映画やテレビの時代劇に出演した馬が多いようです。人を乗せた経験が豊富で年齢的にも落ち着いておとなしく、気むずかしくて暴れるような荒馬はほとんどいません。品種はサラブレッドが大半ですが、ジュニア会員のためにポニーなど小型の馬を用意しているクラブもあります。
東京・町田市をはじめ全国35カ所で運営する国内最大手の乗馬クラブ「クレイン」の場合、正会員は入会金15万円、月会費1万5,000円、1レッスン45分の騎乗料平日1,500円、土日祝2,000円ですが、平日会員は入会金が半額になります。
入会金を9万円、月会費を8,000円に抑える代わりに騎乗料が平日3,000円、土日祝3,500円になる「限定会員」というコースもあります(消費税別)。
(※価格は2019年9月30日現在のものです。)
東京・参宮橋にある公益社団法人「東京乗馬倶楽部」は1921年(大正10年)創立の名門で、正会員2名の紹介を受け、会長の面談と理事会の承認を経ないと正会員になれません。入会金200万円、年会費9万6,000円以外に騎乗料、指導料、鞍置、ロッカーの使用料など別途かかります。入会金が30万円になる「友の会」、入会金、年会費がなく騎乗料、指導料が高い「ビジター」もあります。
たいていの乗馬クラブは無料か格安料金で馬に試乗できる体験プランを設けています。
入門者にとってはありがたい制度でしょう。

馬を乗りこなせる人は良きリーダーになれる

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乗馬クラブもヨットクラブやテニスクラブと同じように、「名門」といわれるクラブの正会員はハイ・ソサエティの人たちが集まっています。趣味を同じくする富裕層の人たちと知りあってその「インナーサークル」に加わりたいという人には、それなりの見返りがあるかもしれません。
しかし、ふつうの乗馬クラブに入っても、乗馬それ自体に管理職、経営者に必要なリーダーシップを養える要素があります。
馬は賢い動物で、信頼できる人が乗ると的確に反応して期待にこたえ、頼りなさげな人が乗ると適当にあしらい、怒鳴ったり叩いたりする人が乗ると指示を聞かなかったり、反抗することさえあります。
人を見て態度を変えるのは、まるで人間のようです。そのため乗馬は、組織の中で部下を持ったらどんなことが必要なのか教えてくれます。言葉が通じない馬と「人馬一体」になれる人は、組織の中で部下をよく観察し、その気持ちを察して、リーダーシップをうまくとれる人でしょう。
昔の軍隊で将校に馬術の訓練が奨励されたのも、戦場で兵士を率いるためのリーダーシップを養うという意味がありました。将来、ビジネスの世界でリーダーになりたいと志す人にも、乗馬はプラスになるはずです。
寺尾淳(Jun Terao)

寺尾淳(Jun Terao)

本名同じ。経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、現在は「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)などネットメディアを中心に経済・経営、株式投資等に関する執筆活動を続けている。

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