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効率的な問題解決に「ロジックツリー」を使うメリットと活用時のポイントを解説!

(本記事は、齋藤健太氏の著書『新装版 問題解決のためのデータ分析』=クロスメディア・パブリッシング、2019年2月1日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

データ分析とロジカルシンキング

新装版 問題解決のためのデータ分析
(画像=新装版 問題解決のためのデータ分析※クリックするとAmazonに飛びます)

問題解決のために苦労して分析を行うからには、成果が出る打ち手を導きたいものです。仮説をもとに根本原因を見極め、打ち手へとつなげていくことが、問題解決の成否を決定づけるといってもいいでしょう。

今回は、仮説や課題を洗い出し、結果を出していくにあたって必要になる考え方やフレームワークをご紹介します。

ビジネスにおけるさまざまな問題の解決には、ロジカルシンキングが重要だということがいろいろなところで語られますが、データ分析においてもロジカルシンキングが大切です。

ロジカルシンキングを日本語でいえば「論理的思考」と表現されます。論理的思考というと、難しい理論をこねくり回して相手を論破するようなイメージを持たれる場合がありますが、それは違います。原因と結果を明らかにするための「筋」が通った考え方ということです。

ロジカルシンキングは、問題解決を進めていく中で立ちはだかる数々の事象や仮説を、原因と結果にスッキリ分けて、誰が見てもわかりやすく構造化していくことなのです。

問題の構造を把握するロジックツリー

問題解決のプロセスで大切なことは、「問題の本質は何なのか」を明らかにすることです。

つまり、「現状」と「あるべき姿」を分けて考え、あるべき姿に近づくためには、現状において何が真の問題なのかを突き止め、それらに必要な打ち手を構築して、問題をひとつずつ潰していくのです。

数多く存在する問題をやみくもに潰していくだけでは、時間もかかり、根本的な問題解決につながりません。数ある問題の中から何が真の問題なのかを見つけることは、最小限の努力で最大の効果を得る問題解決方法にもなります。

まずは、問題点だとされていることをそのまま鵜呑みにしてしまうのではなく、「真の問題点を探していく」という意識を持つことが重要です。

問題点につながるいくつもの原因を分解して整理するために非常に便利なフレームワークが「ロジックツリー」〈図表2〉です。直訳すると「論理の木」ですが、大きな問題点からたくさんの原因や要因が枝分かれしていくのでそう呼ばれています。

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(画像=新装版 問題解決のためのデータ分析より)

ロジックツリーを作成するには、ロジカルシンキングをしながら全体を俯瞰していくことがポイントです。

紙に書き出していくのでもいいですし、ロジックツリーを作成するソフトウェアやインターネット上のクラウドサービスが多数あるので、それらを利用するのも一案です。

ロジックツリーを用いるメリットは主に以下の2つです。

(1)問題の全体像が明確化できる

複雑で解決不可能とも思えるような問題点であっても、それを細分化して整理できます。起こっている現象同士のつながりを可視化することができるので、解決策(打ち手)が的確かどうかについても判断できます。

また、分析者自身の頭の整理にもなりますし、上司に説明する際や交渉・プレゼンの準備をする際にも、これまでにどのような過程をたどって分析を行ったのか思い出すことができるので、メモとしても非常に有用です。

(2)議論のズレを修正できる

現場では「階層」のズレたところで議論を交わすことがよくありますが、それを防ぐのにもロジックツリーは役立ちます。

図表2の例でいえば、「新規顧客が減少」と「客単価が減少」の優劣を論じても、お互いの階層が異なるので比較できません。この場合は、「客数が減少」と「客単価が減少」といった同じ階層のもので優劣を論じる必要があります。

ロジックツリーを使いこなす3つのポイント

ロジックツリーを最大限に活用するためには、ポイントが3つほどあります。それぞれ解説していきましょう。

⑴ロジックツリーをつくる際の注意点

ロジックツリーをつくる際の注意点としては、大きく2つ挙げられます。

1つは、同じレベルの枝では分類基準が揃っていることです。

そしてもう1つは、分解した要素に漏れやダブりがないことです。また、下位概念で分解した要素は、それらの上位概念のすべてが網羅されていることが重要です。

上位概念から下位概念への分解は、なるべく2~3個、多くても5個くらいまでが適当といわれています。いきなり多く分解すると内容が把握しづらく、何より漏れやダブりが発生する可能性が高くなります。

2~3個ずつに分解していきながら課題をブレークダウンしていくことが大切です。

⑵課題仮説の抽出はMECEに

課題仮説を間違いなく抽出するためには、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)に捉えることが重要です。

MECEは“ミーシー”と発音し、日本語に訳すと「漏れなく、ダブりなく」という意味になります。MECEの本質は「全体を捉えて、それをいくつかの分類に正しく分けること」。そしてその際にポイントとなるのは、どのような切り口で分類するのかということです。

では、パソコン市場を例として、MECEになっている切り口で整理してみましょう。

「ノートパソコン」「デスクトップ」などパソコンのタイプ別の切り口、「20代」「30代」「シニア」など購入者の年代別の切り口、「個人」「法人」という使用者の属性別の切り口、あるいは「ファミリーで使う」「恋人と使う」「ビジネスで使う」など用途別の切り口などがあるでしょう。

全体を分類するには、目的に沿って、どの切り口を使って分けるかということが大事になります。

ただし、複数の切り口を混在させてしまうと、漏れやダブりが生じる原因になります。

MECEになっていない例として、図表3のようなパソコン市場の切り分けが挙げられます。ここでは、ファミリー層と20代社会人層・シニア層はダブっていますし、ノートパソコンも同様です。一方、30代〜50代やキッズ層、法人顧客は市場の定義から漏れてしまっています。

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(画像=新装版 問題解決のためのデータ分析より)

パソコン市場全体を捉えた上でMECEに分解し、その結果として「法人市場は力を入れない」という結論に至るのはかまいませんが、はじめから法人市場が漏れたまま考えてしまうと、意味合いが異なってきます。

思いつくままにターゲットを出すだけでは、この例のように漏れやダブりがある状態になってしまいます。

したがって、MECEを意識し、全体像を掴んで議論することが重要なのです。

⑶ツリー構造にして仮説を具体化する

問題を分解し整理するロジックツリーは、導き出された仮説を分解し整理することにも活用できます。これは「イシューツリー」と呼ばれることもあります。

基本的な構造はロジックツリーと同じですが、「出発点」を異にしています。

たとえば、図表4のように、その時点での仮説を出発点として、そこから導かれる要素を分解していくことで、大元の仮説を具体化することができます。

こうすることで、仮説を実行する際に検討すべきポイントを洗い出すことができるのです。

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(画像=新装版 問題解決のためのデータ分析より)
『新装版 問題解決のためのデータ分析』
齋藤健太(さいとう・けんた)
株式会社クロスメディア・コンサルティング代表取締役社長。慶応義塾大学理工学部卒業。(株)船井総合研究所にて戦略コンサルティング部に属し、幅広い業種において、主に中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等に携わる。その後、2012年1月に独立。独立後も製造業や小売業、サービス業など大小さまざまな企業の課題発見に従事し、成果を上げる。特に、データ分析においては、他のコンサルティングファームからも依頼がくる実績を持つ。2018年10月にクロスメディア・コンサルティングを設立、現在に至る。

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