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個人年金保険の受け取りにかかる税金は?計算方法も解説

個人年金保険の年金受取を開始すると税金が発生する可能性がある。発生するのは所得税や贈与税だ。それぞれの税金がどのように発生し、課税されるのかを確認したい。

個人年金保険の受け取りにかかる税金は契約者と受取人の関係で決まる

個人年金,税金
(画像=totojang1977/Shutterstock.com)

個人年金保険の受け取りにかかる税金は、契約者(保険料負担者)と受取人の関係によって決まる。契約者と受取人が同じなら、受け取った年金は雑所得となり所得税と住民税の課税対象だ。契約者と受取人が異なる場合は初年度のみ贈与税の対象になり、2年目以降の年金収入は雑所得となる。

契約者(例) 受取人(例) 発生する税金
A(夫) A(夫) 所得税・住民税
A(夫) B(妻) 贈与税

それぞれの税金がどのようにかかるのか計算方法を確認していきたい。

個人年金保険の年金受け取りで所得税と住民税が発生する場合の計算方法

契約者と受取人が同じ場合は受け取った年金は雑所得となる。雑所得は総合課税の対象なので、他の所得と合算した金額に対して、所得税と住民税がかかる。

雑所得は受け取る年金と支払った保険料をもとに計算される

雑所得は「総収入金額-必要経費」で計算される。総収入金額は年間で受け取った年金額の合計だ。

個人年金保険における必要経費とは、「年金年額×払込保険料総額÷年金の総支給見込み額」である。総支給見込み額は終身年金のように支給期間が確定していないものもあるため、年金の種類によって以下のように計算される。

・終身年金……年金年額×余命年数
・確定年金の場合……年金年額×支給期間
・保証期間付終身年金の場合……年金年額×余命年数と保証期間年数のいずれか長い年数
・有期年金の場合……年金年額×支給期間と余命年数のいずれか短い年数

支給開始日ごとの余命年数は以下を参考にしてほしい。

  60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳 66歳 67歳 68歳 69歳 70歳
男性 19 18 17 17 16 15 14 14 13 12 12
女性 23 22 21 20 19 18 18 17 16 15 14

※筆者作成

個人年金保険にかかる所得税と住民税の計算例

雑所得の計算方法は上記の通りだが、具体的な例を見ていきたい。

<条件>
・契約者と受取人が同じ
・受取開始年齢……60歳
・受取期間……10年確定
・年金年額……63万円
・払込保険料総額……600万円

<必要経費>
63万円×600万円÷630万円=60万円

<雑所得>
63万円-60万円=3万円

雑所得は総合課税の対象なので、この3万円に給与所得や不動産所得など他の所得を合算し、各種所得控除を差し引いた金額に対して所得税・住民税が課税される。

個人年金保険の年金受け取りで贈与税が発生する場合の計算方法

契約者と受取人が異なる場合は贈与税が発生する。贈与税の場合は所得税や住民税とは計算方法が異なる。

贈与税は年金の受給権評価額をもとに計算される

贈与税の対象になるのは受取開始時点における年金の評価額だ。評価額は以下のいずれか多い額だが、解約返戻金か一時金のどちらかになるのが一般的である。

・解約返戻金の額
・一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額
・予定利率等をもとに算出した金額

贈与税の計算では基礎控除として110万円があるため、評価額から110万円を差し引いた金額に税率を乗じて計算する。税率は2種類あり、夫婦間の贈与や親から未成年の子への贈与には「一般贈与税率」を使用し、親や祖父母(直系尊属)から20歳以上の子・孫などへの贈与には「特例贈与税率」が使用される。個人年金保険においては「一般贈与税率」の適用が多いだろう。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

※筆者作成

個人年金保険にかかる贈与税の計算例

年金受取開始時点の評価額が600万円だとした場合、贈与税がどのくらいになるのか計算してみたい。

<贈与税額>
(600万円-110万円)×30%-65万円=82万円

贈与税は年金を受け取る初年度のみ発生し、2年目以降は贈与税の課税対象になった部分以外が所得税と住民税の対象だ。

個人年金保険の受取人を自分以外にするときは税金も考慮しよう

個人年金保険にかかる税金は契約者と受取人の関係によって変わるが、贈与税は所得税・住民税と比べて高くなりやすい。受取人を自分以外に設定するときは、税金のことも考慮して検討するようにしたい。

文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES

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