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佐藤健×青木崇高インタビュー 「人との信頼は、やるべきことを粛々とやる中で生まれてくる」

佐藤健さん、青木崇高さん

日本のマラソンの発祥とされる江戸時代末期の「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材にした映画、『サムライマラソン』が2月22日(金)に公開される。

土橋章宏さんの小説「幕末まらそん侍」を原作に、『アンナ・カレーニナ』などで知られるバーナード・ローズ監督がメガホンを取った。

豪華キャストが揃った同作では、佐藤健さんと青木崇高さんが『るろうに剣心 伝説の最期編』以来、約4年ぶりに共演した。過去に経験したことがないほど「自由」な現場での映画作りに驚いた、と話す佐藤さんと青木さん。

日本の映画界、ドラマ界をリードしつづける2人にインタビューした。

佐藤健さん、青木崇高さん

——「るろうに剣心」以来の共演ですが、お互いの印象は?

佐藤:初めてご一緒したのは「龍馬伝」(2010年)なんですけど、その頃は桐谷健太さんと共演する機会が多かった時期で。

そのタイミングでムネくんに会って思ったのが、「桐谷健太に似てるな」と(笑)。ノリとか喋り方とか、話した感じが。それが第一印象です。

現場を盛り上げてくれますし、本番中は、台本で描かれていない「行間」を芝居で埋めてくれるんですよ。すごく甘えてしまいますし、頼りにしてしまいます。

青木:もう10年くらいの付き合いになるね。

その時、タケは主演をバンバンやってて、ちょうど過渡期だったと思うんですけど。同じ世代の中でも落ち着きが違うというか、この落ち着き払った悟りに近い雰囲気はどこから出てるんだろう、という驚きはありました。自分がタケの年齢の時はもっとジタバタしていたんで(笑)。

数年後『るろうに剣心』で共演した時に、いろいろなものを背負っている人になったな、と思いまして。

2人で取材を受けるのはひさしぶりなので、気恥ずかしいところもありますが、座長としてみんなを引っ張ってくれる部分があるので、すごく信頼しています。

——主演として、佐藤さんはプレッシャーや責任感とどうやって向き合っているのでしょうか。 

佐藤:自分は、そこまで何かを背負っている、という意識は持っていないんですよね。

あまり率先して現場を盛り上げるタイプでもないですし、とにかく自分がやるべきことを最大限の力でやることが、主役として1番大切なことだと思っています。

 映画のスタッフは職人気質の人が多いので、実はそういう姿を見せることが1番大事だったりするんです。無駄な会話は不要だったりする。

「あいつはしっかりやってる。だから支えよう」という気持ちとか、信頼というものは、自分がやるべきことを粛々とやる中で生まれてくるものだと思ってます。

青木:リハーサルの動きとかを見ると、彼はしっかり用意してきている、ということが伝わってくるんですよ。そこでお互い、作品に向かう熱意みたいなものはすべてわかりますよね。

やるべきことをしっかりやっていれば、見ている人はちゃんとわかってくれますから。

——今回は監督をバーナード・ローズ氏が務め、プロデュースは『ラストエンペラー』などを手がけたジェレミー・トーマス氏が担当しています。日本と海外のスタッフで作り上げた作品ですが、現場の雰囲気は?

佐藤:現場というか、「映画の作り方」そのものが、過去経験してきたものと比べて何もかも違ったんですよ。

 「今まで俺らは何をやっていたんだ?」と思うくらいに(笑)。

青木:なまじ経験があると、その経験が邪魔になってしまう時ってあるじゃないですか。今まで歩んできた道を引き返して、振り出しに戻らないとこの道は進めない、というか。そんな感じですね(笑)。

——(笑)例えばどういうところが?

佐藤:台本に書いてあることを言っても言わなくてもいいよ、みたいな。もはや「自由」と言ってもいいのか疑問に思うほど自由で(笑)。

 とはいえ、相手の反応も考えなくてはいけないし、最低限の「約束」みたいなものはちゃんと作った方がいいんじゃないか、という葛藤もあって。

シーンを撮影する前に、その役がどういう気持ちでいるか、そういった話は監督とちゃんとするんです。そこに1番時間をかけたら、あとはもう気持ちが思うがままに、「好きにやってくれ」と。

だから、監督から見えないところで相手の役者さんと水面下で「こうなりそうだな」と話し合ったりもしました。それが、いざ本番が始まると全然想定していないことが起きたりして。 

つまりざっくり言うと、ライブ感のある現場でしたね。

青木:ライブ感という言葉に加えて、「ざっくり」という言葉が大事なんですよ、これは。本当に、「どうなっても知らないよ?」というか(笑)。常にアンテナを立てながらやっている状態ですよ。

ーー普段はもっと事前に決まっていることが多いんですか?

佐藤:今回は、リハーサルすらないような現場でしたから。生まれて初めてやる芝居から撮りたい、リハやテストはやらない、という感じでした。そのシーンの一発目からやる、という。 

役者陣は、それをむしろ楽しんでやっている人が多かった。ただ、日本のスタッフの方々は本当に混乱していましたね。

このキャストじゃなかったらどうなっていたんだろう、と。そういう状況に燃えるタイプというか、自分で考えて作り上げていくことが好きなキャストが多かったから成立したんだと思います。

青木:たしかに、そこに抵抗を感じる役者が一人でもいたら、成り立たなかったかもしれないですね。

ーーすごく刺激的な現場だったのでは、とも思います。この作品は海外でも需要が高い「サムライ映画」なので、世界も視野に入れているのかな、と思ったんですが...。

佐藤:そうですね。ハリウッドの現場も経験してみたいですし、そういう意味では、すごく貴重な経験でした。

ハリウッドはただ単純に予算の規模が大きいとか、それだけじゃなくて。彼らの技術力や映画を作る方法論って、やっぱり頭一つ飛び抜けていると思うんです。それを勉強したいという思いもやっぱり持っているので。

それと同時に、日本で我々がいつも作っている作品を、どうしたら世界の人たちにもっと届けられるんだろう、という風にも思います。

青木:世界に日本のコンテンツを届けていく、という話は、「面白い作品を作る」の前段階で必要な話ですよね。

いいものを作るということを大前提にしながら、戦略的にその作品を海外のマーケットでも売ることをしなくてはいけない。意外と、海外ではしっかり評価されているのに、逆に日本ではあまり知られていなかったりする作品もありますし...。

ーー日本のコンテンツを世界に届けていく、ということですよね。今はNetflixなどの配信サービスで、世界の人にコンテンツを届けられるようにもなっています。お2人はNetflixで見てもらうことに抵抗はありませんか?

佐藤:映画館で観てもらうのが1番嬉しいとは思うものの(笑)、他で観てくれても十分嬉しいですよ。

青木:カメラを構えている側としては、「映画館で観られる」ことを想定して撮影をしているんですよね。だから、本来は劇場で観ていただきたいんだけどね、と思いつつも、やっぱり観ていただくこと自体がありがたい話なので。

映画の見かたはどんどん変わっていってますからね。 

ーー佐藤さんも青木さんも、3月に誕生日を迎えられます。佐藤さんの、30代の目標は?

佐藤:それが、まだ30歳のビジョンみたいなものが明確に定まっていないんですよね。

どちらかと言うと、「20代が終わってしまう。何かやり残したことはないか」という気持ちが強い状態で2018年を駆け抜けてきたので、先のことをそこまで考えていなくて。

20代の自分を残しておきたいという思いがあって、とにかく作品を増やそうと思っていたんです。 制服を着る役とか、これからやれなくなってしまう役もあるじゃないですか。それを今逃してしまうと一生手放すことになるので、悔いがないように今やろう、という思いでいました。

だから...今のところは目標がないんだよなぁ(笑)。とにかく目の前にあるものに精一杯取り組んで、30歳になった時に考えていこうと思います。

ーー青木さんは39歳に。40代を前にして、どんなキャリアを歩みたいと思いますか?

青木:僕は、あまり30代とか40代とか気にしてはいないんですよね。でも、50代を楽しめるようにしていきたい、とは思いますね。

パッと今思いついたのは、海岸で白い流木を投げて、でっかいワンちゃんがくわえて戻ってくる、みたいな光景ですねぇ(笑)。あれ、割とやりたいなと思いますね。

ーードラマのような...(笑)。

青木:ちょっと大きめの麦わら帽子をかぶって、奥さんが「朝ごはんできたわよ」って声をかけてくる、みたいな。

とにかく日々が充実していて、その時の自分が自分自身に納得を持って生きている状態がいいな、と思います。

まだ未知のことがたくさんありますし、いろいろなことに刺激を受けていって、年を取っても面白い人生を送れるようにしたいですね。

『サムライマラソン』

2月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

出演:佐藤健 小松菜奈 森山未來 染谷将太

青木崇高 木幡竜 小関裕太 深水元基 カトウシンスケ 岩永ジョーイ 若林瑠海/竹中直人

筒井真理子 門脇麦 阿部純子 奈緒 中川大志 and ダニー・ヒューストン

豊川悦司 長谷川博己

監督:バーナード・ローズ

原作:土橋章宏「幕末まらそん侍」(ハルキ文庫) 脚本:斉藤ひろし バーナード・ローズ 山岸きくみ