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事業承継を考えるなら「遺留分」への対策を万全に

せっかく後継者に自社株式を承継させようとしても、他の相続人から「遺留分」を主張されて困ることがあります。遺留分というのは、一定の相続人が最低限相続することができる財産の割合です。この遺留分があるために事業承継がうまくいかないというケースが生じるのです。

こうした遺留分への対応として、「遺留分に関する民法の特例」を活用する方法があります。今回は、この民法の特例を活用して無用なトラブルを避ける方法を紹介したいと思います。

他の相続人から「遺留分」を主張されるリスクとは

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(写真=OPOLJA/Shutterstock.com)

後継者にどの財産を相続させるのかは遺言などである程度自由に決めることができます。しかし、相続における不公平を是正し、相続人の最低限の権利を保障するため、一定の相続人には遺留分が認められています。この遺留分は原則として兄弟姉妹を除く法定相続人に認められるものです。

事業承継の典型的なトラブルとしては、先代経営者の子供同士で自社株式について権利争いが生じるケースが考えられます。例えば、先代経営者である父親に長男と次男の2名の法定相続人がいる事例を考えてみましょう。

長男と次男にはそれぞれ遺産額の4分の1(法定相続分の2分の1)に相当する遺留分が認められます。つまり、父親が自社株式しか財産を有していない場合に、その自社株式のすべてを長男に相続させようとしても、次男が4分の1相当の遺留分を主張する可能性があるという訳です。

事業承継では自社株式の円滑な移転が肝

もちろん、はじめから長男には自社株式の4分の3、次男には自社株式の4分の1を相続させるという選択肢も考えられます。しかし、これでは長男と次男の間で経営方針について意見の相違が生じると会社経営がスムーズに進められません。

そのため、事業承継では自社株式を後継者に円滑に移転することが重要となります。そのための方策にはさまざまなものが考えられます。例えば、後継者でない相続人には遺言で別の財産を用意したり、後継者が他の相続人に対して金銭的に代償したりする方法もあります。

「遺留分に関する民法の特例」をうまく活用する

遺留分に関する民法の特例もこうした方策の一つに位置付けられます。遺留分に関する民法の特例には「除外合意」と呼ばれる制度が用意されています。

除外合意は、後継者が現経営者から贈与などによって取得した自社株式については、他の相続人が遺留分を主張できなくなるという制度です。つまり、あらかじめ後継者に自社株式を移転するとともに、将来的に遺留分の主張をしないように合意しておくという方法です。

この特例は中小企業に認められた制度です。この特例を利用するためには、後継者が会社の代表者に就任することなど一定の事項について推定相続人全員および後継者自身の合意が必要となります。具体的には関係者の間で合意書を作成します。その上で、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を受けることが必要です。

一定の要件を満たす必要はあるものの、各相続人が個別に家庭裁判所で遺留分を放棄する方法などと比較すると、画一的な手続きで株式の分散を防止できるというメリットがあります。

「固定合意」の制度と組み合わせることもできる

遺留分に関する民法の特例には「固定合意」と呼ばれる制度もあります。これは遺留分を算定する際の自社株式の時価をあらかじめ固定するものです。

固定合意を活用すれば、後継者の経営努力で自社株式の価値が上昇した場合にも他の相続人から想定外の遺留分を主張されることを防ぐことができます。固定合意は上述した除外合意と組み合わせて活用することもできます。

2018年の相続法改正により、2019年7月から遺留分の請求の対象が物ではなく金銭となります。また、遺留分の算定に含められる生前贈与の対象期間が限定されるなど事業承継にとっては好ましい改正も行われています。

このような動向も踏まえながら、遺留分に関する民法の特例を含む事業承継対策の中で自社に合ったものを取り入れることが有用といえるでしょう。(提供:プレミアサロン

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