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中国で進む信用スコア社会とは|日本で普及する可能性は?

「信用スコア」。日本ではまだ一般的ではありませんが、中国では、一説には信用スコアが低いと結婚もできないと言われるほど大きな影響を社会に及ぼしつつあります。世界で最も進んでいると言われる中国の信用スコア社会の実態、さらに日本での普及の可能性を考えてみましょう。

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信用スコアサービスの先頭を切る「Alibaba」

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まずは、中国で信用スコアサービスを提供している企業はどのような企業なのかを見ていきましょう。
中国で信用スコアサービスに参入する企業は複数ありますが、最も有名で影響力が大きいのが世界最大級のオンラインショップを運営することで知られる「Alibaba(アリババ)」の信用スコアサービスです。
アリババが運用する電子決済サービス「Alipay(アリペイ)」は、今や中国ではなくてはならないサービスとして知られています。路上ミュージシャンへの投げ銭なども中国では現金ではなくアリペイが使われることが多いというのは有名な逸話で、この話を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
アリペイの全世界のユーザーは10億人を超えており(2019年1月現在)、中国国内だけでも5億人とも6億人とも言われています。中国の総人口は約14億人と言われているため、中国人の3分の1から2分の1近くは、アリペイユーザーという計算になります。
アリババの運用する信用スコアサービス「芝麻信用」は、アリペイの利用者の大半と紐付けられていることを考えると、芝麻信用の中国国内での影響の大きさを知ることができるのではないでしょうか。

中国では信用スコアが低いと結婚できないは本当?

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中国における信用スコアに詳しい方の中には、「中国では信用スコアが低いと結婚できない」という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
これは本当の話なのでしょうか。
オーバーすぎる表現ではありますが、100%嘘とも言い切ることはできません。
確かに現在の中国では信用スコアが低いと、スコアが高い人より結婚のチャンスが低くなってしまうのは事実なのです。
この話を深く理解するためには、信用スコアの仕組みを知ることが重要ですので、アリババの芝麻信用を例にとって、仕組みを見ていきましょう。
芝麻信用は、アリペイの支払い履歴などを元に以下の5つの要素から利用者をスコアリングします。
1.身元情報(住所、氏名、持ち家もしくは賃貸等)
2.支払能力(収入、貯蓄等)
3.クレジット履歴(利用履歴、延滞履歴等)
4.支払いに関する人間関係(本人に収入がない場合でも親からの仕送りなどで収入がある等)
5.消費動向(どのような商品を好むのか等)
350点から950点の間で算出され、点数が高ければ高いほど消費者にメリットがもたらされます。
主なメリットとしては、シェアサイクル・電気自動車レンタル・本の貸し出しサービスのデポジット(保証金)の免除、雨傘の無料レンタル、ホテル予約の際のデポジット(保証金)の免除、金融商品の金利優遇、一部の国(シンガポールやルクセンブルク)のビザ取得の簡易化などが挙げられます。
なお、先ほど信用スコアが低いと結婚のチャンスが低くなってしまうとお伝えしましたが、それは、中国の主要な婚活サイトでは相手の信用スコアを閲覧することができ、さらに一定スコア以上の人のみ利用可能な婚活サイトがあるからです。
そのため、信用スコアら高い人と低い人とでは結婚のチャンスが大きく違ってきてしまうのです。
また、中国では就職の際にも芝麻信用が活用されています。東洋経済新報社の「データ階層社会」によると、多くの有名企業が採用時に芝麻信用の点数を考慮すると公言しています。
このように、中国では信用スコアが低いと大きなデメリットを受けてしまう社会ができつつあります。
それでは、日本では中国のような信用スコア社会が到来する可能性はあるのでしょうか。

日本における信用スコア社会到来の可能性は?

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信用スコアは中国が世界で最も発展していますが、欧米でも急速に広まりつつある動きです。
アメリカのFICOスコアは、多民族国家で個人のルーツやバックボーンが千差万別のアメリカでは、就職や転職の際に、学歴、職歴とともに重要視されています。
また、イギリスやドイツなどのヨーロッパでも独自の信用スコアサービスのスタートアップ企業がここ数年で続々と現れています。
そんな世界情勢の中、実は日本でも信用スコアサービスを提供する企業があることはご存じですか。
2016年にみずほ銀行とソフトバンクが合弁で設立した「J.Score(ジェイスコア)」です。
ジェイスコアは、性格やライフスタイル、買い物の傾向から、これから始めたい習い事のようなこれまで信用情報とは無縁と思われてきた情報も数値化し、AIによる独自の基準で消費者の信用能力や将来性をスコアリングしていきます。
高スコアの場合、低金利で借り入れができるほか、提携企業からの割引や優待などを受けることができます。
ジェイスコアのリワード(特典)の一部を以下に紹介します。
・JTB「特別コーディネートオリジナルツアー」
・ブリジストンゴルフガーデンTOKYO「マンツーマンレッスン優待」
・高島屋「お得意様限定の特別優待」

信用スコア社会到来に備えよう

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中国やアメリカのように、日本での信用スコアの活用方法は、就職や結婚にまで影響を与えるものになるかは多くの議論を呼ぶことになるでしょう。とはいえ、日本においても信用スコア社会は早晩訪れるものと考えておいた方が良いと考えます。
それは、時代はこれからより個人の時代に移っていくことが予想されるからです。
インターネットの発展や企業のあり方の変化から、近年、フリーランスや個人事業主、副業という働き方により脚光があたっています。ユーチューバーなども少し前までの社会では、職業として認知されなかったでしょう。
日本ではこれまで、お金を借りたりローンを組んだりする時に最も重要視されていたのが、企業の看板です。企業の規模や勤続年数などから個人の信用能力を割り出してきたのが一般的でした。しかし、急速な社会情勢の変化や技術革新が起こる中、これからも安泰と言えるような企業は少なくなり、より個人の信用能力が問われる時代になることが予想されます。
少なくとも各種ローンやお金を借りる時に、日本でも信用スコアが物をいう時代は遠からずやってくることが予想できます。
信用スコアは、日々の積み重ねでスコアアップができる仕組みになっています。
また、スコアの点数が高ければ、数多くのメリットを享受することが可能です。
来るべき信用スコア社会に乗り遅れないように、今日から徐々にスコアアップにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ミノワタケノブ

ミノワタケノブ

新聞記者、雑誌編集者を経て現在、フリーランスのライター&編集者。取材、執筆ジャンルは多岐に渡るが、ここ数年は経済ニュースがメイン。過去に東京電力株で大きな痛手を被った経験あり。

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