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モバイル通信5G電波に死角あり 2019年に技術開発は間に合うか

「5G(第5世代移動通信)」は2025年までに世界で11億回線に達すると見込まれます。周波数は従来の「センチ波」に「ミリ波」が加わりますが、ミリ波は直進性が強すぎ建物内に死角ができる弱点があります。5Gの普及でも死角になるかどうかは技術開発や各社の取り組み次第です。

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2018.12.20
2019年から商用化が始まる5G(第5世代移動通信)」では、現行の4G・LTE方式で使われる3.6GHz以下の「センチ波」に加えて「ミリ波」(26/28GHz帯、38/42GHz帯)の電波が新たに使われます。しかし、ミリ波は直進性が強い性質があり雨にも弱い弱点があります。それによってiPhoneのような一般のスマホの利用にも不都合が生じる可能性があります。モバイル各社はそれをどう乗り越えるのでしょうか?

5Gは2025年までに全世界で11億回線に

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モバイル通信の新通信方式「5G(第5世代移動通信)」は、立ち上がり時期が2019年に前倒しされ、総務省「平成30年版情報通信白書」の予測によれば、2025年までに回線数は全世界で11億、人口カバー率は34%に達すると見込まれています。
(図表 5Gの回線数、人口カバー率の将来予測)
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2019年の「5G元年」を前に、急成長が予想される5Gの主導権争いが激化しています。モバイル基地局で世界トップシェアを占める中国のファーウェイ(華為技術)の副会長が12月にカナダで拘束され、セキュリティの欠陥を理由にアメリカ、日本など先進各国で中国製5G機器ボイコットの動きがひろがると、メディアは「5Gをめぐる暗闘」という論調で報じました。その真実はともかく、5Gが爆発的に成長することは確かです。
5Gの特徴は「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」で、スマホで大容量の動画やゲームを楽しむようなモバイル通信の範囲を超え、IoT(モノのインターネット)や自動車の自動運転の通信方式としても利用され、社会の基本インフラになります。だからこそ爆発的な成長が見込めるわけです。

ミリ波の死角は、5G普及の死角になる?

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モバイル通信は基地局と端末の間で電波が交わされます。周波数は、4G・LTEは3.6GHz以下の「センチ波」が使われますが、5Gはセンチ波とともに「ミリ波」(26~28GHz帯、38~42GHz帯)の電波も新たに利用されます。5Gのメリットを実現するにはミリ波のほうが都合がいいとされています。
ところがレーダーにも使われるミリ波はセンチ波より直進性が強いので、端末の利用に不都合をきたす可能性が指摘されています。
iPhoneのようなスマホが建物内の窓のある部屋で使えても、廊下やトイレのような奥まった場所では電波が届かず、使えなくなる可能性があります。センチ波はコンクリートの柱や壁を回り込めても、ミリ波はそれができず、反射してしまうからです。
空気中の水滴や水蒸気で反射し雨の日に使えないことも起こります。直進性が強いミリ波は人体も障害物で、端末を両手で包むと電波が届かないという実験結果もあります。
このようにミリ波の直進性によって「死角」ができることは、5Gの普及を阻む「死角」にもなりうるといわれています。

2019年「5G元年」に技術開発は間に合うか

機械式時計修理

機械式時計修理

モバイル通信各社は、この問題をどう解決しようとしているのでしょうか。
解決策の一つは5Gにミリ波を使わないことです。センチ波の周波数帯も用意され、「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」を犠牲にしても死角なしを優先します。5Gにミリ波を使う「Aクラス」とセンチ波を使う「Bクラス」を設け、ユーザーは大容量の動画やゲームを存分に楽しみたければAクラスのスマホを、電波が途切れるのがイヤならBクラスのスマホを選べばいいわけです。
その変種が「5Gから無線LANへの中継」です。ミリ波の死角は建物内の無線LANでカバーし、建物外は5G、建物内は無線LANのWiFiで通信します。スマホはWiFiでも通信できますから、5Gの特徴は制約されても、通信が途切れる事態は避けられます。
もう一つの解決策は技術開発で電波の死角をなくしミリ波の弱点を克服する方向性です。
いくつか方法があり、主なものに「中継する基地局を増やす」「建物に反射板を設ける」「端末のアンテナを改良する」があります。
基地局を増やす実験は2018年4月にNTTドコモが横浜みなとみらい地区で、ソフトバンクが2018年11月から東京の品川、芝大門、渋谷の各エリアで実験し、好結果を得ています。ただし投資負担が重くなるのでその分、5Gの普及は遅くなります。
建物に反射板を設ける実験はNTTドコモが「メタマテリアル」という特殊な技術で成功させました。コストは比較的安いのですが、設置費用を建物オーナーが負担してくれるかどうかという問題があります。
人体の影響を受けず、死角で減衰したミリ波の電波を拾えるように改良したスマホアンテナは、アメリカのクアルコムがモジュール(機構)を開発し、韓国サムスン製の5Gスマホに搭載して2018年12月に発表しました。
アメリカではベライゾンとAT&Tが2019年前半に5Gスマホを発売します。日本では2019年9月にミリ波28GHz帯で5Gのプレサービスが始まり、2020年春に各社の5Gスマホが揃って商用サービスが本格的に始まる予定です。それまでに、ミリ波の死角という決して小さくはない問題を、どのように解決しているでしょうか。

寺尾淳(Jun Terao)

寺尾淳(Jun Terao)

本名同じ。経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、現在は「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)などネットメディアを中心に経済・経営、株式投資等に関する執筆活動を続けている。

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