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マーケットの混乱による生産者心理の悪化の中で旧正月と日欧EPAの特殊要因が生産の下押しを拡大

シンカー:1月の鉱工業生産指数は3ヶ月連続の下落となり、グローバルな景気不安が生産活動を抑制している形が見える。12月からの極めて不安定なマーケット環境も、生産者の心理を悪化させ、生産活動が一時的に弱くなっていることは確かだろう。ただ、旧正月が昨年より早く、日欧EPAが2月に発動されたため、1月の輸出が2月に後ずれした可能性がある。強い内需に向けた生産活動は堅調であると考えられる。2月の在庫指数は3ヶ月ぶりに低下したことをみると、コントロールされた生産の減少であるとみられる。マーケット環境が安定化し、生産者の心理が改善すれば、生産は復調していくとみられる。1-3月期の鉱工業生産指数前期比は、10-12月期の同+2.0%から一時的な下落に転じることにになろう。米国経済のファンダメンタルズが著しく悪化しているわけでもなく、中国の経済対策も実施され、日本の内需は引き続き堅調で、4-6月期には上昇に転じることになろう。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

1月の鉱工業生産指数は前月比-3.7%と弱かった。

予測誤差修正後の経済産業省の予測指数である同-2.3%を下回る結果となった。

3ヶ月連続の下落となり、グローバルな景気不安が、半導体などのIT関連財を中心に生産活動を抑制している形が見える。

12月からの極めて不安定なマーケット環境も、生産者の心理を悪化させ、生産活動が一時的に弱くなっていることは確かだろう。

経済産業省は判断を「緩やかな持ち直し」から「足踏みをしている」へ下方修正した。

1月の日銀実質輸出も同-5.3%とかなり弱かった。

ただ、旧正月が昨年より早く、日欧EPAが2月に発動されたため、1月の輸出が2月に後ずれした可能性がある。

特に、2月から欧州の関税引き下げを前にして、自動車の生産が同-8.6%、出荷が同―9.2%と弱かった。

海外経済のファンダメンタルズはまだ堅調さを維持しているため、日銀は輸出の判断を「増加基調にある」としている。

2月には輸出も生産も大きくリバウンドする可能性が高い。

一方、雇用・所得環境の改善と、冬のボーナスの増加など背景に、値下げによる販売を促進する動きもあり、年末・年始商戦は好調であったとみられる。

更に、景気拡大にともなった能力増強投資、新たな需要を生み出そうとする研究開発、都市再生関連の投資、人手不足による省力化投資、遅れていた中小企業のIT・ソフトウェア投資など、設備投資の拡大がみられる。

IoT・AI・ロボティクス・ビッグデータなどの産業変化が進み、安価になってきたこともその動きを促進しているとみられる。

内需向けの生産活動は堅調であると考えられる。

10-12月期の実質GDPは前期比+0.3%となったが、外需の寄与度が-0.3%と弱かった一方で、内需は+0.6%と強かった。

10-12月期の実質輸入は前期比+2.7%と強く、内需の強さを表している。

FEDは利上げやバランスシート縮小に対してハト派色を強め、金融政策の調整をより慎重にしていくことを示した。

しかし、ドル・円はそこまで大きく円高方向に振れなかったことは、日本の内需が強く、円安圧力になっていることを示していると考える。

1月の日銀実質輸入はこれまでの強さの反動で前月比-0.1%となっている。

1月は生産と輸入が抑制されていたのであれば、強い内需を背景に、在庫が大きく減少しているはずだ。

実際に1月の在庫指数は同-1.5%となり3ヶ月ぶりに低下したことをみると、コントロールされた生産の減少であるとみられる。

マーケット環境が安定化し、生産者の心理が改善すれば、生産は復調していくとみられる。

2月の経済産業省の予測指数は同+5.0%と堅調である。

3月の予測指数が反動で同-1.0%となっており、1-3月期は前期比-1.1%と、10-12月期の同+2.0%から一時的な下落に転じることにになる。

米国経済のファンダメンタルズが著しく悪化しているわけでもなく、中国の経済対策も実施され、日本の内需は引き続き堅調で、4-6月期には上昇に転じることになろう。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司