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ホームレス向けシェルターをめぐる住民間抗争がテクノロジーと都市の問題を再び浮き彫りに

2017年には、サンフランシスコで住む家のない人はおよそ7000名だった。多くはマイノリティーの人びとだ。サンフランシスコは市全体が一学区だが、学区の2017年の推計によると、およそ2100名の児童生徒がホームレスだ。その数は、減少ではなく増加傾向にある。

親は自分の子どもが彼らと同じ学校でも平気かもしれないが、ホームレスの大人や家族が自分ちの近くでシェルターに住むのは嫌だ、という人はいるだろう。それがクラウドファンディングサービスのGoFundMeが先週立ち上げたキャンペーンのテーマのようで、その名も「Safe Embarcadero for All」(みんなに安全なエンバーカデロを)という。その目標額10万ドルのキャンペーンの目的は、有能な弁護士を雇って、市の北東部のウォーターフロント地区エンバーカデロにホームレスシェルターを作る計画をつぶすことだ。

このキャンペーンは、London Breed市長が今月初めに発表した構想に対する反動だ。その構想では、サンフランシスコ港が保有するエンバーカデロの駐車場が、市のホームレス住民最大200名を収容する住宅および健康センターに変わる。

それは単なる構想ではなく、港湾委員会が承認すれば構想は直ちに正式の計画になり、Breed市長の予測では、センターは今年の夏にオープンできる。そこで、今7万1250ドル集まっているGoFundMeのキャンペーンに話が戻る。お金を出した180名の中には近くの高層高級マンションの住人もおり、また、シェルターが“地域の安全を脅かし、ドラッグなどの問題を持ち込む”とする、キャンペーンの主宰者の懸念を共有する人びともいる。

厄介な状況だが、一方では彼らのクラウドファンディングキャンペーンにヒントを得て米国時間3月28日、対抗キャンペーンを立ち上げた人がいる。それはもちろん、センターの建設を支援することが目的だが、結構快調にお金が集まっている。その「SAFER Embarcadero for ALL」キャンペーンは、すでに寄付者が1000名を超え、私が本稿を書いている時点で7万6000ドルを超えている。寄付者の中には、TwilioのCEOであるJeff Lawson氏やSalesforceのCEOのMarc Benioff氏の名も見える。Benioff氏はかねてからBreedの熱心な支持者で、彼女のそのほかの計画も賛助している。

【訳注】シェルター反対運動のキャンペーンがSafe Embarcadero for All、それに対抗する建設支援キャンペーンがSAFER Embarcadero for ALL、後者は大文字が多いだけである。集まった金額はすでに後者が前者を超えている(日本時間3月30日18時現在)。

Lawson氏の寄付額はおよそ2万ドル、Benioff氏は少なくとも1万ドルで、Twitterの上で支援者の増加を煽っている(下図)。

[Marc Benioff: 当市最大の危機であるホームレス問題の解決に尽力しよう。]

テクノロジー企業のCEOたちによるこのプロジェクトへの関与は、彼らがホームレスの人たちを気にかけていることの証拠でもあるが、ホームレス人口を増やしたのは彼らの責任でもある。サンフランシスコはテクノロジー企業が多くなった結果、住宅費などを含む生活費全般が高くなり、テクノロジー企業に勤めて高給をもらう能力のない人びとが路上にあふれた。

GoFundMe自身もこの新たなキャンペーンの味方をして、ホームレスセンターのために5000ドルを寄付した。それらのお金は市のホームレス支援団体のCoalition on Homelessnessの活動資金にもなる。

GoFundMeのCEOであるRob Solomon氏が今朝のSan Francisco Chronicle紙で語っている。「ホームレス問題へのテクノロジー業界の対応はまだ十分ではない。うちはサンフランシスコの企業ではないけど、ささやかな尽力をしたい」。

GoFundMeはサンフランシスコから40キロ南のRedwood Cityにあるから、今度の問題の当事者ではない、ということか。でもセンターを支持する人たちは、どこに住んでいようと支援するだろう。

それどころか、Coalition on HomelessnessのJennifer Friedenbach事務局長は今朝のChronicle紙上で、キャンペーンで得られる資金は、ホームレス問題に無知無理解なサンフランシスコ市民の教育啓蒙活動に使いたい、とすら言っている。

参考記事(1)参考記事(2)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa