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ブラック企業が利益を出しても「ピンチで負ける」明確な理由

(本記事は、桑田純一郎氏の著書『こんな時代だからこそ、やっぱり会社は家族である』あさ出版、2018年11月27日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

結局、ファミリーがいちばん強い

こんな時代だからこそ、やっぱり会社は家族である
(画像=boonchoke/Shutterstock.com)

●会社のピンチを救う団結力

会社はみな存続をかけて、利益を生み出し続けなければならないわけですが、資本主義社会においては、どんな企業にも競争原理が働き、つねに淘汰されるかもしれない危機にさらされています。

だから、どの企業も生き残りをかけ、必死に利益を生み出すための方策を練り、競合他社に負けぬようしのぎを削っているのです。

それは、うまくいくこともありますが、失敗に終わることもあります。失敗は会社にとって損失につながります。

規模が大きければ、存続をも揺るがすことになりかねませんから、必死で巻き返しを図らねばなりません。

大企業であれば状況は異なりますが、我々のような中小企業にとっては総力戦で挑むことも必要になってきます。

会社のピンチを救うのは、やはり社員です。

役員や管理職だけが「このままではまずい」と危機意識を持ち、対応しているだけでは、変化の激しいいまの時代、間に合いません。社員一人ひとりが、会社を支える重要なメンバーであるとの自覚を持ち、素速く対応できる実戦部隊であることが重要です。

いえ、最新だと思っていたものが、いつの間にか陳腐化してしまうようなこの時代においては、何かあったときに対応するのでは遅い。

つねに人々のニーズがどこにあるかを探り、絶えずその要求に応えようと意欲的に仕事と向き合う人材が必要です。

そうした人間が社内にどれだけ存在するか。これによって、その会社のポテンシャルは大きく変わってきます。

いざというときに組織が団結できるか。イノベーティブな人材をどれだけ輩出できるか。これは、社員の会社に対するファミリー意識が強ければ強いほど高くなると、これまでの経験から実感しています。

いまや「愛社精神」というのは死語に近いのかもしれませんが、会社が社員の幸せを第一に考え、本人たちがその厚遇に満足していれば、「自分を大切にしてくれる会社のために貢献したい」と考えるでしょう。

人間は、受けた恩に対してなんとかして報いたいと考える生き物なのです。

社員の満足度を高めるために、具体的にどのようなことを行っているかについてはのちほど詳しく述べますが、社員を家族として大切にすることで、当金庫の社員たちは期待する以上のパフォーマンスを発揮してくれているのです。

●人の犠牲のうえに成り立つ利益は利益ではない

ご存知のように、企業というものは利益を継続的に生み出さなければなりません。

そのためには、競合他社との違いを何らかの形でつくる必要があります。

横並びでは利益を上げられない時代、オリジナリティや他社が提供できない価値を生み出すことでしか市場で生き残ることはできないでしょう。

逆に言えば、その「違い」が際立っていればいるほど、その企業は利益を生み出し続けることができるといえます。

私は、「会社は家族」という但陽流のカラーをより深化させることが、強力な「違い」につながると考え、企業戦略の大黒柱に据えています。

最近は、社員を大切にする企業が増えておりますが(当金庫を取り上げてくださった坂本光司先生の『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)を繙くと、よくわかります)、一方で、社員を「利益を上げるための道具」のように扱う企業もいまだ多く残っています。

しかし、人の犠牲のうえに成り立っている利益は、利益とは言えません。不安定な雇用形態で労働させたり、心身を蝕むまで無茶なノルマを強いたり、仕入れ先を安く買いたたいたり、不可能な納期を押しつけたり……。

こうした理不尽な行為によって、どれほど大きな利益を得たとしても、それはその会社にとってプラスになることはないでしょう。自社の利益のためなら、どんな手段も辞さないという姿勢が、社会から認められることはないからです。

実際、自己利益のみを追求した結果、法的に問われ、社会的信用を失い、苦境に陥った企業は少なくありません。

ここでも、利益のみを目的とすることが会社にとっていかに危険か、おわかりいただけると思います。

利益ではなく、永続を目的とするからこそ、働く人の幸せを第一に考え、家族と同じように愛情をかけ、個々人の能力や性質を見極めながら、生き生きと仕事ができる環境を提供することに努めています。

私としては、「会社にとっていちばん大切なものは社員」という原点から、家族主義の考え方が生まれたわけですが、それが結果的に当金庫の独自性につながり、地域の方々から絶大なる信頼を得ることができています。

それは、流動性預金比率全国11位(全264信用金庫中)、個人融資の貸出金比率も全国11位という実績にもあらわれています。

激動の時代に、一企業が永続することは並大抵のことではありません。しかし、利益を追求するよりも、社員を大切にする。

そして、家族同然に接する。

結局は、これがいちばん強いと確信しています。

こんな時代だからこそ、やっぱり会社は家族である
桑田純一郎(くわた・じゅんいちろう)
昭和47年、日本大学経済学部卒業。同年、但陽信用金庫入庫。平成2年より理事長。NPO法人但陽ボランティアセンター理事長、更生保護法人兵庫県更生保護協会副理事長、公益財団法人近畿警察官友の会兵庫県支部長、加古川商工会議所相談役、日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」推進協議会副会長、兵庫県日赤有功会副会長(会長代行)。

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