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ビル・ゲイツはなにがしたいのか?スーパーリッチたちが提唱する「フィランソロキャピタリズム」とは?

最近、21世紀の新しい社会貢献のあり方として、企業人や富裕層の間で注目されているのが「フィランソロキャピタリズム」(慈善資本主義)です。

しかし、それがどういうものであるか日本では理解が進んでいません。また、実践者もいません。いったい、「フィランソロキャピタリズム」とはなんでしょうか?そして、それによって本当に社会がよくなるのでしょうか?

ビル・ゲイツ氏は自らを「フィランソロキャピタリスト」と名乗る

スーパーリッチ,フィランソロキャピタリズム
(画像=Nutthaseth Van/Shutterstock.com)

「フィランソロキャピタリズム」(Philanthrocapitalism)は、「フィランソロピー」(慈善、社会貢献)と「キャピタリズム」(資本主義)の合成語です。簡単に言うと、利益を生み出しながら慈善活動をしていこうというもの。10年ほど前から使われるようになり、その代表的な推進者はビル・ゲイツ氏です。彼は、自らを「フィランソロキャピタリスト」と称し、あり余る個人資産をこの活動に使っています。

事業で成功して巨万の富を築いた人間は、歴史上たくさんいます。欧米の場合、そうしたスーパーリッチが最後にするのは、その富の社会還元、つまり、慈善活動です。

かつて鉄鋼王カーネギーは、「金持ちは貧乏人の管財人にほかならない」「金持ちとして死ぬことは不名誉」と言って、築いた巨万の富を次々とバラまいて社会に還元しました。設立した財団を通して、大学やホールをつくり、数多くの慈善事業に寄付をしました。石油王ロックフェラー、自動車王フォードも同じようなことを行いました。

しかし、彼らはフィランソロキャピタリストではありません。フィランソロピスト(篤志家)です。

従来の慈善活動とどこが違うのか?

フィランソロキャピタリズムが、従来のフィランソロピーと違うのは、単にお金を寄付する、貧しい人々など社会的弱者にお金やモノを分け与えるのではなく、それによって社会になんらかのリターンがなければならないとする点です。

つまり、資本主義の下で事業を行うように、戦略を立て、計画立案し、それに基づいて効果が期待できることを実行していきます。

ビル・ゲイツ氏は妻と共同で「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」B&MGF:Bill & Melinda Gates Foundation )を設立しました。この財団には、世界一の投資家のウォーレン・バフェット氏、ブルームバーグの創業者で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏、メキシコの大富豪でグルポ・カルソ創業者のカルロス・スリム氏など、世界の名だたる大富豪たちが参加しました。B&MGFの事務所は日本にもあります。

B&MGFが目指しているのは、世界から貧困をなくし、人々が健康な生活を送れるようにすることです。そのため、途上国で広がる感染症に効果がある薬の研究・開発、遅れているIT教育などに、寄付するというより投資をしています。

ビル・ゲイツ氏以外でよく話題にのぼるフィランソロキャピタリストには、オープン・ソサエティ財団などで民主化活動に力を入れている投資家のジョージ・ソロス氏、eBay 創業者のジェフ・スコール氏、U2のボノ氏、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏などがいます。

慈善事業でも世界を変えるイノベーションを起こす

ビル・ゲイツ氏の考え方がよくわかるのは、2014年のダボス会議における「ダボスフィランソロピー会議」のセッションでの発言です。このセッションに参加したのは、ビル・ゲイツ氏、英ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏、グラミン銀行の創立者ムハマド・ユヌス氏で、モデレーターはイギリスの前首相トニー・ブレア氏が務めました。

「慈善活動のゴールはなんなのか?システムを査定してみると、いろいろな資本主義、政治など、すべての分野で小さな慈善活動が驚くほどの結果を上げています。いま、不足していることは、ほかから学ぶというプロセスです。南スーダン、ウクライナ、シリアの問題だけを直視し過ぎです。いまにだけに集中するのではなく、過去を振り返り、成功例から答を導き出すべきです。科学、ビジネスなどからもイノベーションが生まれます」(ビル・ゲイツ)

つまり、フィランソロキャピタリズムは、慈善活動においても世界を変えるイノベーションを起こしたいのです。

なぜ日本ではフィランソロキャピタリズムが生まれないのか?

フィランソロキャピタリズムには批判もあります。

例えば、ザッカーバーグ氏は、2015年に次世代のためにと、個人資産から450億ドルという巨額の寄付をすると公表しました。しかし、寄付をする団体がNPOや財団ではなく LLC(合同会社)だったため、社会貢献は名目で、自分たちのビジネスの強化ではないかと指摘されました。

LLCだと、投資先、投資金額、その使い方にまでコミットできるからです。

残念ながら、日本には、欧米のようなフィランソロキャピタリストはいません。これは日本に、欧米のような誰もがなんらかの寄付を行うべきだという社会的な規範、伝統がないからです。また、日本の税制が寄付をうながす税制(寄付すると大きく税金が減じられる)とはほど遠いからでしょう。

日本の富裕層は彼ら欧米の富裕層から学ぶべきことがたくさんあるのではないでしょうか。(提供:JPRIME


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