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テイラー・スウィフト──美人歌手の本当の武器は“戦略”

政治や経済にも影響力を発揮。アメリカ音楽業界の「女王」テイラー・スウィフト アメリカ音楽業界の「女王」に君臨しているのがテイラー・スウィフトだということに異論のある者はいないだろう。アルバムを発表するたびに爆発的なセールスを記録し、グラミー賞には32回ノミネートされ、そのうち10回で受賞。さらには、最優秀アルバム賞を史上最年少(20歳と49日)で獲得するなど、そのキャリアはまさに記録づくしだ。 シャープなビジュアルについても評価が高い。身長178センチ、推定体重60kg以下というスーパーモデルのようなスタイルに高貴な雰囲気の漂うルックスは、「America's sweetheart」(=アメリカの恋人)と呼ばれ、幅広い層からの人気を獲得している。 その影響力はもはや音楽を超え、政治や経済、思想にまで及び、『タイム』誌が選ぶ2019年の「最も影響力のある100人」にも選出されたほど。これを受けてニューヨークで開催された「タイム100ガラ」に出席したテイラーは、アコースティックギター1本で自身のルーツであるカントリーミュージックを彷彿とさせるパフォーマンスを披露した。 なぜ彼女の一挙手一投足が、これほどまでに大きな注目を集めるのだろうか。そこには恵まれた才能と知性を生かした、テイラー・スウィフトならではの「戦略」がある。 家族は白人エリート支配層。グラミー賞では最優秀アルバム賞を史上最年少で獲得 テイラーは、1989年にアメリカ北東部、ペンシルベニア州のウエスト・レディングに生まれた。父親は銀行のファイナンシャル・アドバイザーをつとめており、一家はキリスト教長老派教会を信仰する。つまり、いわゆる「WASP(ワスプ=ホワイト・アングロ-サクソン・プロテスタント)」で、白人エリート支配層の保守的な家庭に育ったわけだ。 子ども時代からミュージカルに興味を持ち、いくつかの舞台に出演したが、シャナイア・トゥエインの楽曲を聴いて衝撃を受け、カントリーミュージックを志す。カントリーとは、現在のポップ・ミュージックの母体となったアメリカ南部発祥の音楽のことだ。  テイラーの「戦略性」は、すでにこの頃から発揮され始めていた。カントリーミュージック界で成功するには、“本場”である南部に行くしかない。そう考えた彼女は、テネシー州ナッシュビルへ通ってオーディション活動を展開。しかし、ライバルも多かったことから、「みんなと同じことをしていてもダメ」と気づき、まず作曲活動に集中するのだ。 14歳になると家族でナッシュビルへと移り住み、養成所に通いながらソングライターとしてほかの歌手に楽曲提供を行った。そして、その才能を目にとめたカントリーミュージック・レーベルのビッグマシン・レコードと契約を締結。およそ1年かけて自身の名を冠したファーストアルバム『Taylor Swift』を完成させ、16歳でついにデビューをはたす。 人気に火が着いたのは2008年のセカンドアルバム、『Fearless』のリリース後だ。この作品によって第52回グラミー賞最優秀アルバム賞を史上最年少で受賞。有力経済誌『フォーブス』が著名人を年収額で順位づけする「セレブレティ100」に初選出されるなど、カントリーの枠を超えたポップスターとして大ブレイクをはたした。以降は、アルバムを発表するたびに売上げ記録を更新。2012年に発表したシングル『We Are Never Ever Getting Back Together』は、自身初のビルボードランキング1位を獲得し、日本でもテレビ番組『テラスハウス』のテーマソングに起用されるなど、大ヒットしたのは記憶に新しい。 プライベートも非常に華やかだ。ジョナス・ブラザーズの次男であるジョー・ジョナスやワン・ダイレクションのハリー・スタイルズ、俳優のテイラー・ロートナー、ジェイク・ジレンホール、さらにケネディ大統領の甥にあたるコナー・ケネディなどと噂になってきたが、2017年からは新人俳優のジョー・アルウィンと交際を開始。ジョーは、テイラーとつき合い始めた当初はまったくの無名だったが、「テイラーの恋人」となったことで知名度が大幅にアップした。これも、彼女がもつ影響力を裏づけるエピソードのひとつだろう。 スキャンダルやアーティスト同士の諍いを歌詞に込め、さらにファンの注目を集める テイラーは、こうした恋の噂を歌詞やパフォーマンスに込めることで、さらなる注目を集めた。彼女が巻き起こすアーティスト同士の諍いや中傷合戦なども、新曲の歌詞となることでファンは勝手に深読みするようになっていく。戦略家といわれるゆえんだ。 そして、その影響力は音楽業界のみならず、政治や文化の面にも拡大。カントリーミュージックのファンは保守層が多いということもあってか、いつのまにかテイラーは「白人至上主義」のシンボルと呼ばれ、「トランプ支持者」と噂されるようになった。もっとも、彼女自身はどちらかというとリベラルで、2018年の選挙では民主党支持を表明。このニュースは当時の世論を左右し、トランプ大統領も彼女に対してコメントを出すほどだった。 今年4月には、約1年半ぶりとなる新曲『ME!』を発表した。テイラーによると、この曲は「自分の個性を受け入れ、祝福し、認めること」がテーマだという。しかし、彼女の「個性」は、本人が考える以上に大きなものとなっている。テイラー・スウィフトが発する「ME!」がどんな意味を持つのか? 世界中が注目し、あらゆる世代に影響を与え続けている。