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ダウンロード違法化の対象拡大に懸念 弁護士ら87人が緊急声明 「国民の信頼を失わせるものともなりかねない」

弁護士ら87人が出した緊急声明の文面。

権利者の許可なく、ネット上にアップロードされているマンガや小説などのあらゆるコンテンツを、著作権を侵害していると知りながらダウンロードすると違法になるーー。文化庁の審議会で了承された著作権法改正案の方針が、物議を醸している。

2月19日には、大学教授や弁護士など有識者87人が、方針に盛り込まれた「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」に懸念を示す緊急声明を出した。

スクショもNGに? 著作権改正案の方針に懸念の声

文化審議会著作権分科会では、「フリーブックス」や「漫画村」(両サイトともすでに閉鎖)などの海賊版サイトによる被害の拡大を受け、著作権法改正に向けた議論が進められていた。

2月13日に了承された報告書によると、これまで音楽と映像に限られていた「違法ダウンロード」の対象範囲を、マンガや小説、雑誌、論文などの「静止画」を含む著作物全般に拡大する方針という。

この見直しにより、権利者に無断で投稿されたコンテンツを違法と知りながらダウンロードする行為は、全面的に「違法」となる。

スマホやパソコンの画面を撮影する「スクリーンショット」のほか、テキストの「コピー&ペースト」もダウンロード行為に含まれ得ることから、こうした行為を違法化することが個人の生活に大きな影響を与えかねないとして、ネット上で懸念の声や反論が相次いでいた。

有識者が緊急声明を発表 「慎重な議論を重ねることが必要である」

こうした動きを受けて19日、明治大学の高倉成男教授、金子敏哉准教授、東京大学の中山信弘名誉教授が呼びかけ人となり、大学教授や弁護士、専門家ら総勢87人が連名で緊急声明を掲載

賛同者には、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンも名を連ねている。

声明では、ダウンロード違法化の対象範囲の見直しについて、十分な検討がなされないまま「2018年10月末からの約3か月間に5回の法制・基本問題小委員会の開催という異例のスピードで行われた」と指摘。

「拙速な法改正は、私的領域における情報収集の自由に対して過度の萎縮効果を及ぼすとともに、著作権制度の妥当性について国民の信頼を失わせるものともなりかねない」とし、違法化の対象範囲について、「慎重な議論を重ねることが必要である」と訴えている。

さらに、海賊版サイト対策を目的とした法改正を行う場合は、民事的規制と刑事罰のいずれについても「その法改正は、あくまで被害が深刻な海賊版への対策に必要な範囲に限定されるべきである」とも主張。「刑事罰についてはその萎縮効果の大きさに鑑みて更なる限定を行うことが不可欠であると考える」としている。