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ソフトバンクIPO、海外投資家からも高い関心 上場初日は1500円を超えるのか?

国内案件としては2018年最大規模となるソフトバンクの新規上場に海外投資家やメディアも高い関心を示している。

仮条件は幅を持たせない異例の「1本値」で設定、1株1500円となった。年間配当利回りは5%になる。

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ブルームバーグ「上場初日には1500円を超える可能性が高い」と報じる

米プライベート投資運用企業サンフォード・バーンスタインのアナリスト、クリス・レーン氏は、「国内・国外のリテール投資家による需要が比較的高い点を考慮すると、予想金額は驚くに値しない」とコメント。「超過応募を確信しているのであれば、価格帯の設定は不要」との見解を示した。

ブルームバーグは6日、「日本の個人投資家と海外投資家からの強い需要があり、上場初日には1500円を超える可能性が高い」という、ブロ―カーの証言を報じている。また、同日午後1時過ぎ(日本時刻)に発生した携帯電話サービスの大規模な通信障害後、株価が4.9%下落したことも報じたものの、ソフトバンク単独の障害ではなかったためか「上場に対する深刻な影響はみられない」としている。

この障害はソフトバンクが使用するエリクソン製の通信制御機器の異常が原因で、英国など他国でも同じ時刻に同じ障害が発生した(フィナンシャルタイムズ2018年12月6日付記事)。

12月3日週に日経平均株価は下落したが、機関投資家がポートフォリオに組み入れるための売りと捉えることもできるとしている。また、同社は個人投資家の誘致を目的とするキャンペーンにも力を入れている。

7月の時点でソフトバンクグループは国内通信子会社株の30%以上を売り出す計画が報じられていたが、ブルームバーグの最新の報道によると、実際は約1億6000万株の割当増資を含む、約17億6000万株の株式を売却しているという。こうした報道に対し、同社および引受会社は沈黙を守っている。

高配当金を期待できる「安定した投資対象」

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ソフトバンク通信子会社の上場に関して、NTTの上場と比較する国外メディアも多い。日本がバブル景気の真っただ中にあった1987年、日本企業としては最大級の上場を果たしたNTTは、2.3兆円を調達した(日経アジアン2018年7月17日付記事)。NTTの上場は国民的投資ブームの火付け役となった。

今回の上場で調達した資金は、ソフトバンクグループの負債返済と同社のビジョン・ファンドが保有する1000億ドルの資金とともに、ソフトバンクグループが注力するAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボット工学、ライドシェアリングサービスといった急成長分野の強化に投じられる。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは2017年5月、ソフトバンクグループ創設者兼取締役会長の孫正義氏がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子などと共同で発足させた投資子会社だ。サルマーン副皇太子率いるパブリック・インベストメント・ファンドムや鴻海精密工業、Apple、バダラ開発公社のほか、オラクルの創設者ラリー・エルソン氏が個人的に出資している。

ビジョン・ファンドに関しては、「ソフトバンクは国内の電気通信事業の成熟したイメージを十分に認識しており、新興企業と提携し、新たなビジネスの開拓を狙っている(CNBC2018年11月30日付記事)」と受けとめられている。一方で多くの個人投資家にとってソフトバンクは5%の高配当を期待できる「安定した投資対象」であることから、上場株の需要は高いとの見解をCNBCは示している。

ソフトバンクグループの未来は孫氏の投資スキル次第?

一部では巨額の負債返済が懸念されているが、ニューヨークタイムスは2018年7月30日付けの記事で、「ソフトバンクの未来は孫氏の投資スキルにかかっている」と述べている。今回の上場で国内の事業展開加速を狙う一方で、4月には米国通信事業部門の財政負担を軽減させる意図で米子会社スプリントとTモバイルを合併した。ニューヨークタイムスいわく、同社が財政的負担の大きい事業を大幅に縮小している点は、期待材料になる。上場によりソフトバンクグループは、アリババグループやヤフージャパン、ARM株を含む大手企業株を保有する「巨大な上場ベンチャーキャピタル」に生まれ変わる可能性があるというのだ。

しかしまったく懸念が消え去ったわけではない。例えば同社は時価総額の40%に値する1320億ドル相当のアリババ株を保有しているが、ソフトバンクの株価は長年にわたり市場が期待するほどの伸びをみせていない。

孫氏がアリババに投じた1億ドルはほぼ1320億ドルに急増し、7000万ドル相当のヤフージャパン株は80億ドル相当に成長した。こうした実績から、同氏がハイテク産業の歴史の中で、最も利益を上げる「賭け」に勝ったことは間違いない。しかし「孫氏の幸運が永遠に続く保証はない」。ソフトバンク・ヴィジョン・ファンドはUberやスラックに投資しているが、シリコンバレーでは共同作業宇宙企業ウィー・ワークや屋内農業スタートアップ、プレンティに至るまで、より広範囲で投機的な投資が盛んだ。孫氏の「賭け」の勝敗は、いずれ明らかになるだろう。

アレン・琴子/英国在住フリーライター

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