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サブスク疲弊はまだ大丈夫

米国の消費者は、まだサブスクリプションを普通に利用している。米国人の3分の1以上(34%)が、今後2年間で自分が利用する購読サービスの数が増えだろうと考えている。これは、eMarketerが発表した最新のレポートのデータだ。5年前の調査では、平均2.4個の購読サービスが利用されていたが、それが今回3個に増えている。

このレポートでは、サブスクリプションプラットフォームのZuoraと、調査分析会社The Harris Pollのデータを引用しながら、このような判断を導き出している。

またこの調査結果は、我々がすでにサブスクリプション疲弊の状態に達したのではないかという説を一蹴するものとなっている。

サブスクリプションの数を増やすことにしている人は、全体の3分の1だけだが、これは世界的な平均とだいたい一致している。米国のインターネットユーザーの大多数は、今後2年間、現在と同じ数のサブスクリプションサービスを利用するだろうと言っているわけだ。

言い換えれば、多くのユーザーは、サブスクリプションの数を減らそうとは考えていない。実際、今後2年でサブスクリプションの数を減らすことにしている、と答えたのは、わずか7%だけだった。

しかし、これはサブスクリプション業界全体にとって、良いニュースでもあり、悪いニュースでもある。ある意味、これは新しいサービスに対する潜在的な加入者の健全な基盤があることを示している。しかしそれは同時に、多くの人は、新しいサブスクリプションを利用する際に、それまで利用していたものを止める可能性が高いことを示しているからだ。おそらく支出を増やさないようにするためだろう。

結局のところ、サブスクリプションは、まだ一種の贅沢のように感じられているのかもしれない。たとえば、Netflix、Spotify、自宅に配達される食料品、郵送される厳選された衣料品など、必要不可欠なものとは言えない。もっと手頃な価格で、サブスクリプション以外の選択肢があるからだ。問題は、毎月送られてくる請求書に対して、どの贅沢なら払っても良いと感じられるか、ということだろう。

実はこの調査は、サブスクリプションの中身については規定していない。つまり、ニュースや雑誌の購読、デジタルストリーミングサービス、サブスクリプションボックス、といったものをすべてひっくるめた数字なのだ。ただし、消費者がさまざまなカテゴリーに抱いている関心については質問している。

米国の消費者の半数以上(57%)は、テレビやビデオのオンデマンドサービス(Netflixなど)に興味を持っていて、38%が音楽配信サービスに興味を持っていると答えている。

これに関連してeMarketerは、米国のネット配信動画の視聴者は、2021年までに1億9300万人に達すると予想している。それは、米全人口の57.3%に相当する数だ。また、デジタルオーディオの聴取者は、2億1100万人を上回り、こちらも人口の63.1%を占めることになるという。

今回の調査で、次に人気があったのは、Amazon Freshのような食料品配達(32%)と、Blue Apronのような食材配達(21%)だった。iCloudのようなソフトウェアとストレージサービス、そしてIpsyのようなサブスクリプション美容サービスは、それぞれ17%で、それに続いている。

消費者はニュースや情報の購読や、サブスクリプションボックスといったものには、あまり興味を持っていない。実際、後者に興味を示しているのは10%に過ぎない。

もちろん、こうした数字は、かなり割り引いて受け取る必要がある。食材キットの市場は、実際にはだいぶ苦労している。コンサルティング会社NPD Groupは、食材キットを利用したことがあるのは、米国の消費者のわずか4%に過ぎないと推定している。つまり、消費者が興味を持っていると自ら言うことと、彼らが実際にすることとの間には、大きなギャップがあるというわけだ。

その証拠に、あまり人気がないと思われていたニュースや情報サービス市場だが、いくつかのケースでは活況を呈している。たとえばニューヨークタイムズは、今月になって利益の上昇と、223000人のデジタル版の購読者の増加を報告した。その結果、有料購読者数は450万に達したという。そして今Appleでは、「何百人もの従業員」がApple News+に取り組んでいると、最近明らかにした

もちろん、いつかは消費者も、支払い続けても良いと感じられるサービス数の限界に達するはずだ。しかし、ここ当分の間は、サブスクリプション経済も堅調なもののように見える。

画像クレジット:Mongkol Chuewong/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)