富裕層・投資家の「今と先」を伝えるキュレーションサイト

キャッシュレス経済が広まるとどうなるのか?メリット・デメリットも解説

2018年、経済産業省からキャッシュレス経済に関する発表がありました。これによると、世界中で定着しつつあるキャッシュレス経済を日本でも定着させる為に、2027年までに比率を上げるという方針が決定したのです。しかし、キャッシュレス経済と言われても、どのような決済や手段が該当するのか分かりにくいです。

そこで今回は、キャッシュレス経済について解説します。キャッシュレス経済のメリット・デメリット、各国でどのような形で定着しているのか、そして日本での動向についても解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

キャッシュレス
(画像=Getty Images)

キャッシュレス経済とは

キャッシュレスとは、お金を支払う時に現金以外の手段で支払いを完了させる事を指します。身近な場面で言えば、飲食店での支払いに使われるクレジットカードや、PASUMOやSUICAに代表される交通系電子マネーがキャッシュレスにあたります。

キャッシュレス経済とは、現金を使わずに現金以外で経済が流動する状況を指します。キャッシュレス社会とも呼び、日本政府は2025年を目安に電子決済を普及すると方針を発表しました。キャッシュレス経済が実現した場合、複数のメリット・デメリットが発生すると予想されており、導入するべきかどうかの是非が議論されています。

キャッシュレス経済のメリット

「現金」に関するコストが消える

キャッシュレス経済が実現した時のメリットとして挙げられるのが、現金に関するコストが減る事です。当たり前の話ですが、現金を作り国民の手に行き渡るようにすると、製造・流通のコストが発生します。

例えば、1円を作るのに必要な材料費は3円と言われています。2018年に制作された1円硬貨は44万枚とされているため、単純計算すると44万円を作るのに132万円掛かっている事になります。この1円を銀行などに流通させる費用も加わります。キャッシュレス経済が実現すれば、これらのコストはカットされるのです。

「現金」に関する手間が減る

キャッシュレス経済になると、決済に関する業務がパソコンによって効率的に管理運用されます。現金決済の場合は、パソコンにデータを打ち込む手間が入るため、余分な時間や手間が発生します。また、人間がする事のため打ち間違いや計算ミスが起きる可能性も否めません。

また、キャッシュレスになれば利用者が銀行やATMに出向く必要が無くなります。銀行やATMの業務も減る事となり、人員削減をして銀行の経営をスリム化する事も出来ます。

「現金」よりも決済が素早く、どこからでも支払える

現金での取引は、現金の性質上その場で決済となります。そのため、欲しい商品があったとしても店舗まで出向かないと購入できません。

しかし、キャッシュレス経済なら購入から支払い完了までが数秒で終わり、自宅から出ずに取引が完了します。投機目的で加熱した仮想通貨も、本来は手続きが煩雑で手数料がかかる海外送金のデメリットを解消する目的で誕生しました。キャッシュレス経済になれば、世界はより近くなります。

「現金」に関する不正が減る

現金は、その現金が誰の所有物なのかを証明する手段が乏しいです。例えば、複数人が1000円札を出し合いシャッフルしたとして、どれが自分の1000円札なのか証明するのは難しいです。

現金はどういう経緯で、誰の手を渡ったのか履歴が分かりません。そのため、不正な蓄財や脱税、犯罪で得た資金のマネーロンダリングなどが発生しやすいです。キャッシュレス経済の場合、お金の流通は大本から末端までが一本の線のように辿れます。犯罪で得た資金やどこから手に入ったのか分からないお金のルートを辿れるようになるため、これらの犯罪や不正を防ぐことができます。

キャッシュレス経済のデメリット

支払いを受ける側に設備や知識が必要になる

キャッシュレス経済のネックは、支払いを受ける側、つまり店舗などに専用の設備を設置する必要がある点です。

例えば、電子決済はQRコードを読み取る事で決済が完了しますが、店舗側は決済方法を扱っている企業に加盟します。その後、必要な機材を導入して、利用方法を理解して初めて受け入れ態勢が整うのです。

現在、paypayを始めスマホを利用したモバイル決済が広まっていますが、導入している店舗は限られています。一方で現金は、発行している国内ならどこででも使用できるという点が大きいです。

ハッキングなどの被害に遭うリスクがある

キャッシュレス経済の代表例であるクレジットカードですが、スキミングをすればカードを複製して使用できます。キャッシュレス経済において、ハッキングなどの犯罪行為は致命的なダメージとなりかねないため、ハッキング対策にコストが発生します。また、キャッシュレス経済はインフラ障害に弱いという弱点もあります。大きな天災や事故、テロなどが起きた場合、キャッシュレス経済が上手く機能する保証はありません。

実際、大地震で長期間停電が起きたら、クレジットカードや電子マネーが利用できなかったというケースが相次いでいます。

税金を支払う事は出来ない

現金の大きな役目の1つに、各種税金を支払うというものがあります。現在、納付の方法は銀行口座から振替やインターネットバンキングから納付する形となっています。これは、銀行口座やインターネットバンキングにある現金を支払っているのと意味は同じです。

一方で電子マネーやモバイル決済は、独自の通貨を現金で購入し、決済に使用できる形に変換しています。キャッシュレスが便利だからと言って、収入を全て変換してしまうと、税金を支払う事が出来なくなるため注意しましょう。

各国のキャッシュレス経済の状況

ここで、日本以外の国がどのようにキャッシュレス経済を構築しているのか紹介します。

中国

中国は2010年代からキャッシュレス経済が爆発的に普及しました。特にスマートフォンを利用したモバイル決済が盛んで、タクシーの支払いや屋台での買い物もモバイル決済が主流となっています。これらの要因は、中国でのスマートフォンの普及率が高かった事と偽札対策にあると分析されています。中国だと粗悪な偽札が度々広まっており、札に対する信頼が低かったのです。そんな中、スマートフォンが広く普及した事で、モバイル決済サービスを誰もが利用できる環境となったのです。

アメリカ

アメリカではクレジットカードやデビッドカードの普及率・使用率が非常に高いです。これは、アメリカだと現金による支払いよりもカードの支払いの方が定額になるというサービスが広まったからです。

例えば、同じサービスを利用する時、現金よりもカードで支払ったら5ドル安くなる場合があります。アメリカは移民の国のため、労働者によって学力に大きな差があります。現金決済だと、現金を集計し管理する際の負担が労働者によって違ってくるため、一括で管理できるキャッシュレス経済が推奨されました。

北ヨーロッパ

スウェーデンやノルウェーなどの北ヨーロッパは、キャッシュレス先進国と呼ばれています。特にスウェーデンはクレジットカード・デビットカードの普及と共にATMを撤去し、スウェーデン独自の電子決済サービスを定着させました。その結果、現金での取引は国内流通における全体の10%以下となっており、店舗によっては厳禁での取引を拒否する場合もあります。

日本のキャッシュレス経済の動向

現在、キャッシュレス経済は世界規模での動きとなっています。そんな中、日本は2027年までにキャッシュレス決済の比率を4割にまで引き上げようと方針を打ち出しています。2016年での発表では、現在のキャッシュレス比率が2割程度という数字からすると、倍以上を目指す事になります。

日本で最も活発なキャッシュレス経済といえば、電子マネーです。特に交通系電子マネーの発行枚数や利用額は世界規模でも突出しており、国民の大部分が保有している状況となっています。それなのにキャッシュレス経済が普及しない理由として、キャッシュレス経済を導入する側の負担が大きい事が上げられます。特に、小規模の店舗の場合初期投資が負担となってしまうため、導入を諦めるケースが珍しくありません。

そんな中、楽天が運営している楽天生命パーク宮城とノエビアスタジアム神戸では、2019年より完全キャッシュレス化が導入されました。これらのスタジアムで飲食や物販を購入する際は、全てクレジットカードが電子マネーなどとなり、現金が一切使用できなくなりました。この試みは内外から賛否両論の声が上がり、日本でキャッシュレス経済が定着するかどうか、キャッシュレス経済となった事で購買者の行動は変化するのか、などのデータを集められる社会実験として注目を集めています。

まとめ

以上が、キャッシュレス経済の解説になります。キャッシュレス経済が定着すれば、支払いがスムーズになったり、現金を持ち歩く手間が減ります。

一方で、急なトラブルや支払いを受ける側の態勢が整っていなかったら使えないなどのデメリットもあります。今回の記事を読んで、経済に関する興味が深まれば幸いです。(提供:The Motley Fool Japan


フリーレポート配信
モトリーフールの日本進出にあたって日本の投資家、また、これから投資を始めたい方に向けて無料で「株式投資にどう臨むか -スペシャルフリーレポート-」を配信しております。

また、英国のEU離脱が差し迫る中、投資家として知っておくべき情報も無料で配信しております。「ブレグジットの混乱を乗り越えて、よりよいポートフォリオを構築しよう:5ステップの投資ガイド」こちらからご覧ください。

ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。