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イタリアの対EU姿勢が変わらなければ、ユーロドルは1.10ドル割れへ

前日については、欧州委員会がイタリア政府に対して書簡を送り、財政規律違反を巡る是正手続きに着手する事を確認し、状況の説明を求めたとの報道がきっかけとなり、ユーロが下落しました。この書簡に対し、サルビーニ伊副首相は、政府が増税に動くことはなく、減税する方向である旨の見解を述べています。また、イタリア国民はEUを変えるために「同盟」に投票したとも説明しており、EUが30億ユーロの課徴金をイタリアに課すというシナリオが現実味を帯びてきており、問題が長期化する恐れがあります。

また、ユーロについては、前日発表されたドイツの雇用統計にて、失業者数が市場予想6,000人減に対して、6.0万人増となったことで、ドイツの経済悪化が表面化しています。また、レーン・フィンランド中銀総裁が、「ECBの最初の利上げは数ヵ月前に想定していた時期よりも遠のいた」と発言し、新たな条件付長期資金供給オペ(TLTRO)の詳細は来週のECB理事会で議論することも明らかにしました。引き続き、イタリア中心に懸念事項が多く存在しているため、ユーロの上値は目先重くなると考えていいかもしれません。

米中貿易戦争の激化が懸念されているなかで、前日はドル円が小反発しました。ユーロ安が牽引し、ユーロドルでユーロ売り、ドル買いになったことが要因の一つであり、トランプ政権のロシア疑惑で捜査を指揮したモラー特別検察官が、現職大統領を起訴できないという司法省の指針に言及し、「トランプ大統領を起訴することは捜査チームの選択肢ではなかった」との声明を発表しました。同時に特別検察官からの辞任も表明したことで、ドル売りは一旦小休止となっています。ただ、米中通商協議が合意に至るまでのプロセスにはまだまだ道のりは遠く、ドル円の上値も当面重い状況が続きそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

中国が報復措置として、レアアースの対米輸出制限を検討していることについて、米国防総省はレアアースの中国依存を少なくすることに関連した報告書を議会に提出したと報じられています。米国は中国に約80%を依存しており、禁輸措置となれば、米国のハイテク産業には大ダメージとなることから、中国依存を少なくすることができればドル買いに繋がる材料ではありますが、同時に、米中貿易戦争がまだまだ継続するという意味も同報告書には込められていると考えられるため、短期的にはドル買い要因も、中期的に見れば、ドル売りの材料として見なされそうです。

今回の為替報告書には、中国を為替操作国として認定はしませんでしたが、米中貿易戦争の解決策が見出せないなかで、次回10月の報告書では何かしらの指摘が中国にあるのではないかと考えられます。次回10月になると、トランプ大統領が選挙モードに切り替えていると考えられるため、現在の対中強硬路線が功を奏すと判断した場合は、中国を為替操作国として認定する可能性があります。中国は元安阻止のため、ドル売り介入を行うことで、今回は操作国認定はされませんでしたが、10月にははっきりと強硬策継続か懐柔策に切り替えるのかが明確になりそうです。

米中通商協議の次回開催予定が決まらず、報復合戦となっているなか、目先は6/28-29に大阪で開催されるG20が試金石となりそうです。本来であれば、このG20にて合意に至る予定でしたが、状況が一変したことで、このG20にて何かしらの会談を持たないと、問題長期化により一気にリスク回避姿勢が強まるイベントになりそうです。目先、会談を持てる唯一のイベントであるため、事前に数々のヘッドラインがでてきそうなため、この点には注意が必要になりそうです。

RBA政策金利発表までは豪ドル円は75円台後半で膠着の可能性

米中貿易戦争の激化が、豪ドル安を牽引するかと思われましたが、それ以上にユーロ安が意識されており、豪ドルについては、6/4のRBA政策金利までは膠着する可能性がありそうです。ただ、依然として目線は下向きにあると考えられるため、引き続きショート戦略継続です。テクニカル的には76.30円の上値目途で抑えられていることもあり、76.30円での豪ドル円ショート、利食いについては、75円割れを想定し、74.50円付近を利食い目途、損切りについては76.80円付近を考えます。

海外時間からの流れ

第2次ラマポーザ政権の組閣の遅れが懸念され、一時7.349円まで下落したランド円ですが、第2次ラマポーザ政権の主要閣僚が公表され、ムボウェニ南アフリカ財務相とゴーダン公共企業相を再任させ、副大統領も昨日から噂されていた通りにマブザ氏を再任させました。特徴的だったのが、ズマ前大統領の元妻ドラミニ・ズマ氏は企業統治の担当相に指名したことです。依然としてアフリカ民族会議(ANC)の中ではズマ派が多数存続することで、ANCの内部バランスをとる人事を行ったことが好感されたものと考えられます。また、公約通り、膨れ上がった閣僚数を36から28まで減少させ、政権のスリム化に成功したことも好感された材料として捉えられたのだと考えられます。

今日の予定

本日は、米・第1四半期GDP(改定値)、米・新規失業保険申請件数、米・4月中古住宅販売保留指数、加・第1四半期経常収支などの経済指標が予定されています。要人発言としては、クラリダ・FRB副議長、ウィルキンス・BOC上級副総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。