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アップルが新設したApp Storeウェブサイトは反トラスト訴訟に狙いを定める

WWDCを目前に控えた今、Apple(アップル)は新しくApp Storeウェブサイトを公開した。最近の同社を相手取った反トラストおよび反競争の告発から自らを擁護することが目的だ。同サイトには、AppleがどのようにApp Storeを運営しているかが詳しく書かれている。アプリがどのように集められ、レビューされているか、デベロッパーはどんなビジネスモデルを構築できるかなども説明されている。さらに、「A Store that welcomes competition」(競争を歓迎するストア)と題したセクションもあり、自社アプリとサードパーティーアプリがマーケットプレイスで共存していることをAppleが主張している。

例えば、Appleの自社製メッセージアプリがMessenger、Slack、Snapchat、Viberらと、AppleのメールがGmail、Outlook、Spark、Yahoo Mailと、マップがGoogleマップ、Citymapper、MAPS.ME、Wazeとそれぞれ競合していることを紹介している。

当然Spotifyも、Apple Musicとポッドキャストのライバルとして掲載されている。

これは驚くことではない。なぜなら最近Spotifyは、Appleが反競争的環境で運営されていると主張しているからだ。3月にEUに提出され現在調査中と報じられている告発状で、同社はAppleがiOS、App Store、自社製競合アプリのすべてを持っていることで戦いを有利に導いていると主張している。Appleバージョンのアプリと競合するアプリを売りたい人は、収益の30%をAppleに払わなくてはならない。

このいわゆる「Apple税」のために、デベロッパーの中にはiOSユーザー向けのアプリやサブスクリプションの価格を高く設定しているところもある。例えばSpotifyは、ウェブで申し込むと月額9.99ドルだが、iOSデバイス経由だと12.99ドルで、事実上「Apple税」を消費者に転嫁している。

これが、今月米国最高裁判所が、裁判の実施を認めた反トラスト法訴訟の根拠となっている。

裁定に際しAppleは、「デベロッパーはアプリの価格を自由に設定しており、Appleは関与していない」と、iOSユーザー向けの価格を高く設定したデベロッパーの決定から自らを遠ざけようとした。

「Appleが収益を分配するのは、デベロッパーがデジタルサービスをApp Store経由で販売することを選んだ場合に限られる」とも同社は言っている。デベロッパーは支払いとサブスクリプションをAppleのプラットフォーム経由で行わなくてもよい、ということのリマインダーだ。

実際、複数の大手IT企業がすでにApp Storeを回避している。

Amazonは以前から長期にわたり、同社のiOSアプリのユーザーが書籍、音楽、映画、TV番組などを買う場合、ウェブブラウザー経由でのみ許している。最近Netflixは、Google PlayとApp Storeの両方でアプリからのサブスクリプション申し込みを廃止した。

残念ながらiOSデベロッパーは、App Store以外で購入する手段をユーザーに伝える手段が制限されており、App Store以外で購入するためのウェブサイトへのリンクを知らせることも禁止されている。しかし、これはフェアなシステムとも言える。「Apple税」は消費者にとってApple Payで簡単に支払うことができ、デベロッパーにとってはAppleが支払手続きを代行してくれ手数料と見ることができるからだ。

本件に関するAppleの総合的な立場はこの新しいApp Storeウェブサイトでも繰り返されている。アプリを集約したプラットフォームの価値と、全世界で10億人に達する顧客とつながることの利点を強調している。

さらにAppleは、これまでに合計1200億ドル以上をデベロッパーに渡してきたことも、思い出させようととしている。そして、ほかのどのアプリストアよりもiOSユーザーが多くのお金を使っていることも(だからデベロッパーは頑張ってね!)

ただしこれは、Appleにとって強調すべきことだったかどうかはわからない。なぜならApp Storeが業界内で避けることのできない巨大な存在であることを、自ら示しているからだ。そして、デベロッパーがよそへ行くことがいかに難しいかを容易に想像できる絵がそこには描かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook