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お魚くわえたドラ猫を裸足で追いかける専業主婦がiDeCo(イデコ)に入るデメリットとは?

「人生100年時代」ともいわれる昨今、老後の資金作りは、万人にとって欠かせないテーマである。それは、パートナーの収入のみで生活をしている専業主婦(夫)にとっても同じこと。

実際、2017年1月より個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))の加入対象者の範囲が広がり、公務員や専業主婦(夫)も加入できるようになっている。しかし、専業主婦(夫)にとってiDeCo(イデコ)は本当に利用価値のある制度なのだろうか。

今回は、「お魚くわえたドラ猫を追いかける(けど裸足)」「買い物しようと街まで出かける(けど財布を忘れる)」ことで知られる某専業主婦の女性(Sザエさん)が、iDeCo(イデコ)に加入するケースを想定し、考えてみよう。

専業主婦S.Fさん(24歳)がiDeCo(イデコ)に加入する2つのデメリット

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(写真=Goran Bogicevic/Shutterstock.com)

Sさんは24歳の専業主婦。夫のMさんは商社に勤める28歳、子供は3歳の男児Tちゃん1人。このほか、両親や小学生の弟と妹、ペットの猫1匹と同居している。

Sさんの性格は「明るく朗らか、竹を割ったような性格で町内の人気者」である。資産運用にとりたてて興味があるというわけではないが、ご近所の主婦友達から情報を仕入れたのだろうか。このご時世、貯金だけで資産を貯めてもなかなか増えないし、夫が大企業に勤めているから安心とは限らない。自身、あるいは夫婦の老後のためにiDeCo(イデコ)を始めた方がいいのではないか、と思いはじめている……と仮定しよう。

そんなSさんがもしiDeCo(イデコ)を始めたとしたら、2つのデメリットがある。1つは「所得控除」という税制優遇を受けられないこと。もう1つは、運用した資産をSさんが60歳になるまで引き出せないことである。詳しく説明しよう。

デメリット1: iDeCo(イデコ)最大の魅力である所得控除が受けられない

iDeCo(イデコ)は、老後の資金作りとしては適しているが、口座を維持するために費用がかかる。費用としては、申込時に国民年金基金連合会に支払う2,777円と、毎月のランニングコストとして、国民年金基金連合会に103円、また、事務委託先金融機関(信託銀行等)に対して64円かかる。このほか、運営管理機関に支払う手数料や、運用商品にかかる信託報酬等がプラスされることになる。

もしSさんがパートタイマーとして働いており、ある程度の収入があれば、これらの手数料を相殺するだけの「所得控除」のメリットを享受できる可能性があるが、現在Sさんは専業主婦であり、収入は得ていない。「所得控除」とは、所得税を支払う人の税負担を軽くするための措置であり、所得税を支払っていないSさんにとってその恩恵に与れないのである。また、SさんがiDeCo(イデコ)を利用したからといって、夫であるMさんの所得税の負担が軽くなるわけではない。

なお、iDeCo(イデコ)掛金の拠出回数は年1回から可能なため、拠出の回数を減らせば、そのぶん国民年金基金連合会に支払う手数料を減らす工夫はできる。また、投資信託等のリスク性資産で積極的に運用し、手数料を上回る利回りを稼ぐことも一つの方法だ。そのため、SさんがiDeCo(イデコ)への加入を検討するのであれば、安易に元本保証型の商品に飛びつかず、投資信託などで少しリスクをとってでも運用益を狙うような運用を心がけると良いだろう。

デメリット2: 60歳まで資産を引き出せない

これはSさんに限らずiDeCo(イデコ)の加入者全員に言えることだが、iDeCo(イデコ)の資産は、原則60歳まで引き出すことができないのもデメリットの一つだ。Sさんの息子のTちゃんはまだ3歳で、これから教育にお金がかかるのは明らかである。また、Sさんは24歳、夫のMさんも28歳であるため、2人目、3人目の子どもが今後生まれる可能性もある。さらに将来は、車を購入する可能性もあるかもしれない。SさんがもしiDeCo(イデコ)に加入するならば、教育費など家計全体のバランスを見た上で、月々いくら拠出できるかを計算する必要があるだろう。場合によっては、「つみたてNISA」や「NISA」、「ジュニアNISA」などiDeCo(イデコ)と同じく運用益に税金がかからない制度を利用した方がよいかもしれない。NISAは、iDeCo(イデコ)とは異なり運用資金をいつでも引き出せるので、「息子が私立中学を受験するので急にお金が必要になった!」という場合も安心である。

専業主婦(夫)のiDeCo(イデコ)の加入状況は?

iDeCo(イデコ)の加入者数は、2018年10月末現在で約107万人にのぼっている。内訳をみると、自営業やフリーランス等の第1号加入者がおよそ14万人、会社員等の第2号加入者90万人、そして専業主婦(夫)等の第3号加入者は約3万人である。専業主婦(夫)が加入者全体に占める割合は約2.8%と低いものの、増加率では専業主婦(夫)がトップになっている。2018年10月末までの1年間の増加率は、第1号加入者が約1.3倍、第2号加入者が約1.6倍、そして第3号加入者が約2倍となっている。確かに専業主婦の場合は、掛金の拠出時に所得控除のメリットを得ることはできない。しかし、運用益が非課税になり、自分名義の老後資産が貯められるという点では、専業主婦でもiDeCo(イデコ)に加入する意味は十分にあるのだ。だからこそ、たとえデメリットがあるとしても、将来のことを考えて賢く制度を利用しようとする人が多いのかもしれない。

【iDeCo(イデコ)の加入者数の推移】(2017年10月末と2018年10月末の加入者数)
・第1号加入者:10万6,621人→13万8,676人(30%増)
・第2号加入者:56万4,442人→89万6,717人(59%増)
・第3号加入者:1万6,121人→3万2,054人(99%増)
・全体:68万7,184人→106万7,447人(55%増)

専業主婦(夫)のiDeCo(イデコ)加入に追い風も!

専業主婦(夫)のiDeCo(イデコ)への加入は、一見メリットが少ないように見えるが、今後、この状況が改善される兆しがある。一般社団法人全国銀行協会は、2017年7月と2018年7月に、専業主婦(夫)等の国民年金の第3号被保険者がiDeCo(イデコ)に加入した場合における掛金の所得控除の取扱いについて、厚生労働省に改善要望を提出した。その内容は、「課税所得がない第3号被保険者はそのメリットを享受できないことから、第3号被保険者の掛金は配偶者の課税所得から控除できるようにすべき」というものである。将来実現すれば、専業主婦(夫)の加入者は急拡大することが予想される。今すぐにはiDeCo(イデコ)に加入しない人も、積極的に情報を収集していくことをおすすめしたい。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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