富裕層・投資家の「今と先」を伝えるキュレーションサイト

【ストラテジスト田村晋一の株式相場レポート】~一歩前進~

画像1

今週の総括

★米中貿易交渉進展期待で堅調な米株・アジア株が下支えも、さらなる上昇には決め手欠く

画像2
画像3

今週の日経平均は、21,000円台を回復してスタートするも、その後は伸び悩み、21,500円に届かず引けた。

株価上昇の背景は、現在続いている米中貿易交渉が一定の合意に向けて進展するとの期待から、米国株やアジア株が上昇するなど市場心理が改善していること。1月に行われた米FOMCの議事録が公表され、米FRBの慎重な見方が確認されたことも市場心理の安心感につながっている。さらには原油価格が上昇して資源株を押し上げたことも一因となっている。

業種別(17種)では、上昇率トップが鉄・非鉄(前週末比+2.95%)で、最下位が銀行と不動産(同+1.4%)と、バラつきが小さいのが特徴。あえて傾向を言うならば、前週と騰落率順位が逆転しており、前週の反動という側面が感じられる。また「サンバイオ・ショック」の影響で出遅れが目立っていたマザーズ市場が同+6.3%と、2週連続で東証1部を大きく上回る上昇となった。個人投資家の買い余力が回復してきている印象がある。

来週以降の見通し

★しばらくは米中交渉への期待が下支え

日経平均想定レンジ 20,000~22,000円

画像4
画像5

来週の日経平均は、米中貿易交渉への期待から21,000円をキープする可能性が高いが、もう一段の上昇には、追加の材料が必要となるだろう。また、3/1までに交渉結果が発表されると見られるが、発表前が期待値のピークとなる可能性があり、発表後は株価が再び21,000円を割り込んでこう着するリスクがあろう。

市場が現時点で期待している以上の合意内容となれば、短期的にもう一段の株価上昇が期待できる。一方で、あまり直接的な効果が期待できない定性的な合意であったり、交渉期間延長となった場合には、不透明感が台頭し、今週までに上昇した分がはく落するリスクがある。

忘れてはならないのは、仮に米中通商摩擦の影響が無くなっても、中国経済、米国経済の減速傾向は変わらないということである。製品市場では、スマホ市場、自動車市場は2017年からピークアウトし始めていたが、このトレンドには変わらないということである。摩擦が解消されるとマイナス幅が縮小するかもしれないが、景気減速のままなら株価上昇は期待しにくい。一方、今回の決算発表を通じ、中国を含めたハイテク市場はいずれ回復するとの見通しを持つ企業が多いと感じた。ただし回復のタイミングは一様に分からないとの回答がほとんど。あと数ヶ月は上昇のキッカケがつかみづらそうだ。

コラム:徒然なるままに

よくTVで食品工場の様々な加工機械が紹介されている。ものすごいスピードで製品を袋やビンに充填したり、正しい場所に適量のクリームを乗っけたり、加熱時間に合わせた数十メートルの巨大なオーブンがあったり。その精度やスピードはもちろん、装置の動きに見られる工夫など、ホントにすごいなと思う機械がたくさんある。

今週、食品大手のキューピーが自社開発の原料検査装置を発表した。カット野菜に使うニンジンの検査用で、規定外の形状や変色したもの、原料に混入した異物を見つける装置とのこと。農産物の集荷場や食品工場などで、ものすごいスピードで仕分けしている様子がTVで紹介されることがあるが、それを機械化しようという訳だ。

具体的にはAIのディープランニングを活用し、画像解析で選別する仕組みだそうだが、不良品を選別しようとすると、変色や変形はもちろん、混入異物などのパターンが無限にあり、なかなか精度が高まらなかったそうだ。そこで、「良品」のパターンを学習させ、「良品以外=不良」として検出・選別する方式に変えたところ、実用レベルまで精度を上げることができたそうである。

このエピソードで分かることは、現時点のAIは、1.完ぺきではない。2.機械が自ら気付いて勝手に学ぶ訳ではない(映画や漫画のアンドロイドの能力はない)。3.要は、人間のプログラム設定次第。この「人間次第」というのが意外に重要だと思う。

運用の世界もまたしかり。HFTなどの自動プログラム取引がどんどん増えているが、米国など多くの国の運用会社・ヘッジファンドのファンドマネージャーが減ったという話は聞かない。HFTも市場に先回りしてプログラムする「人間」が必要だし。

少なくとも現時点では、「AI」「IoT」「フィンテック」という言葉が書いてあるだけで、何やら最先端のように見えるが、実際にそうとは限らないということだ。ちなみにIoTは以前はユビキタスだった。ビッグデータは小売だとPOSデータ、ビッグデータ解析はデータマイニングと言った。言葉が変わっただけで、内容自体は90年代から存在していたりする。最先端の流行用語は、一歩引いて考えてみるのも大事かもしれない。

田村晋一,松井証券
松井証券ストラテジスト 田村 晋一(たむら しんいち)
京都大学経済学部を卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。米国MBA 留学、外資系大手コンサルティング会社勤務等を経て、UBS 証券、ドイツ証券、バークレイズ証券にて銀行セクター担当アナリストとして豊富な経験を積み重ねる。

株式取引は、株価の変動等により損失が生じるおそれがあります。

■株式取引の委託手数料はインターネット経由の場合1日の約定代金の合計により決定し、100,000円(税抜)が上限です
■上場有価証券等書面、取引規程、取引ルール等をご覧いただき、内容を十分ご理解のうえ、ご自身の判断と責任によりお申込みください
■口座基本料は個人の場合には原則無料です
  ※各種書面の郵送交付には、年間1,000円(税抜)をご負担いただく場合があります
■本レポートは、当社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、その情報の正確性および完全性を保証するものではありません
■本レポートは、お客様への情報提供を唯一の目的としたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではありません
■投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします
■本レポートに掲載された情報の使用による結果について、当社が責任を負うものではありません
■本レポートに掲載された意見や予測等は、レポート作成時点の判断であり、今後、予告なしに変更されることがあります
■本レポートの一切の著作権は当社に帰属します。いかなる目的であれ、無断複製または配布等を行わないようにお願いいたします

(提供:松井証券