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「順調な上半期」という発表の裏でファーウェイが語らなかったのは「スマホの伸びゼロ」

米国時間7月30日、Huawei(ファーウェイ)は「順調さ」を強調した上半期報告を発表し、メディアはおおむね受け入れれたようだ。しかしここで語られていない大きな問題がある。第1四半期から第2四半期にかけて同社のスマートフォンの売上の伸びはゼロだったのだ。

テレコム機器とスマートフォンの有力メーカーであるファーウェイは2019年上半期の決算を発表し、米国の制裁措置にもかかわらず、上半期の売上が23.2%増加し、4013億元(583.1億ドル、約6.3兆円)に達したと発表した。 同社の上半期のスマートフォン出荷台数は1億1800万台となり、対前年比24%のアップだった。

なるほど好調な上半期だったといえようが、では四半期単位ではどうなっていたのだろう?ファーウェイは発表していないが、簡単な計算で語られなかった事実を知ることができる。同社は第1四半期に対前年比で収入を39%を伸ばしている。つまり上半期の成績が好調だったのは第1四半期のせいで、第2四半期は足を引っ張っていたことが分かる。

ファーウェイは上半期の売上が前年比23.2%アップしたと言っている。しかしQ1が39%アップだったことを考えれば Q2はそうとう悪かったに違いない。

ファーウェイは第1四半期にスマートフォンを5900万台出荷している。つまり上半期の出荷合計1億1800万台から5900万台を引けば第2四半期の出荷台数も5900万台だったとわかる。テクノロジージャーナリストのAlex Barredo(アレックス・バレード)氏が Twitterで指摘したように、 これまで同社の第2四半期のスマートフォン出荷台数は第1四半期を大きく上回ってきた。

ファーウェイのスマートフォン売上はこれまで第1四半期から第2四半期にかけて大きく伸びていた(平均(32.5%のアップ)。ところがトランプ大統領の制裁発動の後、今年は伸びゼロ。これはすごい効果だ。

中国国内ではファーウェイのスマートフォン売上は伸びている。市場調査会社、Canalysが調べた国内販売のデータでは、第1四半期(2990万台)に対して第2四半期( 3730万台)となっている。しかし国内販売の伸びは国際市場での落ち込みを帳消しにするほどの力がなかったわけだ。実際ファーウェイのファウンダーの任正非(Ren Zhengfei)氏自身、6月に同社の海外市場でのスマートフォン売上は最大40%程度下落する可能性があると予想していた

この打撃が生じた理由は複数ある。制裁によってファーウェイは米国の提携企業が開発したコアテクノロジーから締め出されることになった。例えば、Google(グーグル)はファーウェイに対しAndroidサービスの重要な部分を提供することを停止した。Android OSそのものはオープンソースであり引き続き利用できるが、米国の貿易規則はグーグルがファーウェイにソフトウェアアップデートを提供することを禁じている。

半導体メーカーのARMもファーウェイとの関係を断つことを余儀なくされた。米国による制裁措置の打撃を緩和するためめに、ファーウェイは独自の半導体やスマートフォンOSを開発しているというニュースも流れた(のちに同社はこのOSは産業向けのものだと主張している)。しかしこうした措置が効果を挙げるとしても、だいぶ時間がかかるだろう。

もちろんファーウェイという巨人にとってスマートフォンのような消費者向けプロダクトは事業の一部分に過ぎない。しかし同社のエンタープライズ向け事業もまた攻撃を受けている。米国では価格の安さから小規模な地域キャリアの多くがファーウェイを利用してきた。しかし制裁措置以来、関係を断つ会社が増加している。トランプ政権は西側諸国に対し5Gネットワーク構築にあたって同社の機器を採用しなよう強く働きかけている。

簡単にいえば、米国のブラックリストに載せられ、米企業とビジネス関係を持つことができなくなったことはファーウェイに対して非常な圧迫となっている。ワシントンは一定の猶予期間を設け、一部製品については同社との輸出入の再開を認めたが、すでに大きな打撃が与えられたことは明らかだ。ファウンダーの任氏は先月、「米国の制裁措置はひっくるめて300億ドルの収入の落ち込みをもたらすかもしれない」と述べている。

ファーウェイの会長、 梁華(Liang Hua、写真)氏は本日の声明で「我々は困難な時期を迎えている」と認めたが、同時に「前途が明るいものであることに確信がある。1200億元にのぼる今年のR&D関連投資を含め、我々は予定どおり投資を進める。いくつかの困難を克服し、最悪の時期を後にして、今後は新たな成長段階に入れることに自信を持っている」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook