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「性教育の手引」改訂。しかし高校生向けでも「性交」には言及せず。都教委が発表

14年ぶりに改訂された教員用指導書「性教育の手引」

東京都教育委員会は3月28日、公立学校で教員が使用する「性教育の手引」の改訂を報告した。14年ぶり。

2018年には東京都足立区の中学校で、教科書の範囲を超えた性教育が行われていたとして、自民党の都議が「不適切」と問題視。都が区を指導して物議を醸したことから、改訂内容に注目が集まっていた。

学習指導要領にない「性交」について、改訂では小中高・特別支援学校向けの全てで記載が無かった。一方で、都教委は、教科書の範囲を超える指導も「禁止はされていない」との認識を示した。

中学生、高校生に「性交」の説明記載なし⇒でも説明は「禁止されていない」

都教委の担当者は定例会での報告後、ハフポスト日本版の取材に対し「手引は学習指導要領に即しており、性交など妊娠の過程、性感染症に至る過程については触れていません。ですが、現場の教員や外部講師の方が、こうした単語を用いて説明することについて禁止されてもいないため、説明をして理解してもらうことはできます」と話した。

都教委は2018年中、「現代の課題に即した指導」を狙いに、都医師会と連携して外部講師による5回のモデル授業を行った。そこでは、指導要領内の人工妊娠中絶や低用量ピルなどの避妊法が教えられたほか、学習指導要領を超える内容に言及した場面もあった。 

南多摩中等教育学校で行われた医師と保健体育の指導教諭による性教育のモデル授業

授業を受けた中学生639人のうち、授業内容が分かりやすかったと答えた生徒は95%にのぼった。

改訂された手引では、モデル授業の実施状況調査や、外部講師を招く際に保護者に配る資料例や、授業の実施例なども記載されている。

こうした発展的な授業は2019年、都内の10校のみで実施されるという。

また、警察官を講師として招いた指導事例として、Twitterなどを通じて人と会い、性被害を受けた例や、自分の性的な写真を送ってしまう「自撮り被害」などについて解説するといった実践的な内容も盛り込まれた。

「寝た子を起こすどころか、完全に起きている」

中学生や高校生にとって、スマートフォンやパソコンを使って「セックス」と検索すれば、すぐに性的な内容にアクセスできる。そこにあるのはAVなど正しい性の知識を持たない人にとって誤解を招く内容のものも多く含まれる。

警察庁によると、2017年にSNSなどを通じて児童買春や児童ポルノなどの被害にあった児童・生徒は、全国で1813人となり、過去最多を記録。自撮り被害は515人。半数以上が中学生だった。

また、厚生労働省によると、2017年の10代の出産は年間約1万件。10代での人工妊娠中絶は約1万4000件あった。

こうした社会情勢を背景に、都教委で委員を務める東京大学大学院の北村友人准教授は定例会で「社会的にも議論が起きていた。この手引が現場の先生方を縛るものではなく、豊かな性教育をするうえで活用しやすいものとしてほしい」と話した。

また、中学生を取り巻く性の情報氾濫について「寝た子を起こすどころか、完全に起きている状態」と説明。

「学習指導要領に示していない内容についても具体的にある。ただ多様な社会のなかで、宗教的なことも含め保護者にも様々な考え方があるので、ぜひ理解を得ながら子どもたちが自分たちを守り、社会的に責任ある行動をとれるようにしてほしい」と話した。 

性教育の手引」の改訂が報告された都教委の第6回定例会=2019年3月28日

保護者への対応も課題に

また、これまでの定例会で「保護者の了解を得たうえで、性教育については進んだ対応をしてもらいたい」と要望していた日本学生支援機構の遠藤勝裕理事長からは、保護者に拒否された場合の対応について質問が出た。

都教委によると、外部講師を招いた5回のモデル授業でも、複数の保護者から学習指導要領を超えた範囲を伝えないでほしいといった要望も出ていたという。

担当者は「モデル授業を受ける生徒の保護者には、学習指導要領を超える範囲と超えない範囲の指導案2種類を提示している」と回答。

どちらかを選択してもらい、超えない範囲を選んだ保護者については、外部講師の授業を生徒には受けさせず、別途授業をしたという。