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「同性婚を認めないのは、重大な人権侵害だ」 日弁連が意見書を国に提出

同性同士も、婚姻の自由が保障されるべきことは明らかだ――。

日本弁護士連合会(日弁連)は7月24日、「同性婚が認められていないことは人権侵害であり、同性婚を認め、これに関連する法令の改正を速やかにおこなうべきである」という意見書を国に提出した。

21ページにわたる意見書には、同性間の結婚が認められていない現状が重大な人権侵害である根拠が書かれている。 

■ 同性同士が結婚できないのは「人権侵害」

意見書には、次のように綴られている。

我が国においては法制上、同性間の婚姻(同性婚)が認められていない。そのため、性的指向が同性に向く人々は、互いに配偶者と認められていないことによる各種の不利益を被っている。

これは、性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に違反するものであり、憲法13条、14条に照らし重大な人権侵害と言うべきである。

したがって、国は、同性婚を認め、これに関連する法令の改正を速やかに行うべきである。

意見書は、2015年7月に455名(当時)のLGBTQ当事者たちが申立人となって行われた「同性婚人権救済申立て」に対する回答として、日弁連が作成した。

申立人たちは「同性婚が認められていないことは人権侵害」だとして、日弁連に対して人権救済を申し立てていた。

■ 憲法は同性婚を許容しているという解釈に、勇気付けられた

日弁連の意見書提出を受けて7月25日、同性婚人権救済申立ての申立人4人と、弁護団が記者会見を開いた。

上杉崇子弁護士は今回の意見書を高く評価するとし、次のように述べた。

「日弁連は、(同性婚ができないことは)性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、憲法に照らして重大な人権侵害であると結論づけました」

「申立人らの同性婚を求める切実な声にきちんと耳を傾け、人権侵害の実態をしっかりと把握し、4年間の慎重な議論を重ねて適正かつ妥当な意見を社会に表したことに、弁護団一同敬意を表します」

上杉崇子弁護士

申立人の牧村朝子さんも「憲法24条が同性婚を法律で認めることを禁止しておらず、その基本的な趣旨に照らせば、むしろ許容しているものと考えるべきである、という解釈を弁護士さんがしたことが、すごく大きいなと思いました」と喜びを語った。

■ 特別ではなく当たり前の存在になりたい。クローゼットの当事者の願い

同性パートナーと付き合って20年になるレズビアンのケイさんは、クローゼット(セクシュアリティを周りに伝えない)。家族や職場、友人にレズビアンであることやパートナーのことを隠し続けてきたという。

「私の周りで、セクシュアリティをオープンに生活している人はほとんどいません。大都市以外のエリアに住む友人は偏見が怖くて、パートナーと一緒に住むことすら難しいと言っています」

「法の下での平等が実現すれば、特別だった存在が特別ではなくなり、やがて当たり前の存在になって行くと信じて、私は申し立てをおこない、勇気を出してここにきました」

日弁連が、同性婚を認めないのは人権侵害、という意見書を出したことについてケイさんは、「クローゼットの人たちは、肯定的に生きるのが難しいこともある。だけど、今回の意見書の結果を聞いて、前向きに肯定されたような気分になって嬉しかったです」と語った。

ケイさん

 ■意見書は、同性婚訴訟の後押しになる

香川県から駆けつけた田中昭全さんと川田有希さんは、2019年2月14日に始まった、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告でもある。

同訴訟では、同性婚の実現を求めて複数のカップルが国を訴えている。田中さんは今回の意見書が訴訟の後押しになって欲しいと語った。

「申立てをした4年前に比べて(同性婚に対する)メディアの取り上げ方はすごく変わってきましたし、今回の参院選の争点にもなっていました」

「どんどん理解が進んでいるなと思っているタイミングで、この同性婚人権救済申立ての結論が出たので、すごく嬉しく思っています。これがどんどん後押しになってくれたらいいかなと思っています」

上杉弁護士も、今回の意見書は「結婚の自由を全ての人に」訴訟の大きな証拠になるだけでなく、同性婚の必要性を広く社会に訴えるための大きな後押しになるだろう、と語った。

川田さん(左)と田中さん

■せめて、銀婚式はやりたい

意見書では、婚姻の本質的な要素の一つとして「パートナーと継続的に協力し合い、親密で、人格的な結びつきを維持形成すること」が挙げられている。

そして「同性愛者も、人生において継続的に協力し合う関係を持つ相手を選択し、自ら選択した相手と継続的に親密で人格的な関係を維持形成している」ことから、同性カップルの婚姻の自由を保障する必要性がある、と綴る。

ケイさんは、20年間支え合ってきたパートナーのことを「家族」や「伴侶」と言う言葉以外に表現する言葉が見つけられない、と話す。

「私たちは結婚ができないまま既に20年が過ぎてしまったので、これから同性婚が可能になり結婚をしたとしても、金婚式を迎えられるかどうかはわかりませんが、せめて銀婚式は行えたらというささやかな希望を持っています」

今回の意見書は内閣総理大臣、法務大臣、衆参院両議長に対して送られた。「同性婚できないのは重大な人権侵害」と結論づけた日弁連の意見書が、同性婚を巡る今後の動きにどんな影響を与えるのか、注目したい。

意見書の全文はこちらから→「日本弁護士連合会 同性の当事者による婚姻に関する意見書」