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「事業承継・M&A」支援の勘所【第7回】営業権の譲渡が望ましい取引先

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(画像=Gajus / Shutterstock.com)

解説

若狭商事は、もともと廃業を検討していた会社で、社員の平均年齢が60歳を超えている。越前銀行の今庄さんがM&Aを勧めた時点で、若狭社長はすでに70歳を超えていた。

本連載で何度も述べてきたが、本来であれば若狭社長が60歳を超えた時点で後継者について確認し、事業承継やM&Aの相談につなげるべきであった。

とはいえ、遅いながらも今庄さんがM&Aを提案したこと自体は間違っていない。しかし、社員が高齢ということで買い手は見つからなかった。

一般に社員の高齢化が進めば生産性が下がるし、新人を採用したとしても、育成には時間がかかる。また、高齢の社員が多い企業では、高齢の社員について給与水準を下げていることが多い。利益が出ているのは社員の給与水準が低いからで、買収後、買い手企業の給与水準に引き上げると利益が出ないということがよくある。

こうした問題があるため、高齢の社員ばかりの会社を引き継ぎたいと思う会社は少ない。このことは、ぜひ知っておこう。

若狭社長が60歳の頃なら、社員も概ね50歳台だったはずだ。その時点ならM&Aは成功しただろうし、早くからM&Aという選択肢があることを知っていれば、新しい人を入れ、社員の若返りを図っていただろう。

廃業するつもりで若い人の採用を控えていた会社のM&Aは、実はかなり難しいのだ。

営業利益に対して純資産価額が割高だと…